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RELIS  作者: 孤独
終焉編
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尋問


三矢とバードレイはお互いに知っている。とはいえ、三矢にとってはバードレイを知っているよりかは、"時代の支配者"と語る方が正確だろう。


そちらよりもだ。


なぜ、バードレイが無言とはいえ。三矢の言葉に耳を貸しているのだろうか?

恐ろしく強いという印象は確かであり、それがクォルヴァの見立てからでもまだ不全というオゾマシイところ。

気落ちしている春藍達には、そーいう疑念を持つだけ。回復に意味を持たないが。



「不思議です」



夜弧はついに望むべく相手を捉えたことで、推し量る思考に余裕を作れた。

クォルヴァから見て、彼女もこれほどの人間の記憶操作を経て、能力の発展が成せたのだろうか。住民達の記憶操作を続けながらも、バードレイにもモロバレでも警戒の目を見せていた。



「バードレイの監視と調査は三矢さんに任せなさい。夜弧」

「クォルヴァ」



ハッキリ言って、奇跡的な説得だった。

性格に救われたと言っていいこと。

クォルヴァは分かりやすく、分かられていて、夜弧に伝える。



「三矢さんはバードレイの弱点を尋ねている。何かを得られるはずで、あの監視を引き受けている」



とはいえ、弱点と言えるものはないだろう。語ることもないし。それが事実かどうか……"本音"で探ればそれが分かっても、次の対峙は時代を超えたその先でだ。無くなったり、克服したりするなどの事もある。

繋いだ命をどう紡いでいくか。


「君達が生き残れる時代には必ずしてくれる。あとはそこで何をするか。何があるか」



この時点で残り1人の椅子は決まった。

クォルヴァの中ではだ……。


「三矢さんとバードレイの事は私に任せて欲しい。君もまだ頑張るんだろう?むしろこれからか」

「……そうですね。私も春藍様やライラと一緒に戦いたかったですが、今は討てるわけもなくです」


断念とするしかない。

夜弧だって渋々という気持ちで、バードレイと戦うことを諦めた。戦意や敵意を剥き出してくる相手の方が戦いやすく、逆にそうでない者とは戦いにくい。不思議な気持ちにさせてきやがると、



また、夜弧にはそれだけじゃなく、ここは抑えるとこなのである。

取り戻す者が今。どうしているだろうか。



◇     ◇



「藺兆紗のところには行かないのか?」



話し合いにしては一方的な尋問。

絶対的な強者は今、全てと戦おうが勝てるであろうバードレイを相手に、三矢は命を思わず問い続ける。

彼女の受け答えは特別に必要ない。心理状態を把握するのではなく、"本音"を聞き出すわけだ。

思想という遠い未来で形にするモノを拾える。



「……………」



バードレイが無言を通そうが。三矢には自身が問い詰めた"本音"を掴める。

わずかに不安に思う事は、これが疑うほどに掴めていることだ。真相を隠しているわけでもなく、秘めているわけでもない。ましてや、嘘情報を飛ばしているわけでもない。



「春藍達がタイムマシンで行った後か。らしいな。藺兆紗の異空間に入った後で、藺兆紗が殺されたらどうなるか、分かったもんじゃないからな」



事実だろう。

だが、それでどうなるか。そちらの未知数の方が今は、真っ当ではないか?

クォルヴァの見立てでは藺兆紗の協力と、さらなる時間稼ぎが必要とされている。本来の人類なら一日たりとも無駄にはできない。そんな時でも、無言と呆けをかましている。一部の、人らしさか?


"本音"は零れたらそこで、発展の余地なきこと。

三矢は続ける。



「あんたは死ねるのか?俺はあんたを止めたら、死んでやれる」



だが、もうそーいう意味では止められないんだろう。

死んでいいという気持ちがあったら、命の粗末を何も思わないだろう。笑いながら何度だって死んでやった存在。その度に蘇ってる人。倒せない敵がいたら、その命が尽きるまで待つという人。倒せる状況になってから現れるという、単純な事だけど絶対的。

その度。どれだけの時、苦痛を。あんたは何事もなく受け入れている?



「……死ねるんだな。じゃあ、蘇らない方法は?」



死で得られる事に何がある。

そうまでしたい事。



「少しは老いに恐れるのか?死んでから、生誕し、一定の成長まで終わらせ、蘇ってくる。とんでもねぇルーチンを組んだな」


失うのだから、取り戻せるモノや得られるモノもある。

ただ、何にもなく。失うだけというのがある。その答えが唯一、バードレイという"時代の支配者"を終わらせる手段なんだろう。心臓が止まっちまう、生物という死を人間は持ち。また人間は、心が空っぽになるという、人間の死を併せ持つ。バードレイもそうだろう。

だから、きっと。



「諦めないって言葉は、諦めがつくもんに限ってだろ。ならあんたがそうなるように俺達がすれば良いのか?呪いじゃねぇか?受け入れていて、……良いのか?ホントにそれで得られるのか?あんたが何かを」



おそらく



「そうしないと、死んでくれないのか?」



世界を救えても、彼女だけは救われんこと。



「他所は他所か」



幻想はいつも、"いつも通り"。みんなが喚き散らすことかい。

通じねぇか。



バードレイは一切を答えない。"本音"を問われ、訴えを知られてもだ。



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