42話 気晴らしに行こう
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留学から帰ってきておよそ1ヶ月。
学園は、ある結果の話題で持ちきりとなっていた。
1学期の成績の順位だ。学園は、全員の順位が張り出されるため、全員がそれを目にする事が出来るのだが…
1位はなんと、ソフィア。2位がアイリーンという結果になったのだ。ちなみに3位は私。
どう考えたっておかしい。留学に行っていて、満足に勉強ができていなかった、前世成績トップ2の私よりも順位が上なのは、100歩譲って納得できる。(もしこの結果が本当ならめっちゃ悔しいけど)
でも、学園創設以来の傑物と呼ばれているアイリーンをおさえて1位になるなんて、どう考えてもおかしい。
しかも、しかもだ。
彼女はこの学園に入った時の順位は、下から数えた方が早かった。どれだけ彼女が努力をしていたとしても、結果に表れるには早すぎる。
何らかの力が働いたとしか思えない。
誰の力が働いたかなんて、すぐに分かる。ヘンリーだ。
私の留学中、いつも学園でイチャイチャしてたらしいし、私も帰国後、2人が一緒にいる所を目にしている。
今や彼女との仲を知らない人の方が少ないだろう。
学園の生徒の中では、彼女を自身の婚約者にするための準備なのではないか、という噂もまことしやかに囁かれている。…多分、正解だろう。
ヘンリーの婚約者である私は、いろいろな注目を浴びてしまうわけで。どこに行っても、色んな人から見られているのを感じる。
「全く、ヘンリー様もですけど、ソフィア様もどうかと思いますわ。あの方、絶対にヘンリー様の事を狙っていますよね」
「お2人とも人目を気にせずに仲良くなさるなんて、失礼にも程があります」
ディアナとフェリシアが怒ってくれたけど、私にとっては面倒な事でしかなくて。
むしろ、どうやって婚約破棄される時に私の無実を証明したら良いか、ばかり考えていて。
…ストレスや鬱憤が溜まってきた。気晴らしに行こう。
♢♢♢
休みの日に、私は市民の服を着て、街を散策していた。
やっぱり、イライラしてきたら、外に出て自由に買い物するのが1番よね!
そう思い、屋台が並ぶ所に来た時、私は見てしまった。
ヘンリーと、ソフィアが変装もせず、服も1見して貴族だと分かるような物を着たまま、デートしていたのだ。
思い出した!これ、ヘンリールートの城下お忍びデートだ。
でも、ゲームでは、ちゃんと貴族だってバレないように、変装して、服も一般的な物を着ていた筈なんだけどな。まあ、私には関係ないけど。
やっぱりヘンリールートかな。こんな王子の婚約者の座なんて喜んで引き渡したい。
でも、やっぱり問題は、濡れ衣で婚約破棄されるのをどうやって回避するかよね。
ヘンリーとソフィア、陛下達と話し合って、穏便に解決させられるなら、その方が良いんだけどなあ。
うーん…は!私今、気晴らしに来ていたんだった!
今見た事は、取り敢えず、忘れましょう!せっかく、街に遊びに来たんだもの。
3章をようやく書き終えました!
毎週月曜日、水曜日、金曜日に更新していきます!
よろしくお願いします!!