アイドルクエスト(2)魔女なのにアイドルなんかやってられないんダモン
「まいどー!帰ったでヤンスよー」
「ただいま」
「はじめまして」
おやびんの旅に同行した巫女が学園の生徒1号と2号を連れて帰って来ました。コーラスちゃんだったっけ?自分の妹なのに区別がつかないですよ。
「リバーブちゃんでやんすよ。テープエコーおばさん」
「私はディレイよ。入学式は明日よ、準備を手伝ってちょうだい」
「まじめに勉強するので、どうかもうアイドルだけはカンベンして下さいアル」
「ですのよー。軽音楽部ならやるので、許して欲しいのですわー」
ヨコヤマの元王女ヨーコちゃんと、カワサキの元王女サキちゃんは、魔女であったが故におやびんに目を付けられてダモン共和国でアイドルデビューをしたのですが。トラウマを植え付けられて、デビュー初日に引退してしまったのです。
「ダモンの絶対無敵究極アイドルがトリでしたからねー」
「余りにも光が眩し過ぎましたわー。ワタクシ達のやっていたのは所詮幼女のおままごとでしたわー」
「あれに比べたらわらわ達の芸などゴミよ、燃えないゴミよ、腐ったミカンなのアル」
コルサ殿下がイベントのステージに立たれた様子は、カワサキでもラジオ中継を聴いてました。ほぼ黄色い声援しか聞こえませんでしたねー。あの国では王女様が国民的アイドルですからね。同じステージで比較されてはね。
トラウマで抜け殻になった魔女2頭は急遽カワサキに戻されました。突貫工事で再建した学園の生徒1号と2号として。さすがのおやびんも幼女を廃人にするのは本意ではないそうです。魔女なんて捕まえたら擦り切りれるまで使い倒すのが初代女神リーザ様の流儀でしたが。当代の女神リーザ様は生かしたまま飼い殺しが流儀なんですね。
「生徒は2人だけですかー?」
「エリートを育てる小学校ですから。無理に集めないのです。元王女で元アイドルが2人も居るのだから、集まるでしょ、きっと。知らんけど」
「この規模で入学式必要ですかねー?」
「んー?それもそうね?ホームルームだけでいいかなー?」
「クラスの担任は誰ですか?」
「堕天使がやってくれますよ。レッドサンライズちゃんだっかな?」
学園が再建されと広まれば、以前のエターナル学園の生徒も戻って来るでしょうし。それまでには教師陣も揃えないとなりませんね。巫女が国外にも出張して集めている最中です。おやびんが勝手に連れて来そうな気もしますが。
「そういえばー?おやびん達は学園に通うのですかね?」
「うーん。おやびんは見た目は小学校に入学する年齢ですけど、中身は0歳児なので幼稚園じゃないですか?転生した近衛騎士用の幼稚舎がリーザ山に出来たでしょ?」
「ああ、あそこの保育士さんは騎士にしか出来ないから、巫女の出番はないですね」
近衛騎士は名誉の死を遂げると、赤ちゃんになって転生します。赤ちゃんでも人類最強の騎士なので、ぐずったのをあやすだけで巫女だと即死です。屈強な騎士にしか相手が出来ません。貧弱なおやびんを混ぜるのは危険な気もしますね?
「来たわよー。入学式の来賓兼生徒として」
「いよー。僕も来たから、今日からここはリーザ帝国の中枢だねー」
「へ?おふたりが学園に入学されるので?」
リーザ帝国のクリーム女王とハナ宰相がリーザ山から降りて来られましたがー。帝国のツートップが小学生になるんですか!?
「元々そのつもりでカワサキに来たのよ、私は」
「僕は、17歳だけど未就学児童だからねー」
おやびん陛下は諸国漫遊中で、女王と宰相は小学生ですか。トップがアレなのだから何を言っても無駄ですかね。この二人の担任をする堕天使ちゃんが可哀想ですね。
もっと可哀想なのは魔女達ですかね?元王女とはいえ、今は庶民の身分なのに、クラスメイトが女王と宰相だなんて。
「えーっと?陛下も、もしかして小学生に?」
「アレは、幼稚園からね。いや、その前の段階よね。しばらくは諸国を旅してればいいわ」
「近衛騎士の幼稚舎に通うと情操教育によくないからなー」
行った先で戦争起こしているのも、情操教育に壊滅的に問題ありますけどね?
「え?アレって、アレの事アルか?」
「しっ。黙ってなさい。アレに触れてはダメよ」
魔女達が、おやびん陛下の事を、名前を呼んではイケナイ悪魔の様に扱ってますけどー。是非もナシでしょうね。
「アルアルって何だい?どこ生まれなのさ?」
「え?中華街でバイトしてたせいでアルあるアルけど、カワサキ生まれアル」
「あー、君かい?カワサキの雑魚王の家に捨てられてた魔女は」
「捨て…?私捨て子アル?」
「あれ?知らなかったのかい?そっちのはヨコヤマの魔女かな?」
「ワタクシも捨て子だったのかしら?どうりで家族の誰にも似ていないワケね?」
「まあ、いいアル。今はヨーコが私の家族アルね」
「そうね。ワタクシたち夫婦だものね」
この国は多様性に寛容ですが。6歳幼女同士の夫婦というのは初でしょうね。おやびん陛下は先進的ですね?DEIがどうとか言ってましたけど。戸籍制度もないので、夫婦といっても特に意味はないですけどね。夫婦だろうが姉妹だろうが、この国ではただのコネです。
「へえ、ほんとに夫婦なんだ。もはや政略結婚の意味もないのに。ははっ、ウケる」
「んー?私達も夫婦になっとく?女王と宰相のコネは強い方がいいんじゃないの?」
「あー、どうだろうか?キミはリーザとツガイになりたいんじゃないのかい?」
「3人で夫婦でもいいじゃない」
「その発想は無かったな。僕もまだ異世界の常識に囚われたままらしいな。ま、おもしろそうだし結婚しておこうか」
突然の結婚ラッシュですよ。それも元王女同士のカップルと、帝国のツートップのカップルですよ。全員、見た目だけが6歳幼女という画期的な。傍目には、おままごとですね。
「入学式は延期して、結婚式やりませんか?冠婚葬祭は神社の神事なのでお任せくださいよ」
「いいよ。僕は、おもしろければなんでも」
「私も、やってもいいわよ」
「わらわ、結婚式やりたいアル」
「もちろんワタクシもやりますわよー」
おやびん陛下には悪いですけど、アイドル編はもうオシマイです。文句があるなら、自分でこの神話を書きやがれってんですよ。




