表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RELIS  作者: 孤独
終焉編
624/634

面会


反骨心は大事なものだ。

この世の中。降ってくる死の雪を何気ないものだと思い、とても小さいスペースで穏やかに平穏に過ごしていく様。

1つの人間の強さを思わせる。一方で、



「こう野宿が続いて疲労は溜まっていくばかり」

「居住を第一に造りあげることを優先にしておくべきです」

「みんなのため、協力して設営しましょう」



0からの人類生活のスタートにしては、ゴールは0.01ぐらいで来ちまう。滅亡というオチ。

ここに残そうとする物。全ては潰える。

ゴールにボールを入れた結果だ、実績だ、楽しさなんてものもだ。



「いっくぞー!」

「こーい!」



明日死ぬかもしれない。それを遠くないって知らせを影に落とさせ、子供達が遊んでいる姿を罪と問うか?

お爺さんが最後の楽しみで選ぶ飯が、餅ということが罪に感じるか。

時計の秒針を指で止める悪足掻き。壊すことを何に思う。



「……………」



することもなく、ただただ待つバードレイ。

住民達からは当然、敬遠されているものだ。

しかし、彼女が住民達の様子を眺めることくらい許されていて、何を抱かせるだろうか。進んで向かうことはない。

むしろ来られる。夜弧がやってきたように



「少々、宜しいであるか?」

「私はお悩み相談室をやっておりませんけど」

「どうかね?」



2人目はヒュールであった。


「アレク達以外に生き残る者がおるのなら、ぜひとも。私共は託したいのである」

「私はあなた達を滅ぼしに来ただけ。約束した以上、今は動かないだけ」

「ならば訊いてくれ。そして、答えてほしいのである」



隣に座って、目を合わせずとも良い。

人の論である。



「君が救えないにしろ。滅ぼすという言葉は偽りであろう」


ヒュールは何も知らないが、そこから導く答えもある。


「あくまで君が滅ぼすきっかけを背負って、生きようとするかのようである。それはまるで魔王のように振舞った人間の仕草のようである」


バードレイはアレク達とは違い、逃げずに真っ向から"SDQ"と渡り合える。


「罪を背負うことであるのか?君だけが生きた世界に、君は何を知れるというのである?」


分かったもんじゃないさ。彼女の若さある見た目に反して、自身以上の人生の執着と経験を物語らせている。


「くだらないものじゃない?人の命の在り方って」

「くだらない?いいや、失敬な言葉であるな。私は人材教育の管理を任されておったからだ。そのような解釈は管理人からも思われた節はないのであるよ」



ヒュールも、バードレイも尖らない。



「……………」

「……………」


バードレイは問わない。だから、ヒュールから尋ねるしかなかった。

きっとどう転んでもそうで、選べることを抱けただけか。


「こうして生きて、残すことをくだらないと問うのであるか?」


住民達の記憶操作はほとんどが終わっている。滅亡の恐怖を緩和され、まだ意図的な記憶操作、思念の妨害が続いている間で残されている、前向いて生きていく生活が今。

偽りだろうと思うか。



「私達は死ぬのである。だが、生きていく事にお前はどうするのである?」



その強大な力で、敵という悪意を見せて、これから先の命を奪っていくのであるか?



「あなたはそうして欲しいの?」

「率直に、わずかな希望を信ずるなら、人類を立て直したいのである。お前がやるのは立て直す糧やきっかけを産む、損な役回りと私の見立てで感じたのである」



"時代の支配者"などと、大それた名を借りて、人の本能にある生存本能を揺らす力だ。

恐怖が生きるという希望を作るなんて、誰かが言っていた気がする。

この全滅における恐怖は誰かがしっかりと、見届ける義務がある。


「あなたは記憶操作をしないの?」

「するつもりはないのである。住民達の混乱を抑えられる手段が、そのような外法な事である。いや、こうして面会できるとは私も思っておらんのであったよ」

「……それは確かに。私って優しいから」

「うむ」



ヒュールの立場からしたら、ラスボスに意見が出来る凡人代表だ。特別な力を持てず、友達というカードもなく、奇妙なことにできる、下々(しもじも)からの言葉があった。

滅ぶ文明の前に、まだ生きようとしている住民共の姿だ。



「醜いであるか?」

「個人が決めなさい。あなたも重大な任をついていたのでしょう。記憶を作り変えてでも、人らしく生きようと扇動したのは大きな決断と功績じゃなくて?」



バードレイは関係ない、そんなフリ。当然でもあるか。



「私共に力はないのである。それでもこうしてでも。あなたを乗り越えるため、こうして共にするための人類の覚悟を削ったのである」

「それで?」

「ありがとうである。どうか、私達人類の最後の1人になるまで、あなたは見届けて欲しいのである。この頼みをしたかったのである」

「……そうすれば、あなた達の生き方が私の中に宿るというわけか。戦国時代の真田家?かしらぁ」

「言論の封殺が残酷であるように、存在の封殺など1人1人の人間が持ってはならんであろう?君にとっては過去であってもである。こんな時でもあるからである」




コロコロ……



そんなタイミング良く。子供達のサッカーボールがこちらの方へ転がって来た。



「むっ」

「ヒュールさん!蹴ってー!」

「分かった。蹴るぞぉー」



馬鹿じゃないって思わない。そんな平和の切り抜き。



ポーーーンッ



子供達に渡る上手いパス。ヒュールはパスをし終えた後、バードレイの方に振り返る。

一方で、バードレイはずーっと子供達を眺める。この時、ただただ理不尽な者でないとヒュールは確信する。おそらく、自分の読みにも合致した。


「君が造りし、支配する世界を問わないつもりである」


ビジョンもないのかもしれない。

これからっていう将来の子らしい一面もあるだろう。


「だが、今くらいの親切さがあって欲しいのである」

「それは当たり前なんじゃない?何気ない事を忘れるくらいのこと」



ただ意地悪なだけしか残らないというのなら、意味なきこと。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