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RELIS  作者: 孤独
永遠編
607/634

上陸


「来る!」



感知は早い。

休眠中のライラが飛び起きるほどの強い信号だった。

自身の魔力が単純な



「水!」



物量で消されていく様は、"SDQ"と雪崩と少し似ていた。しかし、溶け込んでいくそれが水という単純な物質。ぶっちゃけの総量の多さに



「春藍!大地を突き上げて!!」



全てが意図的に飲み込まれる量だと伝わり、震動も伝わる。

春藍は整備中の手を投げ出して、大地に両手を当てる。



図面構築クリエイション孤島アイランド



ゴゴゴゴゴゴゴゴ



向かってくる津波に対抗するため、それに優る速度で大地を変動させる。互いに、互いを上回って、やり過ごすこと。



バシャアアァァッ



大樹のように登った大地を、食む跡を残していく津波。しかし、その部分はたった一撃に留まる。昇る大地が鋼鉄化していく補強もされる。これは崩れない。

それでも止まらない。互いに分かっている。今ので


「君達はその島から逃げられない」


津波が折り返す前の事。あの波に乗って進む一隻の船に乗る8人。視認できる者もいる。



「雷艇」



船型の科学。雷を発する能力に加え、こちらにも科学の性能を強化する"バドリアス・マグネティック"を装着させ、乗船人数も、発する雷の威力も、船のスピードも上昇し。

恐るべきコンボを作るための乗員もいる。



「照月」



ヒュウウゥゥッ



光を奪う月を出す能力。周囲の光を奪い取って、自分達の居場所を暗闇の中にする。とはいえ、能力者の近くに月が出ているし、明かりもそこだけになってしまうから場所は割れやすい。

だが、"照月"と"雷艇"のコンボはこっからである。



「光を奪う。単純だけど、こんな風にできるからね」




雷をぶっ放す"雷艇"。その眩い光だけを取り除ける"照月"。

攻撃の基点と正体がまったく掴めずに、反応すらもさせずに




ドゴオオォォォッ



造り上げられた孤島への攻撃が可能。巨大な大砲が誰にも気付かれず撃てること。ステルス機能に超破壊力。奇襲の一手で春藍達の対応を上回った。さらに"雷艇"の攻撃は続けていく。

そして、船は孤島へと向かっている。


「乗り込む準備は」

「バッチリ。鉛筆ケースは2つご用意できました」



鉛筆型の"ペンシルシャドウ"。

対象物に名前を記入することで鉛筆にする科学。本来なら制限が様々あるものの、"バドリアス・マグネティック"ともう一つの能力で制限を大幅にカットした。



「こうやって乗り込める。小さくして持ち運べる」



対象者を対象物と認識させる魔術。"人語ひとかたり物語ものかたり"。

これによって、バードレイの子達の何十人を対象物へと認識させ、"ペンシルシャドウ"などの能力の影響を受けられるようになった。

戦う者達と戦いを作り出す者。特に後者においては春藍達にはない。


個人の戦闘力の差がある以上、どれだけの人数を戦える者にするかが、バードレイの子達が見せるところだ。

息詰まるほど、スピーディで計画的。

アレクとライラが戦いを始めれば、遠距離戦となって勝ち目がない。津波を引き起こし、ライラの攻撃をカットしての迅速な進行もまた、戦闘の妙か。ロイと水羽の間合いでの勝負で望む。"超人"の戦闘範囲は比較的短いが、強さでは"魔術"や"科学"を上回っていると思う。数も踏まえれば正しいことだ。

故にどれだけ彼等と接近できるかどうか。



「私の"別窓"に掛かっているわけですね」



窓型の科学。2つ1セットとなり、1つの窓ともう1つの窓が繫がった空間能力。空間移動で一気に近づく。

こちらも"ペンシルシャドウ"で鉛筆と化したバードレイの子達を、いつでも窓に放り込んで空間移動させる準備にしている。




ドゴオオォォッ




"雷艇"の砲撃。音と破壊のみの情報が、春藍達の動きを"雷艇"と"照月"への集中を作った。雲の厚みはあるが、"照月"と"雷艇"の速さが雷を落とす躊躇を生む。風が待っても、負けないパワーで突き進んでくる。

上陸される。

もう少しのところ。一番の懸念であるライラの射程から脱する瞬間。それは起きた。



ガゴオオオォォッ



「ふぁっ!?」

「くぅっ」



海中からの打撃が、"雷艇"を沈没させた。

乗船していた4名をそのまま海中へと放り込む。



「僕のところに来たのが、不運だね」

「!!」



水羽だった。津波が来た瞬間に飲み込まれながらも、海中で体をコントロールしてみせ、"雷艇"の底から殴り壊してみせた。泳ぎは得意だった模様。

海中に入ったバードレイの子達にとっては、絶望。して受け入れ。




バギイィィッ



魚を食う鮫を、鯱が捕食する。力の差を見せ付けるにはグロすぎるほど、獲物の肉体を四散させる。水羽が浮上するまでの間に起こったほどの迅速な惨劇。予想外かと思われたが、確認できないところがあった。

あと4人。



「ぷはっ」



水羽は海中に落ちた奴だけを殺した。"雷艇"は沈み、"照月"が奪った光も徐々に戻ろうとしている。その光の回復の影で、一羽の燕が3人を抱えて飛んでいた。

それも迅い。"雷艇"を上回る速度で島の上に飛んでいる。


「ここまで来れば届くわ」


"飛燕"。体に翼を生やし燕となり、高速で空を飛ぶ事ができる"超人"。

足と手が3人のバードレイの子達を抱える。



「"別窓"」



その1人が空間移動の科学、"別窓"の使い手であり、残る2人は


「"天上アテラス"」

「"簡易箱檻"」



時間稼ぎ!



バサァッ



宙に振り落とされる3人。同時に迎え撃つのは



「藺兆紗の部下?」

「落ちてくる前に倒す!」

「なんにせよ、やるぞ!」


春藍、ライラ、アレク。とんでもねぇところに振り落とされても、こいつ等からの攻撃を防ぎ。"別窓"による転送を完遂させること。2人の役目は特攻にして、捨て駒にして、成せねばならないこと。

"天上アテラス"は、一度退いた波をさらに。巨大なものとして呼ぶ。自然現象をさらに強大とさせる危険な能力。おそらく、バードレイの子達の中でも最上位に入る危険度。



ザバアアァァッ



この孤島を上回るほどの高波となっていく。それが作らせるのは



「ちっ。俺はあっちだ」



アレクを波へと意識させる。かつて、そうだったろう。"紅蓮燃-℃"が迫り来る波の全てを焼き尽くすために、使う。

厄介な奴に攻撃をさせない事は大きい、残り2人。



「!」


伸びる、デカイ。

”簡易箱檻”が手で握りながらも、圧迫させること。住民への被害。ライラと春藍が迎え撃つ。1秒もなくていい。

見せるというプレッシャーが、確実に自分を標的にさせる。



ジャキィッ   ビリイィッ



春藍は右腕を機関銃に変えての銃撃と、ライラの指先からの雷撃の2つが彼女を狙った。

それこそが思惑。命を使うということ。

体を撃たれ、焼かれてもだ。

生かせた命があった。地面に足をつければすぐに使う。



パァァァッ



「!!」

「えっ!?」



繋ぐ。

”別窓”から現れる鉛筆が、急に人へと成り代わる。それも3人、4人、5人。続々と、春藍達の前で増えていく。


「さぁー。ここは私達の勝ちです」



バードレイの子達が早くもこの間合いに入ってしまった。

あまりに近い。

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