予定
本日2話更新の2話目になります。
今宵の予定が出来たと、足早で浮かれ気味に大福たちはこの場を後にした。
彼女たちに世の中の理を今宵知ることになるだろう。
・・・予定は、未定であると・・・
皆が夕食も終え、片付け&入浴に取り掛かろうとした時
「皆、そのまままで聞いて欲しい。
明日、王都に帰還することになった。
そのつもりで準備を怠るな、以上。」
団長がそのように発言する横でSアンパン(副団長)は膨れ顔だ。
明日には居なくなるのだし、今夜一晩の辛抱だから問題無い。
呪縛にも似た団長からの粘着も今宵限り・・
今宵も・・・か?
今宵も粘着か?
いや、今宵は皆で過ごす予定だよな・・
「ノーヴ殿、後程、話があるので東屋までご足労願います。」
「先程の件で団長からお話がありますので、宜しくお願いします。」
団長と白パン(最年少騎士)ちゃんだ。
護衛の件の事だとは思うが、騎士団が護衛されるって拙いでしょう。
白パンちゃんには悪いが、断るべきだろう。
騎士団としての体裁もあるし、騎士団が平民に護衛されるという
不名誉な風聞が広まれば、騎士団としての立場がなくなる。
あれ?ちょっと待てよ。
彼女たちは近衛騎士団って言っていた様な・・・
近衛と言えば、軍人の中でも最も優秀な人たちだよな。
王国軍って滅茶苦茶弱いんじゃないのか、大丈夫なのか・・・
東屋で団長を待っていると、何やら団長と大福たちが
こちらに向って来ているが、途中で言い争いを始めた。
どうせ、団長に一喝され大福たちが怯んで終わるだろうと思っていたら
団長が押されているし、よく見れば団長とSアンパンと白パンちゃんを
大福4人が取り囲みすごい剣幕で捲し立てている。
団長、Sアンパンはタジタジだったが、白パンちゃんが大福たちを
宥める感じで事の収拾をつけたようだ。
何か凄く謝っていたな・・・白パンちゃん。
大福たちが立ち去るのを見届け、団長たち3人が東屋へやって来た。
「ノーヴ殿、お待たせしてすみません。
御見苦しいところをお目に掛けたかもしれませんが
どうか気にしないで下さい。」
団長が口上を切ったが、その後を白パンちゃんが引き継いだ。
「危ないところを助けて頂き、その上斯様にお世話にもなり
何とお礼を申し上げて良いのやら、言葉も見つかりません。
また先達てのお願いを致しまして、心苦しいばかりでございます。」
Sアンパンよ、白パンちゃんの口上をちゃんと聞いて心使いを学びなさい。
とか思ってしまうが、まだ本題には至ってない、ここからだろう。
「ノーヴ殿、王都にて我々近衛騎士団のご指導を願えないだろうか。
ご存じとは思うのだが、我々騎士団員はまだまだ未熟者揃い。
貴殿のお力添えがあれば、我々も今より技量が上達し強くなれる筈。
是非お願いいたします。」
・・・・・・・・・・・・・・
予想外だ、これもまた返答のしようがない。
「急にその様な事を言われましても、返答のしようがありません。」
そう言うと、また白パンちゃんが
「左様で御座いますよね。
ですので、王都までご同行頂きその間にお考え頂くというのは
如何でございますか?
道すがらお考えいただき、まだ答えが出ない様なら答えが出るまで
王都にご滞在頂きたく存じます。
宿舎もこちらでご用意させて頂きますし
ご滞在中は一切のご不便をお掛けしないつもりでございます。
如何でございましょうか。」
白パンちゃんの後を引き継ぎ団長が締めた。
「是非ご同行頂き、ご指導ご鞭撻の程宜しくお願い致します。」
・・・・・・・・・
やられた、逃げ道を塞ぎやがった。
護衛ならば、断りようはいくらでもある。
同行ときやがった・・・正当な理由付きで・・・困った。
団長たちを見れば深々と頭を下げている。
白パンちゃんはミニスカ両側を摘み上げてのお辞儀だ。
「あのぉ~白いの、見えていますけど・・・」と言える雰囲気ではない。
げぇっ・・・Sアンパンも深々とお辞儀している。
元々護衛は付けるつもりだった。
ハチに頼んでドローンを王都まで付けるつもりだ。
それならば、俺がついて行かなくても王都まで安心だ。
「おっ、おっ、お願いします。」
Sアンパンは頭を下げながらデカい声で叫んでいる。
本当は同行をする必要を感じないのだが、白パンちゃんを見ていると
「では取り敢えず、王都まで同行しましょう。」
・・・やられたぁ~!!!




