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『君の笑顔が可愛すぎで好きだった!』  作者: 優貴(Yukky)


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第52話 「最初の合格」

でも。

その中には、 少しだけ別の感情も混ざっていた。

“置いていかれる感覚”。

受験生特有の空気。

兼次郎はそれを分かっているみたいに、 静かに言った。

「まだ第一志望は終わってない」

東大法学部。

兼次郎の本命。

つまり。

まだ戦いは続く。

その一言で、 少し空気が戻る。

担任が笑う。

「お前らも続けよー」

教室が少しざわつく。

結衣が小声で呟く。

「すご……」

“合格”

その二文字が、 急に現実感を持ち始めた。

昼休み。

屋上。

みんな自然と兼次郎を囲んでいた。

茉優が嬉しそうに笑う。

茉優

「本当におめでとう」

兼次郎が静かに頷く。

「ありがとう」

結衣はまだ興奮していた。

「推薦で法学部ってやばくない!?」

一将が冷静に答える。

天野一将

「兼次郎だから」

「それで済ませるな!」

でも。

みんな少し分かっていた。

兼次郎は、 ずっと努力していた。

だから。

納得感がある。

その時。

玲緒菜が小さく言った。

篠田玲緒菜

「……合格って、本当にあるんだね」

その言葉で、 少し静かになる。

模試。

判定。

過去問。

ずっと“途中”だった。

でも。

今初めて。

“結果”が出た。

受験は、 本当に始まっている。

雷斗が隣で小さく言う。

武田雷斗

「現実感出たな」

玲緒菜が頷く。

「うん……」

嬉しい。

でも。

少し怖い。

合格者が出るということは、 不合格も出るということだから。

放課後。

自習室。

今日はいつもと空気が違った。

張り詰めている。

でも。

どこか熱がある。

“自分も続きたい”

そんな空気。

結衣が参考書を見ながら呟く。

「なんかやる気出てきた」

一将が小さく笑う。

「単純」

「うるさい!」

でも。

目は真剣だった。

玲緒菜も京大数学を開く。

怖い。

まだ不安もある。

でも。

(次は私も)

その気持ちが、 少し強くなっていた。

夜。

帰り道。

冬の空気。

冷たい風。

兼次郎は静かに歩いていた。

その横で、 茉優が小さく笑う。

「嬉しそう」

兼次郎が少し止まる。

「……まあ」

珍しく、 少しだけ表情が柔らかかった。

最初の合格者が出た。

それは。

“受験”が夢じゃなく、 現実だと示す瞬間だった。

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