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RELIS  作者: 孤独
終焉編
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終焉(エンディング)


オオオオォォォォッッ



バードレイを攻撃したというより、ライラの"星誕滅亡"は場の破壊の印象が強い。



「うああぁぁっ」

「あああっ!!」




春藍も水羽も、巻き添えに多大なダメージを負った。無論、それを放ったライラにも衝撃と魔力を使い切っての脱力が降りかかった。

雲が消え落ちてくる彼女を



バシイィィッ



「春藍……」

「ふー。空から落ちるなんて、危ないよ」


春藍がキャッチする。そんな彼も"星誕滅亡"の影響で損傷が激しい。無理に心中かのような攻撃は、こちらに死者が出なかっただけマシに思える。

立ち上がって来るな。そんな恐怖を抱くも当然。



「春藍!ライラ!」

「水羽、ロイは無事!?」

「あ、当たり前だろうが……クソ」




4人は弱りながらも、戦闘体勢をとる。向こうに感知不能な瞬間移動がある以上、うかつにバラける事もできない。とてつもない破壊は存在すらも無くなったと言えそうだ。なのに、彼女への警戒が消えない。



ゴゴゴゴゴゴゴゴ




「いえ、やっぱり」

「うん」


ロイが春藍を、水羽がライラを抱え。

この場から全力で逃げる。




ドパアアアァァァァッッ



「マジかお前!!あの攻撃で"SDQ"を呼び込みやがったのかよ!!時間稼ぐんじゃなかったのかよ!!」

「避難地域でやるより良いでしょ!!これで終わりよ!!呑まれりゃ死ぬ!!あるいは出て来れない!!」

「というか、春藍が重っ……」

「ごめん。ロイ」


"超人"が人を抱えて走った方が早い。


「バードレイ……どうして……」

「考えてる暇はないわ!!あいつが全ての巨悪なのは間違いない!こんな顛末も自業自得よ!」


管理人と共に戦っていた時もあれば、敵対してた事もある。ライラにとっては大きな事であって、水羽にとっては友達だった1人を失う。意識の違いは確かにあった。

それよりも周囲に侵食していく"SDQ"の津波から、一目散に逃げなければならない。


全世界最後の希望。それが人の手によって、削られる。

それでもなお。



「私達には、まだ戦うべき者がいる」



住民達はライラの"星誕滅亡"を見ていた。

そして、その余波で噴火如く現れる"SDQ"に、その存在の脅威を=かそれ以上と見た。

死ぬというのなら、滅びるというのなら。

また先でそれを討たねばならん事を……。




◇       ◇




全ての能力の原点であり、故に頂点である能力。

バードレイが不死身と同義な耐久力と精神力を誇り、認識できぬほどの瞬間移動も持ち、春藍とクォルヴァを凌駕する回復力、ロイと並ぶほどの格闘能力(これの場合は、総合的なパラメータと見るべきか)、時間があったその時から微力ながら続いている、無限と言えるだろう効果時間が霞むほどだ。

始動と終着にある過程という経過をほとんど飛ばす。これを極限に成されているからのこと。


一を全。全を一。


どれにも可能性を持ち、どれとも奇跡的に繫がる。それが1つの能力を突き詰めた果てに辿り着く、全。



始まるという行動の基点。どれにも共通する。

また、始まりとは。



「終わりのきっかけ」



終わりとは。



「始まりのきっかけ」



それが、バードレイが時代を繰り返してでも、手にした能力。

誰にも、元神にも、束縛できなかった力を手にした、たった一人の人間。



"終焉エンディング"



その能力。

時代に存在せずとも、ただ1人の神を追放させた。世界と時代、全人類皆。この"終焉エンディング"のために働いていた事を証明するもの。

生きる人々、その1人1人はこの能力を発現させるためにいる。

たった一人に産み落とされるためにある。

覚醒されたその時。



新たな神か、悪魔か。

人類最大の災害となって、世界を終焉させることだろう。即ち、それは本当に辿り着く滅亡。




ゴギュウウゥゥゥッ



「ふぎゅうううぅぅっ」



ライラの策略に嵌ったバードレイは"星誕滅亡"の直撃に加え、"SDQ"の雪崩を会心の一撃で浴び、これまでにない激痛と死を味わった。



「があふぁぁっ」



これは試練である。

"終焉エンディング"はただ欲しただけでも、時間に匹敵する努力と星の奇跡の並ぶ才気、無限の母数にある1を引き当てるくらいの強運、死を何千と知るほどの苦も。まるで意味をなさない。

誰しもその可能性を持ち合わせる。

ただ、誰もそこに辿り着けなかっただけ。

本当にそれだけであると、能力に自覚があるのなら、溜め息を零して頷くのだろう。



「うふふふふ」



バードレイがこの苦痛に慣れることも、選ばれたからとか、能力が保護したとかもない。

元となっている彼女自身の凄さ、強さがあって、能力というものが傍にあるというのが基本なのだ。あれだ。死に物狂いで手にした技術というものがあって、それを武器なり、自慢にして、飯なり生活なりをする生き方の延長というショボさであろう。それと変わらなくていい。

そんな小さい事の積み重ねが、オゾマシイまでに評価される。人という生物が本当に讃えられるべき、凡人にもとれる狂いある行動の価値。

継続というシンプル。諦めないシンプル。

長々と時代という旅をしてきた、元神の置き土産ですら。終わりにさせるには、そんなシンプルな理由でいい。




ジュアアアアアア




「あはははははは」



白色とは、RGBの255が3つ。赤、緑、青。

1つずつ同じく揃えて、1を引く。そんなことをチマチマと死んでも死なないバードレイは、繰り返し。黒色へと変わっていく煙を打ち上げる。

無論、色の変色だけではなく、"SDQ"に不燃されず残る性質そのもの全てを、終わらせていく事に現れる。全能力の原点であることで、絶え間なく発動している能力の全てを終わりにさせるという。


それが永遠、永久。


そんな理不尽と対峙しても打ち勝つほど。

なぜできる?



「私だから」


そりゃそうなんだが。

もっと、こー。あんだろ。なんか。カッコよく。さぁ。



「何者よりも諦めないの」



全ての能力にも使い手がおり、それぞれに限界値が割り振られている。根本的に能力に終わりがないのなら、術者が死なり、消滅によって終わらせる。不死者だけでは逝けない、熱くどす黒い根性論もある。無論、バードレイにもそれはある。しかし、それをここまで辿り着くために失ってきた数々に、常識が通じぬそもそも狂い掛けてる意思が、幾度も突破してきた。



彼女にしかできぬ。彼女にしかなれぬ。



時代の支配者。



ドパアアァァァッ



神が残した”SDQ”ですら、気の長くくらいの付き合いを。手を団扇に見立てて仰ぐ程度のいとまで終焉させる。

立ち上る黒煙はやがて宇宙の藍色に変わり果てる傍で、バードレイは何事もなく立っている。




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