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RELIS  作者: 孤独
終焉編
630/634

童謡



空もないところで



地を踏んで人が生きている



人が見上げて、空がようやく見つかった。



空は照らしながら、人へ微笑んだ




♪     ♪




歩んできた跡を長く見て来た



転んだ場所を心配そうに感じた



交わった足の深さに震えても



進んでいくその先に同じ光はあった



人が戻れない道を振り返り、止まっても



泣いて拒んでも、人も地も空も行ってしまう



人が分かち合い、笑い合っていること



いつかの人も、そこにきっと行けるよ




♪     ♪



熱い土を踏みしめる人



どこまで歩いても終わりはないよ



さぁ走りだして進んでいこう



焦らなくても待っていることがあるよ



それに何を求めているのだろうか



道を歩く人達



♪     ♪



ゆっくりと変わる時の変化にも



荒れ狂う嵐の現在いまにも



どこにでも人達は生きてきて



様々に在られていた




悲劇と出会ってしまった人が



立ち向かえたり 挫折を知りえたり



強くなっていかないと できないことでもいいと



許されなくても 人で在らせて




♪     ♪



青い空を見上げる人



君が空を分かるなら 人だと望んでいるよ



輝き光らせて見渡していこう



先は今を楽しんでできているだろう



自分もそう見つけていけばいい



人を知った人達




♪     ♪




そうしていなくなる人 止まってしまう気持ち



動かなくてもいい 痛いも分からない



分かっていることを伝えていく



伝わっているんだね




♪     ♪



地の足跡を見る者



そこには人がいただけではないから



空の明かりはまだ眩いだろう



どんな過去にも明かりが待っていた



人がいない時も



空と地は人を待っている



人の帰りを待っている



それはずっと



ずっと



ずっと



◇        ◇




曲名は"そこに人達はいた"……だそうである。

どんな時にも人がいること、どんな時にも歩くための地面と見上げる空があること。待っている者がどんなときにもあること。

そーいう想いを込めて、謡歌が作ったという。ちょっと照れくさいものである。


声だけであるから、上手いとか下手とかいう状況じゃない。


伝えただけって、その気持ちだけである。それが精一杯。



「ははは、恥ずかしいなぁ」

「ううん。良かったよ」


春藍は頷く。結構音楽は好きだし、彼からすればやっぱり上手くないって、思ってそうだが。


「次の世界で音楽とかがあれば、謡歌の気持ち。作ってもらうよ」

「え」

「芸術って残るものさ。継げたり、護れたりする。うん……そーやっているものだよ」



春藍は謡歌をナデナデして、それを約束した。最期に兄らしいところと、兄なんだなってところを、思わせ、思い知れた。嬉しいねぇ。


「お兄ちゃんは……」


泣くなって決めてたけど、やっぱり泣けって言ってる。

そう言っている。


「覚えていてくれる?」

「うん」


飛びついて、その胸を叩いて


「私!!絶対に!お兄ちゃんを、覚えてるっ!水羽ちゃんも!ライラさんも、アレクさんも!夜弧さんも!ロイさんも!!そこにっ……バードレイもっ」

「……………」

「覚えてるからっ!!死んでも、忘れられない事!だからっ!」


全部を正しく選べないこと。最強だろうと無敵だろうと、一般人でも、同じ事であった。何を選べばいいか、分からずに死んでいくこと。在り来たりでも、受け入れる。難しいなぁ……。



「どうか、みんな。元気でいてね」

「うん。謡歌も元気でいるんだよ」



どこにも行かないでって、強い力だった。強い願いという、悲しい現実だ。でも、その力を徐々に、心を込めて解いていく。謡歌の崩れた泣き顔が辛いことをさせている。でも、お互いに思っている。



ギュウゥッ



「お兄ちゃん……」

「兄らしいこと、何もしてやれてなかったね」


だから、自分の方が辛いって伝える。謡歌に悲しいことをさせたくない。兄っぽいかなって、くらい。

抱きしめて。時は止まらず。

謡歌の方から徐々に力が抜けて、離れたとき。春藍も、ゆっくり離した。

泣いている眼に、泣いていない眼。


「ごめんね」

「……ううん」


でも、伝わったものはちゃんとある。分かっているんだ。


大丈夫。


「護ってね」



兄は護りたいものを護ってくれる。私がそうでないって事じゃない。もっと大切な者がそっちに沢山いるから、選んだんだ。苦渋って事にならないのは、苦しんだからだ。

一生懸命に護り抜こうと見て来た、知っているから。分かること。




ゴゴゴゴゴゴゴ



ガシャァッ


そして、春藍達がタイムマシンに乗り込んで行く。


「行ってきます」

「行ってらっしゃい」


おかえりも、ただいまも。聞けない。

表情が見えなくなると、吹き出てくる。泣いちゃうよ。



ビイイィィィッ



「いつかまたっ」



ビイイィィッ



「お兄ちゃん達に会いたいから!!私達!」


死んでも、待ってるから!

時代がいくつも変わっても、終わっても、始まっても……。

人は終わらない。



パァァァンッ



春藍達は、とうとう未来へと飛んでいった。

これで新たな未来に謡歌達が残したコトは無事に届くだろう。


現実は終わることも確定した。

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