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27.面倒事


「で、いつの間にかボスは倒してたらしいんですが……」

黒瀬が、うんざりした声で言う。

「また掃討戦ですよ。勘弁してほしい」

「そうは言っても、そこの一体で最後だろ」

「それでも面倒なんですよ」

ため息がでる。 

「元々、ここを継承機関が管理してれば、ダンジョンブレイクも起きなかったのに」 

「まあ……被害もほとんど無かった。今回は良しとしよう」

黒瀬は納得していない顔だったが、反論はしなかった。 

「話し合い、終わったぞー」 

正利さんの声。

相変わらず、気楽そうだ。 

「いやぁ、一時はどうなるかと思ったが……ダンジョンブレイクも収束した」

「で、ダンジョン対策課は――探索者の取り締まりを担う、“国営ギルド”みたいな形になる」

 

「……ありがたいですね」 

正直な感想だった。

正利さんでなければ、ここまで綺麗にはまとまらない。

 

「で、どうする?」

「元々は今日、オークションの管理やら何やらについて話す予定だはずてすよね。」 

「その件なんだが――」

正利さんは少し声を落とす。 

「ちょうど人が揃ってる。会議室に来れるか?」 

「分かりました」 

軽く周囲を見渡す。 

「すみません」

近くにいた警察官に声をかける。 

「ここは黒瀬に任せます。何かあれば、あそこに座ってるやつに」 

「あ、えっと……分かりました」 

「じゃあ、お願いします」 

「黒瀬、頼んだぞ」 

「はいはい」

投げやりな返事。 

そのまま走る。 

――飛行魔法が使えれば楽なんだが。 

そんなことを思いながら、足を止めずに進む。

 

ギルドに着くと、正利さんが既にいた。 

「早かったな」 

「走ってきましたからね」 

「飛行魔法でも使えれば――って顔してるな」 

図星だった。 

「この前、飛行魔法絡みで旅客機が落ちたの知ってるだろ」

「数百人規模だ。ああいうのがある以上、簡単には許可できん」 

「……まあ、そうですよね」 

「その辺の法整備も、今回の議題の一つだ」 

「なるほど」 

「行くぞ」 

会議室の扉を開ける。 

「失礼します」 

中には、佐伯さんをはじめ数人。

軽く会釈し、席に着く。 

――その時。 

「……よ」 

背後から声。

振り向くと、ヒカルが立っていた。 

「どこか行ってたんじゃなかったのか?」

小声で聞く。

「ダンジョンブレイクが起きたって聞いてな」 

「原因が原因だ。来るだろ」 

いつもより、明らかに真面目だ。 

……怒ってるな、これ。

「とりあえず、もう終わったぞ」

「ならいい」 

短い返事。 

「では、始めましょう」

 

資料が配られる。 

――オークション関連。 

仕組みはシンプルだ。

ネットオークション形式。

売り手は、継承機関登録の探索者のみ。

買い手は制限なし。

手数料は5%。

利益は――国が6、機関が4。

 

第一種参加国、利益を得る国は、機関の本部・支部設置国。

第二種参加国は、年100万ドルを支払う国。 

「……随分、強気だな」 

思わず呟く。 

ロシアとアメリカが同調しているのも興味深い。

中国の対応が原因らしいが――

まあ、納得ではある。 

ダンジョンは、もはや資源だ。 

魔石は燃料。

素材はレアメタル以上。 

中には、105mm砲を防ぐ装備すらある。 

放置する理由がない。 

「この案は、主要国ダンジョン対策会議でのものだ」 

他にも、

探索者の処罰。

飛行魔法の航路。

魔石を利用した飛行艇。

さらには、世界規模の高速鉄道構想まで。 

「……スケールがでかいな」 

「法律も統一する方向だ」 

「参加国は同一法を試験導入するらしい」 

なるほど。

日本が主導権を握る気か。 

正利さんと視線が合う。 

小さく、頷いた。 

「……これでいきましょう」 

「問題はない。ただし――」 

正利が口を開く。 

「探索者の処罰については、再検討が必要です」 

空気が締まる。 

「現状、一人で軍と同等の戦力を持つ者もいる」 

「銃で対処できないケースも増えている」 

「アフリカのアウルム帝国がいい例でしょう」 

「EUが介入を断念した」

 

「それが、現実です」

 

誰も否定しない。 

「……ダンジョン対策課のような枠組みは、各国にも必要になる」 

静かな結論だった。 


「それと」 

俺も口を開く。 

「ダンジョン研究についてですが――」 

「明後日のMDC8」 

「国家首脳会議と学術会議が、同時進行で行われます」 

「各国の情報共有を、円滑に行える体制が必要です」


その後も、様々な打ち合わせをしていた。

きたるMDC8をより良い物とするために。






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主要国ダンジョン対策会議(MDC8)

Major Nations Dungeon Countermeasures Council


継承機関の支部が置かれ、ダンジョン先進国である8か国が揃う会議。

上は首相会議から、大臣会議、学術会議、継承機関内での情報交換会など、様々な意見交換、情報交換、果ては同一法などの打ち合わせまで様々。





アウルム帝国 (Aurum Empire)


アフリカに出来た、探索者による独裁国家。EUが武力行使も考えたが、探索者による国家なだけあって損害が大きくなると判断され、現在は放置されている。

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