表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
RELIS  作者: 孤独
永遠編
612/634

自覚


長い年月を使っても奴を証明するのは難しい。今しがた現れたところで、人類が気に留められるほどの脅威となるか。

これだけの人数を考えれば、藺兆紗の仕業であると(9分9厘あってるが)。



バギイイィッ



「いやああぁぁっ」

「死になさい」


今、戦っている。

人と人に思えるが、相手はまったく別のソレ。生死の境以上に存亡の危機と出会い。人類は生き残りを賭けている。出くわした存在は記憶、記録される。



「逃げろ!」



その事しか言えない。ヒュールにも分かる。こいつ等、絶対。人の言葉に耳や意識を傾けやしない。そしてそれが操られているという悪事によるものなく、素で仕上がった。

本当の敵である事。



「………二手に別れてくれ!」



全員、纏まろうが。散り散りになろうが。おそらく、同数は行くだろう。

ヒュールは逃げる方向を2つにし、どちらかを犠牲にする手段をとった。もし、そんな指示を真っ当な人は聞いただろうか?ほとんどが敵が来ないところへ逃げ出す。結果、散らばっていく。


夜弧の記憶操作を受けている者達は、ヒュールの言葉を真に受けて別れていく。まだ、それを終えていない人々は混乱を見せながら、別れ。




ドスッッ



「あああっ」

「ぐはぁっ」



バードレイの子達に討たれる。彼女達は1人でも多く殺したいから、戸惑い、混乱し、乱れた者達から殺していく。

そんな選別で多少の時間は流れた事だろう。

時間稼ぎという、犠牲を成して積みあがること。



宙からやってくる。



「お待たせ」



水羽の助け。人のことを聞かないのなら、こちらもそうしてられない。頭の良いとこ、見せらんない。

暴力に暴力をぶつけ。それが理不尽であることを水羽は伝える。

ロイが勝ちを確信しているように、水羽にとってもたった1人には苦を感じていない。


「これ以上。殺しをするなら、僕が全員」



殺す。



「どうする!」


脅しをチラつかせるも。やはりというか、生きているバードレイの子達は水羽をシカトする。

戦っても勝ち目はないから、殺せる奴を殺す。良く出来た犬である。


「ちょ!?あんた達!こんな状況で殺し合いする気!?」

「水羽!こいつ等はどうやら、俺達を誰でも殺したいらしい!脅しは無意味だ!」


こっちも押される形で応戦していること。

しばしながら、水羽の拳に迷いがある。それでも超えられる事のない。

水羽とロイの2人を相手にこれから殺される住民は減った事であろう。住民達はやや安心を、みせる。子供は謡歌に呟く。



「ねぇ。どうして、あの人達はあたし達に攻撃してきたの?」


疑問を抱き、それを口にする。

分からない事もまた、回答である。だが、謡歌はアヤフヤなことで伝える。



「きっと、彼女達にも理由があるの」

「ふーん」


それ、分からないって回答とほぼ同義だよね?



人々は見ていくだろう。自分達を護る2人と、自分達を殺そうとする人々。罪を



「生きているから、殺されるのかな?」

「ううん。生きていたら、死ぬの。少し楽に逝けるから」


そんなことは、こんなところでもされてはいけない。約束してくれるよね?さっきしたよね。



「僕は生きるけど。謡歌達は……」


長く苦しんでしまうのなら良い。でも、今。殺される危機と出会って、足と腰が引いて、怯えて。隠れてなどいない生きたいという気持ち。出していた。

それに応えてくれるのなら、助けてあげる事が自分達にやれること。


「死んじゃう。でも、最後まで満足していくって。言ったから」



得体の知れない者に、残る命を狩られるなんて



「こんなとこで殺されてたまるかぁっ!!」



人を思いやれないという。それを悔いに。しかし、自分達を思っての力が水羽の動きに繫がった。

住民達は確かに今。何かの敵と対峙している。




◇       ◇




敵を捕える事より倒し、殺すということ。絶対的な実力差が数を圧し、



「全員、倒しました」



バードレイの子達を倒し切る春藍達。少し敵を、住民達がいるところに行かれてしまったが。


「あとはロイと水羽でなんとかなるでしょ」



二手に別れたところ察知すれば、まだ何か来る予感もあって悪くない。

春藍とライラが周囲を警戒。


「あと4日。それくらい、大人しくして欲しい」

「アレク。あんた、何もしなかったわね。良いけどさ」

「それでこそアレクさん!何も気にせず、集中すること。羨ましい!」

「まったく」


こいつ等。どこかで見た面というのを、ライラは感じた。藺兆紗が操って現れ、急襲を仕掛けとしたら、ちっと違和感。勝ち目を求めてやる事にしてはズサン。

だが、深いモノを感じた。こーいう時だからか。現れた存在への脅威をよく


「アレクの言うとおり。あとは時間が過ぎてって感じ。得体の知れないを怖くすら感じた」



それと同じ頃だ。

3人には届かない距離で、衝撃が起こっていた。



ドガアアァァッ



「あたたたた。難しいわね。ロッククライミング」



あんたはなにしてんだ、まだ!?



「これで8回目かな?」


バードレイはまた、落下していた。

こんな殺伐した雰囲気の中で、日常を楽しんでいるような笑顔で、遊んでいる奴がいるというのはどーいう事だ。



「昇っても落ちる。なんて理不尽なの!まるで努力の無意味さを現した遊び!これがロッククライミングなのね!」



ただ努力してもダメなんだよ。

しっかりと準備をして、登っていくのがロッククライミングというものなんだよ。その意図を分かれ!って伝えても、絶対に認めないだろうな。大切さは分かってくれるだろうが。今この時は、理解しない。

彼女にはこの崖をどうやって登るべきかと、考える地点にいない。

ロッククライミングを馬鹿にしてやがるわ。



「うーーん、いい加減。登ってみせたいわ」


これはチャレンジ精神なのか?

バードレイ。9度目のチャレンジ。まったく、気持ちを出していない手で崖を掴んで



「よっしょ。登りきった」



ついに崖を登りきって見せたのだ!!……?



「良い景色ね。登ってる最中に振り返って見てたけど。達成感ってちゃんとあるわ」




……いや、ちょっと待て。おかしくないか。おい。なんだ今の!?バードレイが色々とすっ飛ばした行動を、完全に自覚できたぞ!

つい先ほど登ろうとしていたら、もう登りきっていた。数歩進んだだけで着きました。テレポートとは違う感覚。現象。

完全に現れていた。




「んー、ま。それよりも。ここでやらなきゃいけない事。あるのよね」



体を伸ばしながら、ついに登りきったバードレイが春藍達の方へと向かおうとしていた。

こんな崖を上りきっても、下と大差ないほどの荒れぶりである。また、ロイ達と戦っている自分の子達の雄叫びが聴こえる。向かうことはないだろう。


「こっちかな」



バードレイは進む。できれば



「ああ、見つけた」



すぐに出会いたい。それほどのこと。抱き。

どこにそいつがあるか分かってはいないし、必要とされていない。



「え?」

「なに?」

「………………」



瞬く間。

それを体現したかのように、とても静かに、何事もなく。



「春藍慶介、アレク・サンドリュー、ライラ・ドロシー。お久しぶりです」



バードレイは出会った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