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女神様の諸国漫遊記  作者: へるきち


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しょうがくせいクエスト(2)こどもたちはあつまらないのよ?

「うわー、やめろー!それは私のおいなりさんだー!うぎゃー!」


 紙芝居絵師ノヴィータさんの新作公開中です。

 ヨコヤマの伝説の神絵師であるノヴィータさんは、帝国のバックアップを受けて新作を毎日公開しています。今日も、カワサキに再建した学園の校庭で新作紙芝居を公開しています。子供達を集めて、学園の宣伝をするのが目的なのですがー。


「何故、大きいお友達しか集まらぬのじゃ?」


 おやつをもしゃもしゃと食べながら紙芝居を見ているのは大人ばかりです。

 猫耳魔法少女が主人公の「ニャア大佐の大冒険」は、子供よりも大人に人気なのです。


「こうしてニャア大佐の刑期は1万2千年になったのでした。めでたし、めでたし、おしまい」


 内容は少し不思議なファンタジーです。ちょっとシュールですけど、勧善懲悪の分かり易いストーリーで、私達近衛騎士三銃士もファンになりました。


「ニャア大佐の役は、うちらでいうとベーコンかねぇ?」

「ベーコンは、あんなに強くないじゃろ?」

「私はお供のスケサンの方が好きじゃけど」

「カクサンもええんよね」


 私達、ベーコンとレタスとトメィトゥの3人は、貴族出身の近衛騎士です。近衛騎士予備校には通ってませんので雑魚です。血筋だけの騎士で、最弱と言われれるヤキトリにすら実は勝てません。一応は、これでも輪廻転生はしているのですけどね。影武者の王女の護衛を担当していたので、実戦の数だけは多いのですが、アン隊長が強過ぎるので、私達が戦う事は一度たりともありませんでした。


「もう学園の生徒集めとかどうでもよくない?」

「そろそろ旅に出ますか?」


 陛下が紙芝居に飽きてしまったようです。ニャア大佐の大冒険も今日で完結しましたからね。

 私達もニャア大佐のように旅に出たいですよ。3人まとめて陛下のカクサンというオイシイ役を与えてもらったチャンスを逃すつもりはありません。


「ほいじゃあ、クリームちゃんに見つからんうちに行くのじゃ」


 この日のために、痛車の運転免許だって取得したのです。アン隊長の地獄の交通指導に耐えて。免許といってもリーザ帝国発行なので、ここカワサキでは意味無いのですけどね。そもそも痛車が存在するのは帝国だけなので、免許制度自体が帝国にしか存在しません。


「マスター?何処に行くでござるかー?」

「今回は鉄道旅なのじゃ」


 テツドウタビ?

 始めて聞く単語です。ダモン王国、いえ今は共和国ですね。ダモン共和国には鉄道というものはありません。私達三銃士は、今回始めてダモンの国外に出て来たので、何もかもが初めての体験なのです。


 駅まで徒歩で、ぽってぽてと歩いて行きます。

 陛下が途中でぐずったので、ヤキトリがおんぶしています。陛下は見た目は6歳児、中身は0歳児ですからね。


「あの、陛下ー?貨物車両しか走ってないそうですけどー?」

「うん。ニャンブー線は貨物専用じゃけえの」

「家畜として申請すると積んでもらえますよー」

「いやいやいや、陛下を家畜扱いするなんて!」


 巫女達は、陛下の扱いが雑過ぎますよ。我々の主君なのですよ?家畜扱いするだなんて。騎士には信じられません。正確には主君の主君?ですけどね。私達が騎士とし仕えているのは殿下なので。


「わらわはぶたさんなのよー。ぶひぃ」

「殿下!え?なんで居られるのですか!?」

「がくえんのせいとにまぎれこんでいたのよ?」


 キナコ隊長がダモンに残っている状態で、殿下がカワサキに居るなんて。私達が、お守りするしか無いですよ。


「うちら、本物の殿下の護衛なんて初めてじゃろ?」

「ほうじゃねえ。これは名誉じゃけ」

「ああ、ついに騎士の死を遂げる時が来たんかね?」

「心配せんでも、コルサちゃんは地上最強じゃけえ。楽にしちょけカクサン達や」


 陛下は、のじゃロリという事ですけど。完全に、私達ダモンの方言と同じ言葉喋ってますよね?やはり、女神リーザ様はダモン出身という説は事実なのでしょうか?女神様の出身地については諸説あります。


「最後尾に新設の客車を連結したよ。これに乗ってー」


 堕天使さんが客車を手配してくれました。ニャンブー線を経営している会社の大株主なので、融通が効くのでしょう。


「ぬっこ達を置いて来てますけどー?いいんですか?おやびん」

「うん。乗り物に疲れたそうじゃ。リーザ山に帰って悪魔の湯につかるとゆうておった」

「ぬっこ様の言葉が分かるなんて、さすがおやびんですねー」

「騎士が4人もおるのじゃ。戦力としては過剰なくらいじゃろ」


 ぬっこ様というのは、ドラゴンと魔王ですからね。あれを戦力として行使したら、世界が滅びちゃうので。騎士だって十分危険ですけどね。三銃士とヤキトリはポンコツなので、キナコ隊長のように国を滅ぼす事もないでしょう。陛下の諸国漫遊のお供としては、ちょうどいいのではないでしょうか。


 列車が走り出しました。

 ガッタンコットンと、川に沿ってカワサキを西へ西へと向かいます。


「おちゃどぞー」


 車内でシウマイ弁当を食べる陛下にお給仕しているのは殿下です。殿下は陛下のメイドなので。殿下にお給仕するのは私達です。近衛騎士はメイドでもあるので。


 列車は、ナカハラーンの工業地帯を抜けて、梨畑の広がる田園地帯に入りました。そろそろ乗り換え駅のノボルトンですね。そこからは地下鉄に乗るそうですよ。地下を進むなんて、どんな気分なのでしょうか?伝説の魔獣ゴウテン号の気分?


「地下鉄でリーザ山の下を潜って、ターマに行くんよね?」

「今は、カステーラ帝国いうんじゃなかった?」

「ほうじゃっけ?うちらがターマに行く日が来るなんてね?」

「びっくりじゃねー」


 今はカステーラ帝国と名を変えているターマは、私達の産まれたダモンとはずっと敵対関係にありました。国境には長い長い壁があって、まさかその壁の向こうに行く日が来るなんて、3000年間夢にも思いませんでした。


「ターマにはアン隊長のお団子屋さんがあるんじゃったっけ?」

「あそここそ、地下ライブの本場なんじゃけ」

「楽しみじゃねー」


 カワサキにも巫女のやっているお団子屋さんがあって、地下コントをやってましたが。シュール過ぎて、よく分かりませんでした。ターマの、いえカステーラの地下ライブは、もっとオモシロイそうなので、楽しみなのです。


「リーザ山の地下にスーパー銭湯出来たんじゃろ?寄って行こ?」

「もちろんでござるよ、マスター」

「スーパー銭湯の周りには、ショッピングモールもあるからね。一日遊べるよ」


 こんなに遊んでばかりでいいのでしょうか。

 もう私達、普通の近衛騎士には戻れそうもありません。

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