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vs女型モンスター

「焔の渦!」

焔属性中級広範囲魔法『焔の渦』

術者を起点に焔が渦を巻いて三百六十度方向にいる敵を焼き尽くす。

術者から離れれば離れる程焔の温度は下がり到達に遅延が起こる。

しかし、キングコボルト達の足は早く充分な温度の位置で足元を這う焔の渦に巻き込まれる!

『ぐああ!』

『あつい!』

『くそぅぅ!』

ほぼ全てのキングコボルトにダメージを与える事に成功し、うち三体は焼け死んだ。

しかし、母様なる女型モンスターは離れた所にいた為、あっさりと避けて無傷。

キングコボルトが態勢を立て直すよりも早く魔法を放つ!

「酸性雨!」

水属性上級広範囲魔法『酸性雨』

天然の酸性雨とは違い百パーセント完全酸の雨が敵全てに降り注ぐ。

これは先程の焔の渦と違い術者との距離で威力の強弱は決まらない。

等しく酸の雨が降り注ぐのだ。

しかも呪文を完全カットしている為あり得ない速度での魔法乱射である。

いかな女型モンスターといえどこれは効くだろう!

しかし!

母様を起点に光の傘…いや、サイズ的には屋根か、が発生して酸性雨を防ぐ!

この屋根のおかげで大半のキングコボルトと大地の妖精は無傷!

しかし、屋根から漏れた運のないキングコボルト二体が先程の火傷の傷に酸性雨が染み込んで内部から溶かされ融解死する。

雨がやむと同時に光の屋根も消えた。

それを見届けてすぐに光の無数礫が私を襲う!

それは自身の運動神経をどう高く見積もっても避ける事など不可能な代物だった。

避けれないなら防ぐしかない!

「雹!」

水属性上級範囲指定魔法『雹』

指定範囲に雹を降らす魔法だが、天然の雹と違って触れたものを凍結する。

雹は光の礫とぶつかり凍結し、砕けていく!

雹に凍結効果はあれども砕くというものはない。

凍結してなお殺しきれない威力が雹を砕いたのだ!

しかし、それ以上の事は起こらず、どうやら相打ちであり双方ダメージ無しで終わる。

「ーーほう!貴様本当に娘の仇ではないのか?」

「違うわ!」

「それ程強いのに?到底信じられぬのぅ。」

「世の中広いのよ?中には天才と呼ばれるような魔法使いだって存在するわ。」

「ーーーほう…興味深い話だな」

ニタリと女型モンスターは笑う。

そこに五体のキングコボルトが同時に飛びかかってきた!

『しねーーーー!』

しかし、呪文を唱える必要のない私にとってそれは脅威ではない。

「死の嵐!」

水属性最上級広範囲魔法『死の嵐』

『雹』の上位互換的魔法。

術者を起点に凍結効果のある雹の嵐が吹き荒れる!

『ぐぁぁ!』

『うわぁぁぁ!』

『こおるぅぅ!』

飛びかかってきた五体は嵐の餌食となり凍死したがその他は先程の光の屋根に守られて無傷。

この光の屋根、実に厄介だ。

最上級魔法を防ぎ切るとは恐れ入る。

「息子達よ、むやみに飛びかかってはならぬ。」

『はい』

『わかりました』

ちっ!

キングコボルト十体を倒した辺りで学習されてしまったか。

だが、基本的に接近戦で攻撃するしかないキングコボルトに何が…

はっ!

何をするのか悟って私は魔法を放つ。

最初は別の魔法を使おうと思った。

だけど、単体魔法故にそれは却下しこちらを選択。

残党キングコボルトの一斉咆哮と私の魔法

『難聴』が同時に炸裂。

難聴は自身にかけた。

途端、聞こえるはずの音が聞こえない。

同じ闇魔法でも沈黙ではダメだった。

選択が正しかったようで私は小さく笑う。

しかし、効いたように演技をする。

それを好機とみたキングコボルトが一斉に飛びかかってきた!

それを一網打尽にすべく魔法を放つ。

「火焔地獄!」

焔属性最上級広範囲魔法『火焔地獄』

紅蓮の焔が術者を起点に隙間なく襲う。

それは魔法を解き放った自分でさえも圧倒する威力があった。

「しまった!」

女型モンスターが叫び慌てるが既に遅い!

