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RELIS  作者: 孤独
終焉編
618/634

不全


ドゴオオオォォォッ



破滅の足音は、何よりも大きく。シャレも言うが。衝撃は衝撃波となって、生きる人類を震撼させる。



ガゴオオオォォォッ



これまでにない破壊活動。これまでが静かだって事を思わせるほどの、世界全土。時代の中が文字通りの、”終焉”を告げようとする。


宇宙が誕生した時、星が光始めた時、水やガス、風、熱、炎を生み。海を作り、大地を作り、マグマを作り。植物が生まれ、微小ながら動く生命すら行動を開始し。植物が幾多の種類に枝分かれしていくように、生命の全てもその習いに惹かれ、環境を知って多くの分類と成長を遂げた。

知識を得た者が人間となり、その人間もまたこれまでの生命と同じく、進歩と発展という表現の自由を変えて、成長していく。


しかし、それでも彼等の尽きる時代が



”終焉”



という道なのだろうか。



「生きてる……」



当然かもしれない。それを絶望ではなく、ましてや希望ではなく。

春藍達は当たり前に言えてしまい、思えた自分達にかつてない動揺を生んだ。


人類が管理社会を築いてまで達した領域は、向こう側に立っているたった1人の人間が手にしていた。


絶えず彼女に襲い掛かる白の津波が、黒の背景へと遷り変わっていく。そこに救われたという予感はない。それが無害であってもだ。脅威であるに違いないと、訴えるのに十分なもの。

バードレイの体がほんの少し、自分達に向けて進む時。



「どこへ行くの?」



辿り着く過程を終わらせ、春藍達の前に並んだ。

1つ1つ能力を使ってくるが、どいつもこいつもその過程が一瞬で終わってしまうのだから、春藍達には連続かつ広範囲、多様性あると推測される。




タッチ



そして、今までその能力が人に向けられて使われていない事。4人も同時に触れられる素早さが大した事ないと、言えるほどだ。

危険性が特別に優れていると分かっているのに、彼等は避ける事もできない。

急速な成長は一時的なものであり、臨界点に達すると同時に訪れるのは急激な退化、老化、衰え。”終焉”の効果を存分に使うのであれば、生命にある成長すら飛ばされて、衰えのみを与える。むしろ、それだけで抑えられているのは幸福かもしれない。




ガクッ



「ごふっ」

「ぎゃあぁっ」



ロイと水羽が地に転がり、骨の痛みと皮膚の痛みがこれまでになく、デカイ信号となって体に襲いかかる。

穢れが吹き出るように春藍にも、ライラにも急激な退化が襲い掛かり、立ち上がる事ができず。恐怖のみが増大していく。



「うぅっ」

「くっ……」


体の力が急速に抜かれ、衰えるという生命の絶望。

意識が薄れていくという、眠りとは違った安心のない恐怖に春藍もライラも怯えた。

それを超える者が傍に立つ。



「……………」



勝てるのか、これに……。

バードレイは前を向いている。すでに春藍達を倒したと言えるほどの状況でも、まだ残った者がいる。



「やっと出会えたね」

「そうね」



最後の管理人、クォルヴァが彼女の前に立ちはだかっていた。

”SDQ”が周囲に雪崩れ込み、また誘発させていく。その様子を見届けてクォルヴァに尋ねる。


「なるほど、あなたが”SDQ”を抑止していたわけですか」


藺兆紗との戦いで敗れたが、そのまま”SDQ”と同化し。事態を抑えこんでいた。しかし、今。彼がここに立っているという事は制御を失っている状況。



「なんの用?」

「どけ」

「いいわよ」


バードレイはその言葉になんて事はなく、クォルヴァへ進む形で春藍達から離れていき。クォルヴァも進む形で春藍達の元へつく。

バードレイはこの世の終わりを眺めるように見渡していき。クォルヴァは春藍達をその力で救出させる。



「ぶはぁっ」

「た、助かった……」



同時に


「ありがとう。ここまで持ちこたえてくれて」

「クォルヴァ。あんた、生きてたのね!」

「…………」


その言葉にどう返せばいいのか。困ったもんだと、表情が複雑だった。



「話しは終わったかしら。どーしてくれんの?」



バードレイはまったく彼等を見ずに。けれども、クォルヴァにだけは伝えていることだった。

理解していて、クォルヴァは弧を描くようにバードレイへと近づいていく。返す言葉は、


「私には知りません」

「へぇ」


危機的な状況で優雅に散歩しているようだ。



「あなたはどうします?”時代の支配者”。私と戦ってみますか?」

「あなたは勝てないじゃない」

「でしょうね」



時間稼ぎにしては互いに何かが足りていないと、窮地から救われた春藍達は感じる。逃げ出すべきかどうか。その判断は自分達が決めること。まず、戦うという選択肢はなかった。



スタンッ



「でも、私はあなたを倒せる。それはあなたも気付いている」


睨み合うほど近く来ている事だ。どこにそれがあると、絶望を知った春藍達には理解が届かなかった。

そして、それも甘い読みであること。

クォルヴァはまた歩き始める。大胆にバードレイに背を向けてまで、春藍達に向かってくる。




「私が倒れる前に、あなたを含んで世界が終わる」




希望を届けに来たわけではない。むしろ、逆である。ここまでこっ酷くやられて、なんら次に繫がる材料を手に出来ないで



「あなたはまだ不完全な状態だからだ」



進歩の余地を残している、恐るべき事実。



「”SDQ”を乗り越えられない。確実にその数であなたが潰える」


否定も肯定もなく。


「どうかしら?」

「諦めないのは素晴らしいけれど、きっと白い世界に包まれていくだろう。あなたもそうなり、人々は失う。能力1つでクリアできるのなら、我々管理人でも、どうとでもなった。でも、できなかった」



ドオオオォォォォッ



「どーしようもなく、膨大に溢れているんだ。全世界なんて言葉。たった一つの世界のものではない。分かるだろう?バードレイ」


勝ち負けじゃなく、生き残れるかどうかをクォルヴァは訴える。

何を残すか。何を消すか。


「クォルヴァ。あんた……」

「落ち着け。ライラ、助ける」


どこか桂を思わせるような言葉で返された。

クォルヴァが実力ではなく、言葉で持ってして、バードレイを止めようとする。



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