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RELIS  作者: 孤独
永遠編
616/634

総攻


スタンッ



2人の着地はそれぞれ違うも、戦闘範囲を行なうには。場所も間合いもベスト。

人々の死体が山のように転がり、それでも足を置くには良い確かな地面という場所。



「起き上がりなさい」



高めの位置から見下ろす。立つバードレイとうつ伏せる春藍の差を現している、物言い。視線に下はない。中もない。

"テラノス・リスダム"の世界改変。



ズズズズズズ



「あら。地面が」



トプトプと渦巻きながら、地面が捻り溶けていく。真ん中に立つバードレイは呑まれて行く。

それを確実に理解してから、春藍は起き上がった。



「どんな能力か知った事じゃない」



しかし、ここまで対峙し、傾向と能力の範囲が読めてきた。バードレイが嵌ったこの蟻地獄に似た、意図的な地盤沈下を作り出したのは言うまでもなく、春藍である。

唐突に現れたと言える瞬間移動も、アレクを一瞬で銃撃するところも、何かしらの動作があった。故に



「君の行動をまず、封じればいい」



バードレイは抵抗を見せない。そのまま埋められても良いとしているのか?

動きを封じるとは効果的ではあるが、バードレイを倒したとは言い切れない。歩けないという状況、完全に進めないという状況。



バジイィィッ



「あ」



液状化状態から、地面の固形化への切り替え。地面に体半分を埋められる形にされたバードレイに、



「無限世界」


春藍は彼女だけが入るという小さな異世界を造り出す。もう殺してやるよと、これまでになく邪悪で残酷に、思い描いた想像は不気味で禍々しい鋼鉄扉を、彼女の前に出現させた。


「輪廻極刑」



ギイイィィッ   バタァンッ



対象者をこの扉に引き摺り込む事で、異世界へ招かれたバードレイ。瞬間。バードレイの視界はほとんど、現実と似た背景となった。彼女は小さい箱に詰められ、見上げれば巨大なギロチンの刃があったところにいた。



ズダアアァァンッ



電気の流れと同速で落とされた刃に、バードレイの体は見事に真っ二つに割れる。その次に本物の電撃が体全身を襲い、足も腹も、その惨い顔ですら、床から出る高熱で焦げるほど焼かれていく。人が焼けた臭いと発する煙が箱内に充満すれば、水が流し込まれ、ミキサーがかけられたように中で激流に巻き込まれる。

数多くある死刑を短時間かつ強力、惨く。バードレイは実際に味わう。




ガタアァンッ




「うん!凄い痛かった!」



その扉と、異世界が壊れた時。それは対象者の死が確定している事であろう。しかし、バードレイは何事もなく、立っていた。地面に体半分、埋められているけれど!

殺せないのか。それともホントに良く出来た幻か。


再生とは違っている事は確信している。



ボギョオォッ



今度は異世界にも、銃火器にも頼らず。己の体で直接触れる形で確かめる。蹴りの一発でバードレイの頭蓋を粉砕した。止まらずに首の骨を粉みじんに踏み躙る。

超が付く再生なら二撃目を入れる隙はない。今のは確実に受けたか。



グショオオォッ



自身の手でバードレイの体を裂き、人間である事を証明させるかのように首から溢れる血、骨、胃、肝臓、腸が。春藍にも分かりやすく転がり出てくる。ゾンビでもこんな仕打ちにされては、蘇りも行動も不能と言える。

良く出来た幻じゃないのは、全ての五感と現実が伝わる。



「痛い、痛い、痛い」


悲鳴と愉悦を、同時に送ってくるものも含めてだ。

死んでいるという状況は確かであっても、死んでいるという結末にならない。

死をリスクにしているのではなく、死こそが前程とされているリスクを、そのふざけたすら小さき事にされた意思の前ではノーリスクなのかもしれない。彼女以外はできぬ精神の保有。伊達に、時代といういくつの時の中で、研鑽され続けた意思と執念だ。生命が汲み取るのは、容易ではない。


攻撃を続け、重ねている事。動きを止めているが、彼女のそれからに動きはない。


無敵というより不死身の印象。致死に至ろうと、彼女に死が訪れない。

それが、どれだけの時の間か。

姿形を失なって、どこへ攻撃すれば良いのか分からないくらいにか。


止めるなって言っても、



「楽しんで頂けたかしら?」

「!!」


いつの間にか、春藍とバードレイのおでこがくっつくほどの、超高速の回復。自ら死を喜んで受け入れて、春藍をからかっていたという事実がそこにある。速度すら感じられないほどの存在が現れ、それがバードレイであったとしか言えないほど。春藍はそう感じ、瞬間に退く。動けないバードレイをまたさらに警戒しての事であり、呼吸が合うように



「落雷!!」



ドゴオオォォッ



彼女をとっ捕まえた地面ですらも、焦熱と消滅がなされる雷撃。ライラの攻撃は完全に不意であった。雲の上でライラは、1つ。2つ。3つと、呼吸をしながら、バードレイの様子を覗き込んだ。