『ぐぁぁぁぁ!』

『あついーーー!』

『ははさまぁぁぁぁ!』

焔が消えた直後、大地は灼け爛れ、キングコボルトは女型モンスター近くにいた五体を除き全て消えた。

骨も炭も残さず完全消滅である。

凄まじい威力の魔法であったが、それを敵方は上回っていた。

ヌポ

まず、出現以降何もしていない、いるだけの巨大大地の妖精。

しかし土がある限りその存在は不滅。

たとえ、焔で塵もなく焼き払われようともそれは不変の事実。

続いて女型モンスター。

こいつ、自分とキングコボルト五体を守るように光の盾を生み出して焔の猛攻を防ぎ切りやがった!

「ああ、愛しい息子達を…!よくも!!」

『かたきだ!きょうだいをよくも!!』

「きさま、楽に死ねると思うな?」

「貴女もね?」

不敵に笑うがそこまで余裕があるわけではない。

戦いのプロフェッショナルという訳ではない私のできることは余りある魔力を惜しげもなく使う力押し一択。

戦術もクソもない。

とにかく破壊力のある魔法で潰すしかないのだ。

いま、彼らは女型モンスターの近くに固まっている。

やるなら広範囲魔法より範囲指定魔法!

「落岩石!」

フェンリル戦の時に使用した『落石』の上位互換魔法。

落石より巨大でごつごつした巨大岩が彼らを押しつぶす…はずだった。

落岩石発動せず。

「!?」

魔力消費もなかった。

文字通り発動していない!?

混乱しているところに女型モンスターが光の礫を打ち込んでくる!

「はっ!」

「雹!」

慌てていたが術は間に合い先程と同じ結果を生む。

しかし、何故先程の魔法は発動しなかった?

いや、考えていても仕方ない!

続けていくぞ!

「息子達!少し離れろ!だが離れすぎるな!

守れない!!」

彼らは中途半端にバラける!

っち!

内心舌打ちする。

これで一網打尽とはいかなくなった!

だが、気にせず打ち込むしかないのだ!!

私が脳内で魔法を検索していると女型モンスターがニタリと笑った。

そして自身の周りに複数の球体を浮かべる。

光の礫が人差し指サイズだとしたらこれは握り拳大の大きさだ。

これは光の礫より威力がある!

直感で悟ると同時に光の玉が全て向かってくる!

「石塔!」

フェンリル戦の時に使用した魔法を使う。

あの時は攻撃を主眼としての使用だったが今回は防御を目的として私と女型モンスターとの間に遮蔽物となるよう出現させる!…つもりだった。

「!?」

落岩石と同じで発動しない!?

混乱に乗じて光の玉は私に迫る!!

当たったら死ぬ!

女型モンスターが嗤う。

その顔が酷く癪に触り奮起する。

こんなところで死んでたまるか!

「烈風!」

私は自身に対して魔法を炸裂させた。

「なんと!?」

横殴りの風が私を襲い体を吹っ飛ばす。

私の体は地面に叩きつけられてワンバウンドして止まる。

…痛い!

これでも威力を半減させたのだ。

それでも痛い!

まさか、戦闘での最初の一撃が敵の攻撃回避の為とはいえ自爆とは!

それでもどうにか立ち上がる。

殺傷能力の高い魔法ではないがそれでも服は一部破れたし、打ち身に擦り傷打撲もある。

生まれてこの方そんな怪我をしたことないが、それでも光の玉の直撃を受けて死ぬよりかは遥かにマシだ。

実際私がいた場所は光の玉の力で軽くクレーターになっている。

捨て身で逃げてよかった!

でも、二度目は勘弁だ!!

「まさか!そのような手段で回避とは!」

女型モンスターの度肝は抜けたようで何より。

しかし、何故石塔は発動しなかった?

落岩石といい石塔といい…何が原因だ。

絶対に何かあの女型モンスターがやったのだ。

そうとしか考えられない。

この二つの魔法は発動しないがその他の魔法は発動する。

この二つの魔法と他の魔法の違いは…。

ーーー属性?

ふと、何もしていない大地の妖精を見た。

「ーーー気づいたか?」

女型モンスターが言う。

なんとなくこいつかくらいの感覚で見ただけで、ぶっゃけ何も気づいてない。

しかし、女型モンスターはフライングでネタばらしをしてくれた。

成る程女型モンスターではなくこいつが何かしてたか!

