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目覚め
つまらない。何もかもつまらない。道行く人々は、皆、私を無視して歩いている。きっとあの街路樹に止まっている蝉が落ちようが、あの街灯の下で誰かが倒れようが、誰も見向きもしないのだろう。横断歩道の機械音が流れる。かっこうやひよこの鳴き声に人の波が操作される。ああ、こんな日常はつまらない。
何か、私が楽しめることはないのだろうか。
ザッ!と、私の頭にノイズが走る。
バリバリと響く音は次第に何かの声へと変わっていく。
嗚呼、忌まわしい。何もかも。
友達面をするただの他人も、ただ叱咤するだけの教師も。
全部、全部壊してやりたい。
赤に、黒に、青に染めてやりたい。
「彩花、おはよ」
友人の声で我に帰った。気がつけば、学校付近まで来ていたようだ。
「おはよ。今日はすっごく暑いね」
「そりゃそうよ!だって今日三十三℃超えるらしいし」
とりとめもない会話をしながら私は廊下を行く。
彩花、彩花と私の名前を呼ぶその高い声が煩い。
その口を、その息を、止めてやりたい。
心の中では思えども外には出せない言の葉たちは、私の心の中にまだどろどろと居座っていた。




