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vsグリフォン 〜テオ暴走〜

グリフォンの数を数える事に意味はない。

この岩山を抜けない限りグリフォンは後から後から湧いて出て来るのだから。

私は呪文を唱える。

この呪文を唱えながら思う。

先程、ぶつ切りにした魔法が発動した。

ならば、そもそもこの呪文必要なのだろうか?

呪文とは世界が与えた魔法使いの枷なのではなかろうか?

私はその枷が外れる事に気付いてしまった。

しかし、未だ私は自由ではない。

自由ではない鳥が自由になれると気付いてしまったら果たして世界はどう動くのか。

もう遅いかもしれないが、枷が外れる事など知らないふりをしてやり過ごすべきだ。

少なくてもスチュワートを手放すその時まで。

だから枷に繋がったふりをして呪文を唱える。

「振動!」

風属性中級小規模範囲指定魔法『振動』

指定された範囲に魔法が発動。

その範囲内にいる対象は振動する空気に苦痛を強いられる。

グリフォンを殺せる程の効果は見込めないが、退けるにはこれで充分!

指定範囲外のグリフォンが襲いかかるがロバートのサーベルが閃き退ける。

何も殺す必要はない。

グリフォンは賢いのかヘタレなのか何度か退けると別の気球へと向かっていくのだ。

まあ、岩山を抜けない限り湧いてくるから攻撃の手は緩まないのだが。

スチュワートがゴンドラの外に出てグリフォンを足場にして行く手を塞ぐグリフォンを切り刻む。

数体仕留めた後戻ってくる。

一番殺傷能力が高いのはスチュワートだ。

明かりの魔法で明るくなっても僅かな闇の隙間に溶け込んでグリフォンを襲撃していくのだ。

グリフォンだってこんな男想定外だろう。

その時、スチュワートが落ちてきた人間にしがみつかれてバランスを崩す。

「!?」

スチュワートは瞬時にゴンドラの縁に片手をかけて落下を防ぐが片手では長くは持たない。

いや、それどころでない。

ゴンドラの重心が一方に偏り私達も急速に下降していく。

スチュワートはしがみつく人間を振り落としたいがしがみつく人間も離したら落ちるとわかっているので必死に食らいつく。

あまり暴れるとスチュワート自身の落下が懸念されるため強く払う事も出来ない。

「くそったれ!」

ロバートがサーベルを使ってしがみつく人間の手を刺して引き剥がしにかかる。

「ーーー邪魔です!」

スチュワートは人間の目を刺してようやく引き剥がしに成功する。

すぐさまゴンドラ内部に戻る。

「すみません!」

「だーーーいじょーーぶぅ!」

ゴンドラは下降を続けるが、テオがゴンドラの操作を続ける!

「この先、上昇気流がある!乗れ!」

「りょーーかーーい!!」

ぐぅん

上昇気流に乗ったのか下降がとまりどんどん上昇していく。

「いっけーーーー!」

だが、上昇先にグリフォン!

「邪魔だ!邪魔だ!!ぶっ潰す!!!」

テオが気球を操作して真上にいたグリフォンに気球本体で体当たりをかます。

グリフォンの方が気球より小さいし軽いので思った以上に吹っ飛んだ。

「ぼーーくーーの、気球を傾けるとか?マジありえないんですけど?」

そう言いながら気球を操作する。

気づけば他の気球とさして変わらぬ高さまで来ていた。

「どーーこーーのーーどーーいーーつーーだぁ?」

もしかして、さっきの男が乗ってた気球を探してる?

「落ち着けテオ!わかんねぇよ!!」

「そっかぁ、僕ってばおバカさん☆」

こつんと拳を自身の頭に落として舌をぺろっと出す。

よかった、わかってく…

「全部ぶっ飛ばしていけばよかったねぇぇ!」

…れてない!

テオの目が血走っている!

「お、落ち着け!テ…!」

ぐん!

気球が急加速して最高速度を打ち出す!

「うわぁ!」

「!」

私は前のめりになるがスチュワートが無言で支えてくれる。

「うわぁ!無茶すんな!!テオ!!!」

「あっはーー!無茶?無茶ってなぁに??

こーいうことーーー??」

がん!

「うわ!」

全速力でどこかの気球に体当たりをかました。

体当たりされた気球は当然落ちるがこちらも落ちる。

『うわぁぁぁぁ!?』

私の声と落下していく気球の人達の声が揃う。

「うははは!」

そこに狂ったようなテオの嗤い声!

このまま死ぬ気か!?

しかし、私達の気球の下降はとまり体当たりされた気球を下に見送る。

「と、止まった…!」

「このままあいつらと心中なんてゴメンだからね!

気球の操作は怠りマセーーン!!」

私を小馬鹿にしたようにテオが言う。

どうやら、火力を最大にあげて下降を止めたようだ。

しかし、ギリギリ!危ない!!

「誰が乗ってると思っているのですか!」

スチュワートの怒声が響くがテオは全く堪えてない。

「しりましぇぇん!!勝手に乗り込んできた人のことなんてどぅでぇもいいんですぅぅ!」

「落ち着け!!どうでもよくなんかないから!

スチール!俺からこう謝るから!な?この通り!」

ペコペコとロバートが謝る。

ロバートが常識人に見える不思議。

「ほらほら!のんびりしてないでぇ!?

働いてくーーだーーさーーい!!」

ロバートの心情を無視して小馬鹿にしたようにテオは言う。

「お前はぁぁあ!」

ロバートの泣き言が響く。

未だ収集がつかないが、岩山は続きグリフォンが襲ってくる状況は変わらない。

こんなところで仲間割れしてる場合じゃないのだ。

「わかったわよ!働くわよ!!」

私の言葉にスチュワートは頷く。

彼もこれに構ってる暇はないと判断したのだろう。

迫り来るグリフォン、不定期で落ちてくる人間と気球。

こんな状況でどこまでやれるかわからないが、やるしかないのだ。


こんなところで死んでたまるか!!


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