「大地の大妖精は大地に干渉し地属性魔法の行使を不能にする。

お前は我が子たる大地の大妖精がいる限りこの地で地属性魔法が使えると思うな?」

女型モンスターは勝ち誇ったかのように言う。

普通の魔法使いにとってこれはかなり厄介な話だ。

大抵の魔法使いは一属性、多くても三属性までと言われている。

そのうち一属性たる地属性を封じられたら魔法使いの実力は大幅ダウンだ。

最も敵対している魔法使いが地属性の魔法使いであるという前提条件がある訳だが。

そして、それはあくまでも普通の魔法使いにのみ言える話。

私は全属性の魔法が使える非常識型の魔法使い。

属性の一つを封じられたところで即不利になるという訳ではない!

「そして、逆に大地の大妖精は地属性の攻撃が可能となる。」

ーーー!?

その言葉を女型モンスターが放つと同時に足元が爆ぜ割れ即席の崖になる。

「!!?」

私の体が落下しようとする。

慌てて両手で崖の縁を掴む。

私は下を見る。

暗視魔法を使っているのにも関わらず、底が見えない。

やばい、想像以上にこの穴は深い!

「息子達よ、今だ!」

『きょうだいのかたき!』

残り五体のキングコボルトが襲いかかってくる!

だが、こんなところで死ぬ気はない!

「焔の渦!」

『!?』

たとえ崖っぷちでも魔法は使える!

焔の渦はキングコボルトに絡みつくようにして這い回り焼き尽くす!

『うわぁぁ!』

キングコボルト達の断末魔を聴きながら、なんとか崖から這い上がり態勢を整える。

整え終わった時にはキングコボルトは焼死体となり転がっていた。

「よくも!」

女型モンスターの顔が怒りに歪む。

これでキングコボルトは一掃した。

残りは大地の大妖精と女型モンスターのみ。

厄介なのが残った。

女型モンスターが光の玉を生み出す。

先程は複数だったが今回は一つ。

但し、巨大。

私が生み出したかった大岩並みのサイズ!

これはやりたくないけど烈風で避けるか!?

それを見越すかのように大地が盛り上がり壁となる。

壁に囲まれた私は風で逃げる事も叶わない!

「そのまま、死ね!」

光の大玉が私を襲う。

「死んでたまるか!」

避けられない、防げないならば打って出るしかないだろう!?

「火焔地獄!」

ごおっ!

恐ろしい音をたてて紅蓮の焔が光の大玉を飲み込む!

「このまま打ち破ってくれるわ!」

感覚で感じる。

このままだと負ける。

焔は光の大玉を焼き尽くそうと襲いかかるが、おそらくすぐに焔を突き破ってこっちにくる!

…ならば!

私はすぐに動く。

そして、予想通り光の大玉は焔を突き破り….威力は大分半減しているだろうが…

私を殺そうと私がいた場所に突き刺さり爆発、四散した!

…そう、そこは私がいた場所、過去のお話。

「やったか!」

残念、私は既に脱出済み。

光の大玉も火焔地獄も大きな魔法であり、ぶつかった瞬間互いの姿をかき消した。

だからこその大脱出。

私は烈風で吹っ飛ばされる直前にいた場所、今はクレーターになっている場所にいた。

無属性魔法『転移』

しょっちゅう使ってるアレである。

移動終了と同時に私のかつての居場所が見事に砕け散った。

女型モンスターは完全に油断している!

今しか倒せない!

私はかつてフェンリルを叩きのめした複合魔法を発動した!

「絶対零度!」

「!!!?」

女型モンスターの動揺を感じ取った。

だが、既に魔法は発動している。

魔力がガクンと減ったのを感じ取った。

複合魔法は複合した属性分魔力を消費していく。

しかも、足し算形式で減るのではなくて掛け算方式で減っていく。

例を出すと水属性魔法消費魔力十、闇属性魔法消費魔力十ならば消費魔力は二十ではなく百なのだ。

女型モンスターとの戦闘前に無駄遣いした分が痛い。

さすがの私もこれでほぼ魔力切れだ!

これで終わってくれ!!

私の願いを叶えるように闇が女型モンスターを囲むようにして円陣を描きその中が凍っていく!

「いゃぁぁぁぁぁあああ!」

悲鳴があがる。

難聴の効果か小さく聞こえるが、本来は耳をつんざくような声であろう。

大地の大妖精が女型モンスターを助けようと動いた。

不用意に円陣の中に入っていき、自ら魔法の餌食になりにいく!

