110話 卑怯な兵器
タイチ様は変なクルクル回る物が八個付いた物を召喚した。タイチ様が口笛を吹きながら何かを操作していると、その物が急に動き出す。
「これはドローンと言って、元々偵察するために作られた物なんだよ。そいつを今から空に飛ばして森全体を見渡す」
そう言ってタイチ様はドロンとか言うものを空に高く飛ばして、何か四角い箱を見つめている。
「何を見つめているんですか?」
「これはドローンに仕掛けたカメラだよ。上空から下を見るためののもさ……霧が凄いな……こいつが原因の一つか?」
箱に映し出されているものは白く靄が掛かっているように見える。そして、何かの塊のような物が目の前を横切って行った。
「ウヒョー! ドラゴンか? 今のは……こんな場所でも出るのかよ」
タイチ様は楽しそうに言っているが、相手はあのドラゴン。冗談に聞こえない。
結局、上空からドロンとか言うので見ても分からず、私達は振り出しに戻される形となり、途方にくれる。特にイチトとヌリカの悲壮感は半端ない。
「なら、この森を破壊するか……」
え? 今なんとおっしゃいました? は、破壊? どうやって?
「た、タイチ様? な、何を……」
私が何かを言う前に、タイチ様は変な武器を召喚して構え、発射させると、前の方で爆発が起きるのだった。
「な、何を……」
「破壊。焼け野原にするか、正体を現すかのどちらかになるだろうね」
そう言い終わった後に、タイチ様は再び武器を構えて発射させ、前の方で爆発と炎上が始まる。
「こ、このままだと我々も危ないのでは?」
思った疑問を投げかけるシオン。
「問題無い。酸素ボンベがあるから。いざとなったら空を自由に飛んでいくから」
最後の言葉は聞かなかったことにしよう。
道なき道を作るように我々は先に進んでいく。すると、巨大な化け物が目の前に立ちはだかった。
「お、お前ら! 迷いの森を潰す気か!」
「そうだけど? 問題ある?」
「大アリだ!!」
そりゃ問題あるだろう。だが、我々もここを出ないことにはタンダゴの町へと進む事ができないのである。
「お、恐ろしき人間……排除してやる!」
そう言って犬のような巨大な化け物は我々に襲いかかって来るが、アズロット達は剣を抜き攻撃から見を守るのであった。
だが、相手は巨大生物であり、尚且つレベルの差があり過ぎる。アズロット達は蹴散らされるように弾き飛ばされ、シオンが回復に努める。私も剣で対応しようとしたのだが、それでは勝てぬと判断して腰に装備していた銃を取り出し連射する。
多少のダメージがあるようだが、致命傷には至らず、相手は攻撃を仕掛けてくる。
その攻撃を躱し、私はなおも銃を撃ちまくるのだが、タイチ様が持っている武器は……ふたたび見たことのない武器で、光の道が一瞬出来上がったと思ったら、相手の体を貫いていた。
「ビーム兵器には勝てるものは無し!」
タイチ様がそう呟くと、巨大生物は前倒しに倒れ、ガルボに変わる。その量はとても私達が手にすることの出来なほどの量で、イチトやヌリカは唖然としていた。ムリもない。今まで見たことのない物が目の前に現れたのだから。そして一撃で仕留める始末。全く持って理解が出来ていないようだし、タイチ様も教えるつもりはないようだった。
巨大な魔物はベリージョンズと言う名前だったらしく、森は街道へと姿を変えていく。ベリージョンズが魔法か何かで街道を迷路に変えてしまったのだろうか……。今となれば、死んだベリージョンズしか分からないことであった。
時間はかなり経っており、空は茜色に染まっていた。これ以上先に進むのは危険と判断したタイチ様は、ここで休憩を取ることにし、テントの準備を始める。我々は汚名返上すべく、料理を作ろうとすると、タイチ様が何か道具を出して肉を切り始める。
「バーベキューにしよう歩き疲れたはずだし、さっと食べてゆっくりと休もうじゃないか」
そう言って肉を焼き始め、タレを付けて我々はバーベキューを楽しんだのであった。
翌朝になり、私は目を覚ます。タイチ様に食事を作るのは私だと言わんばかりに支度を開始する……予定だったが、既にタイチ様はお目覚めになっており、鍋からは美味しそうな匂いを醸し出していた。
「お、おはようございます……」
「お? 朝早いな……。おはよう、ミリー」
「タイチ様こそ……しょ、食事は私達が……」
「大丈夫だよ、もう出来上がるから」
そう言って穀物を蒸した物を茶碗に注ぎ、汁をよそう。完全に私達は役に立つ事がないのであった……。
朝食を取り終わり、我々は再びタンダゴの町へと歩き始める。イチトが言うようにジャベリンばかり出てくるので戦いは楽ちんであるが、経験というものが上がらない気がする。タンダゴの町へ行けば何かしら状況は変わるだろうか……。私はそう思いながらイチトとヌリカの戦いを眺めているのであった。
それから二日が過ぎると、魔物の種類が変わりだす。私達はタンダゴの町へ近づいているという事を告げられている気分になったのだった。