「酷いじゃない」

「!?」



一方のバードレイは、ライラの雲に乗っていて、横から声をかけるのであった。ワープ、瞬間移動。ライラがこれに反応する事はできない。その彼女を上空から突き落としてやろうと、伸びる足は



バギイイィッッ



バードレイの腹部を完全に崩壊させ、ライラの雲から突き落とす奇襲となっていた。



「マジにいきなり現れやがった!」

「ありがと!ロイ!!」



ロイだ。

バードレイの子達を片付けた後、アレク達の方が慌しくなった様子を見て、水羽と共に追って来た。ライラの雲へと乗って、春藍に加勢する。しかし、



「信じらんねぇぞ!!」



その言葉は、バードレイの瞬間移動だけじゃない。

まさか、彼女が。

ここまでの異常と管理社会を築くきっかけとなった、全ての元凶。"時代の支配者"だとは、ロイは思いもよらなかった。最初に彼女と出会ったのは、彼であり、一線を越えるなど。とんでもない行為もしてきたのだ。

そんな大物だとは思えなかった。確かに変わっていたが、今相対すれば、彼女を留めた別者だ。



「お前がそれだとはよ!」



宙に蹴り飛ばしたバードレイを目で追いかけ、



「信じらんない」



再度、雲の上で乗っているバードレイと向き合ったロイ。二度も、三度も続ければ、驚きは少なくなる。このワープは位置のみが限界という、予測に当てはまり、事実であった。"超人"と"魔術"の、瞬間移動の差がある。物理的に行く。さらけ出す胸に余裕をかまして揉むすらなく、ロイは彼女を殺すため、鎖骨を強打する。

すると意外にも、


「ふふっ」


堪えた。しかも、反撃の体勢を作りながらのもの。これは、


マジか?


多少の雑念がある。素っ裸な女と拳の付き合いよりも、精根尽き果てる付き合いがいい。

が、



「格闘は苦手だから、こちらでもあなたから学びたいわ」


それは後にしてやる。

骨の砕いた手応え。回復があるにしろ、痛みに鈍感や欠如でもなく。打たれたら打ち返すという、原始的な拳闘をかもし出す、熱さのある闘志を出している。

それに応えてやるのも男の拳。格闘家の拳。


「っ」


この間合いなら離脱以外のワープは怖くねぇ。だが、どうしてか。やべぇ。



ドガガガガガガ



ロイの予感。それが現れるにしては、ありえないと言えるほど。ロイの手数がバードレイを防戦から、暴力と表現するには十分過ぎるほどのラッシュの差。身体能力の差がある。

だが、心を断ち切る拳が何度もクリーンヒットしているのに、腰も足も、崩れない。


「!」


動きは遅い。瞬きを数回こなせるほどに、余裕で避けられる。

カウンターも合わせられる。



ベキイイィッ



「っ……」


でも、倒れねぇ!こいつ!



「あーあ、春藍くんが容赦なかった」

「!」


バードレイの声はロイだけに届いていた。ロイに向かって、言っていた。それは自身が瞬間移動するのと同じく、声だけをテレパシーのように1人だけに届ける事もできる。


「優しいでもなくて」


バードレイがやられている姿しか、ロイには認識できない。


「女性に甘いわ。あなた」



ゴギョォッ



アレクが銃撃された時と同じである。ほぼ一瞬でロイの顔面にバードレイの美脚からの蹴りが炸裂していた。今の一撃で、単純な肉弾戦や殴り合いでも、並の"超人"では歯が立たない事を証明していて、ライラはすぐに決断をする。これだけの攻撃を喰らわせて、戦いを平然とやっていくこいつはやばい。



「あらっ」


バードレイの周囲。ロイも含んで、雲を自ら消失。足場を奪って、地上へ落とす。自分だけしか乗れないのなら、瞬間移動はないだろう。


「春藍!ロイ!水羽!逃げなさい!!」


何をする気だと、春藍はライラを見上げていた。バードレイもちゃんと確認する。そのバードレイに向かっていく者。



「ごめん」

「あ、水羽ちゃん」

「サヨナラ……」


水羽がバードレイを突き放すように遠くへと蹴り飛ばし、落ちてくるロイをキャッチ。

絶対に外さない。その意思は確実性ではなく、殲滅性に富めば間違いなく当たるだろう。

春藍はライラのその動きを一度、確認している事で全力で逃げと防御を固める。水羽も打ち合わせ通り、ロイを抱えながら、バードレイからもライラからも逃げ出す。



「?」


分かってはない。また、分かったところでもう避けようがない。

それほど巨大なエネルギーの放出。全身全霊で放つ、ライラのMAX。ほぼ全土に向けての攻撃!



星誕滅亡せいたんめつほう!!」




ドオオオオオォォォォォォッッ



バードレイに与えたダメージの中で、最大級のものをライラは与えるのであった。



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