しかし、闇の円陣には入れない。

ただ、その周りでオロオロとするばかり。

「いゃぁぁぁぁぁあああ!凍るぅぅ!寒いぃい!」

女型モンスターは自らを発光させて抵抗を試みる。

魔力が少なくなってきたとはいえ、今を逃す程私は優しくない!

私はなけなしの魔力を注いで女型モンスターを絶対零度の世界に閉じ込める。

発光する光の魔力さえも凍らせていく。

「ちからぁぁぁあ!力が抜けてくぅぅう!」

よっしゃ!このまま力押しでギリ勝てるか!?

「むすこぉぉぉ!食い物持ってこイィ!」

食い物?

私が疑問に思うと同時に息子と呼ばれた大地の大妖精が女型モンスターの命令を聞いて動いた。

何をする気か!?

大地の大妖精は大地の中に入りその姿を消した。

数秒後に現れた場所は離れたところにある壁際。

何を?

見ていると土壁がボロボロと溢れ落ちていく。

壁の向こうが露わになったが、その先がどうなっているのかは遠いのと大地の大妖精が邪魔なのとでちょっとみえない。

大地の大妖精がその奥に入り…何かを持って出てきた。

そして行きと同じく大地の中に消える。

一体何を持っているのか?

数秒後近くに現れた大地の大妖精を見れば答えは明らかだった。

………人間の死体………

それを大地の大妖精は持ってきたのだ。

女型モンスターはその直前『食い物持ってこい』と言った。

と、いうことは?

「よこせぇぇぇ!」

大地の大妖精は大地の中にその死体を送り込む。円陣の下を通って死体は女型モンスターの元に届く。

円陣の中に入った死体は本来ならば凍るはずだ。

しかし、死体が凍るより早く女型モンスターの顔が大きく変化して巨大な口を曝け出す。

そして、一瞬で死体を丸呑みにしてしまった。

「もっと持ってこいぃ!」

死体を丸呑みにした瞬間、ほんの少し元気になった女型モンスター。

まずい!

回復されてしまったら勝てない!!

しかし、大地の大妖精を止めたいが、大地の大妖精は土がある限り復活してしまう存在故二の足を踏む。

貴重な魔力を大地の大妖精に振り分けるより今ここで女型モンスターを仕留めに入った方が賢い選択な気がしたのだ。

しかし、自身の魔力は女型モンスターを仕留め切れるほど残っておらずその選択は外れだと悟る。

大地の大妖精は次に戻ってきた時、山のように重なりあった大量の死体を持ってきた。

ーーなんでそんなに死体があるのよ!

内心毒づくと共に、鉱山内部でいずこかへと運ばれていく死体があった事を思い出す。

ーーあれか!

こいつ、死体を非常食として貯蔵していたのか!!

気づいた時にはもう遅い。

女型モンスターに次々と死体を運ぶ大地の大妖精。

食べるたびに回復していく女型モンスターを看過することは出来ず大地の大妖精に攻撃を仕掛けようとするも、すでに魔力の残量が少なすぎてまともな攻撃魔法は使用不能。

今使用している絶対零度の維持も間も無く出来なくなる。

焦っている間にも女型モンスターは復活を果たして絶対零度の闇の円陣から凍てつく魔力を体に纏ったままではあるが抜け出してしまう。

万全とはいえないまでも粗方回復してしまった女型モンスター。

対する私は魔力枯渇状態に陥る。

難聴は維持出来ず聴力は復活、暗視も間も無く切れる。

…やべぇ、詰んだ。

負けた。

負けたのはわかった。

ここにタイミングよくスチュワートがくる可能性は低い。

逃げれるような相手でもないし、これは年貢の納め時かもしれない。

だけど、せめて最後まで立っていよう。

膝をついて命乞いなど、仮にも公爵令嬢たるこの私、リナリーバー・ミハルバーの名にかけて決してしない。

最後まで貴族としての矜持を持って死んでやる!

私は女型モンスターを睨んだ。

次の瞬間女型モンスターの顔が歪む。

勝利を確信した笑みの形に…ではない。

それは明らかな苦痛の顔。

なんだ!?

「ぐっ…!?ふ…!?」

女型モンスターは呼吸を乱して膝をつく。

明らかに私の方が劣勢なのに、まるで女型モンスターの方が重症のようだ。

しかし、それはあり得ない話。

一体何が…!?

私がただ呆然と見守っていると、女型モンスターは言った。

「…う、産まれる…!」

「ええええ!?」

私は思わず絶叫したのだった。










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