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第31話:必要な人

とてつもなくサボってしまいました。読んでくださっていた皆様ホントにごめんなさい!!いろんなコトがありました…σ(^◇^;)恋愛ってほんとにすごいですね。力をくれたり奪ったり…あたしはまだまだ子どもなんだと思い知らされました。こんな未熟なあたしですが、これからもよろしくお願いいたします(>_<)

春から自動車学校に通い始め、ゆっくりマイペースに免許をとり、バイトを掛け持ちしてお金を貯め…ようやく自分の車を買ったのはもう枯れ葉が散り始めた秋だった。

やることもいっぱいで、この1年近くはあっという間に過ぎた気がする。

…今でも心ちゃんのことは時々夢に見る。でも、昔みたいに逢いたくなったり、声が聞きたくなったりする日は極端に減った。毎日忙しかったおかげかな。正直まだ好きだけど、昔を思い出して泣くこともない。相変わらず部屋の匂いは変わらないけど、写真もプリクラも見たりしない。少しずつ少しずつ時間に癒されてるんだと思う。

「お待たせしました。」

「…ん。」

あたしがそう言って助手席に乗ると、大樹は体を起こしてハンドルを握った。

今日は大樹に送ってもらう最後の日かな。明日は納車の日だから。

思い返してみると、本当に大樹にはお世話になった。いつもあたしの傍にいてくれたし、仕事の送り迎えだって必ずしてくれた。…感謝しきれないよ。

「明日からは自分の車で出勤するから安心してね!今まで色々面倒だったでしょ。」

「別に。俺が好きでやってたことだし。」

「…そ、そっか。」

最近の大樹は変に優しくて、なんだかこっちが調子狂っちゃうよ。妙な間があいたので、あたしは何か話題を探した。

「そういえば…」

「あのさー、突然で悪いんだけど俺と付き合って。」

「…へ?!」

…思考回路が停止した。本当に突然過ぎるよ…って、それより本気で言ってんの?!ホント最近の大樹は何考えてるのかさっぱりわかんない。

「困るのはわかるんだけどさ、黙られるとさすがに俺も恥ずかしいんだけど。」

「あ、はい、そう、ですよ…ね。」

「そうですよねって…」

大樹はいつもどおり八重歯を見せて笑ってる。からかってるのかな…きっとそうだよね。大樹には好きな人がいるわけだし。

「言っておくけど冗談じゃねぇからな。本当はこんな早いタイミングで言うつもりはなかったんだけど。」

「えっ、いや、でも、大樹好きな人いるって…」

「アホか!それがちかなんだろ。わかれよ…。」

大樹はいつもと全然変わらない口調でそう言ったけど、チラリと盗み見た横顔は少し照れくさそうだった。あたしも思わずカァーッと頬が熱くなるのを感じた。そりゃ、好きだなんて言われて嫌な気はしないけど…でも、今のあたしにはなんて答えればいいのか全然わかんない。断れば大樹との居心地のいい関係は終わっちゃうだろうし、だからってまだ心ちゃんのこと忘れてないのに付き合うなんて…。

「ちかがさ、元カレを引きずってんのは分かる。」

「えっ!?なんで…」

あたしそんなこと一言も…。香にも千秋ちゃんにも言ってないのに…

「どこに出かけてもキョロキョロして、誰か探してるみたいだったし。俺じゃない誰かを見てるのはわかってたから。」

…やっぱり大樹はエスパーだ。あたしのことなんでもお見通しなんだね。

「だからまだ言わないほうがいいかなっては思ってたんだけど。俺の送り迎えの役目終っちゃうと、あんまり話す暇もなくなるしさ。今日のうちに言っとこーと思って。」

「でもっ…やっぱ何か信じらんないよ。全然そんな素振りなかったし…」

「みんな俺の気持ちには気付いてたと思うよ。ちかぐらいだって。わかってなかったの。」

あ、そっか…。だからみんないつもあたし達をくっつけようとしてたんだ…。あたしホント馬鹿だ。なんでずっと気付かなかったんだろ。それに…自分辛いからって大樹の気持ち利用して、いつも甘えて…最低だ。今だって…これが嘘だったらいいのにって思ってる。

だって…あたしはまだ心ちゃんのことを忘れられてないから、大樹と付き合うなんてやっぱり出来ないし。でも、だからって大樹を失うのも怖いんだ。結局あたしってずるい人間。

「俺はずっと我慢してたよ。んで、ちかも頑張った。だからもう、甘えたらいいじゃん。」

「でも、あたしまだ…」

「今はまだ好きでもいいよ。とりあえず俺はちかと一緒いたいし、気持ち隠してんの面倒になったから言っただけ。あ、別にちかのためとかじゃねぇよ?俺がちかの弱味に付け込んでんの。」

弱味に付け込んでるのはあたしの方なのに…大樹は優しいね。

「心配しなくても突然襲ったりしねぇよ。」

からかう様にそう言って、大樹はあたしの頭をくしゃくしゃにした。

甘えていいのかな。大樹の優しさを利用して、あたし最低な人間になっちゃうんじゃないかな。でも、大樹の傍にいると気持ちが落ち着く。心ちゃんの隣りにいた時みたいに温かい気持ちになれる。まだ今は心ちゃんを越えることはないかもしれないけど、大樹ならきっといつか好きになれる気がする。


ねぇ、心ちゃん。あたし前に進んでもいいかな。傍にいてくれるこの人に賭けてみてもいいかな。気がつけばあれから2年近く経ったんだね。もう、いいよね…。

「大樹。…ありがと。」

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