108話 厄介事は舞い降りる
参った参った……まさか人を殺すなんて考えもしなかった。
スマホを取り出し、冒険者を殺したことにより、何か罪になるのか確認すると、特にお咎めはないとの事。弱肉強食の世界だから、追い剥ぎにあった少年等が甘すぎると返ってくるのだが、自分達が盗賊に襲われたときの事を思い出し、俺が皆を助けた事を、なんだか懐かしいと返ってきた。
『あの時は体調が悪かったのに申し訳ありませんでした……』
「気にすることはないよ。俺の女に手を出すやつが悪いんだ。それに、病気になった俺にも問題があるよ。本当に嫌な思いをさせてごめんな」
『いえいえ……ですから罪にはなりませんから! 問題ありません。そういった生物には制裁を与えて下さい!!』
暫くリタとメールでの会話を楽しんでから俺は寝る事にしたのだが……翌朝、再び三人は見た事のない物体を作り上げやがった。どうやって作り出したのかと聞きたくなるほどグロテスクな物……勿論ゴミ箱行だ。そんなもん胃腸薬があっても食えるはずがない。食事に殺される前に、俺が新しい食事を作り直す。そして、三人は後ろで俺が作っているのを見ながら何やらブツブツと言っていた。
(ほら、やっぱり火加減が弱かったんだよ!)
(違います! 根本的に何かが違うんです)
等と話をして、研究を重ねているようだった。まぁ、味見すりゃいい話だけれど。そんな事をしているうちに食事は出来上がる。
「ほらほら、三人とも食事を運んでくれよ……」
自分らで食事を作ったかのように食事を運ぶ彼女達。少年たちは感動しながら食事をするのだったが、三人は裏で俺に平謝りをするのだった。別にその程度構わないけれどね……。一緒に居てくれるだけでも俺は嬉しいし、俺のために食事を作ろうとしてくれるのもうれしい。だから俺は彼女たちの頭を撫でて、「気にしてないよ。俺のために作ってくれたのが食べれなくてごめんね」と言った。
その言葉で報われるかのような顔をする三人。味見すりゃ良いじゃんとは言えない俺は、意気地がないのだろうか。
三人はどうでも良いとして、問題はこの二人である。今後、コイツラはどうやって生きていくのだろうか。たしかに装備を取り返したが、自信は喪失している状態だ。
「君達はこれからどうするんだ?」
俺が質問すると、二人は身体をビクッとして俯いてテーブルを見つめる。
このまま冒険者を辞めて暮らすかどうかと言うところに迫られているのだろう。リタとの話では確かに冒険者を引退して普通に暮らすことは出来るらしい。それは転職することによって冒険者を辞めることが可能というわけである。だが、逆のパターンはできないし、再び冒険者として生きていくことはできないとの事だった。
俺は二人の前に座り、脚を組む。三人は椅子に座れば良いものを、何故か俺の後ろに並んで立つのだった。
「冒険者を辞めることは可能らしいね。転職によって、一般市民に成れるとか……でもさ、逆は無理なんだろ? 一般人が冒険者になるのは……」
黙り込む二人。この二人の関係はいったい何だろうか……。
「で、どうするので? 冒険者を続けたいの?」
イチトは頷き、ヌリカも頷く。
「じゃあ、頑張んなよ……二人でかどうかは分かんないけど……仲間を探したり、でかいギルドに所属したりさ」
「こ、断られたんです……二人も剣士は要らないって……」
断られた……剣士の数が多いギルドに行ったのだろう。
「ヌリカ……俺、諦めるよ……冒険者」
「何を言ってんだよ! イチト……俺達で世界を見て回るって約束したじゃないか!」
目の前で始まる面倒な茶番劇。俺はどうしたものかとミリーの横顔を見るが、何も考えていなさそうだった。アズロットは心配そうにして二人を見つめており、シオンはくだらなさそうに耳の穴を穿って早く茶番が終わるのを待っている状態。
「三人に相談があるんだけど……」
「私はタイチ様のご指示に従うだけです。おまかせします」
まだ何も言っていないのに答えるミリー。シオンに顔を向けると、どうでも良さそうにそっぽを向く。
「タイチさんがやりたいようにすれば良いんじゃないんですか? アズロットだけだと前衛は不安だし」
何を言いたいのか、理解をしているけれど好きにしてよと、遠回しに行ってくるシオン。
「タイチ、タイチは良いやつだよ……。コイツラは私が鍛えてあげるよ」
既に三人は聞かなくても答えは出ていると遠回しに言う。ありがたい。
「じゃあ、君達は今日から俺の仲間にならないか? 俺のパーティは女性しかいないからね……守ってくれる剣士が欲しいし、君たちが良ければ……だけどね」
二人は顔をあげ、驚いた顔して俺達を見る。
「ほ、本当に……良いのですか……お、俺達……お兄さん達の足元にも及びませんよ……」
「後は君たち次第だよ……どうする? 因みに、俺達はこの後、冒険に出ることになる。場所はタンダゴの町。冒険者が作ったと言われている町だ……どうする?」
驚いた顔してお互いが見合わせ、お互いの中で何かが繋ぎ合わせる……そして真剣な表情に変わり、二人は俺を見る。
「「よろしくお願いします!!」
そう言って二人は頭を下げ、新たな厄介事が俺の手元についたのだった……。
★――――――★
名前:イチト
性別:男
種族:ヒューマン
職業:剣士
サブ職:鑑定士
レベル:2
攻撃力(武器を持っていないときの状態):4
守備力(防具を装備していないときの状態):5
魔力:3
敏捷力:6
HP:10
MP:4
装備(頭):皮の帽子
装備(上半身防具):皮の鎧
装備(下半身防具):皮のレガース
装備(右腕):ロングソード
装備(腰):無し
装備(左腕):バックラー
装備(足):皮の靴
スキルポイント:20
【アイテム】
【特殊スキル】
【スキル】
・宝石鑑定:1
【魔法】
★――――――★
名前:ヌリカ
性別:男
種族:ヒューマン
職業:剣士
サブ職:大工職人
レベル:2
攻撃力(武器を持っていないときの状態):5
守備力(防具を装備していないときの状態):4
魔力:2
敏捷力:5
HP:9
MP:4
装備(頭):皮の帽子
装備(上半身防具):皮の鎧
装備(下半身防具):皮のレガース
装備(右腕):ロングソード
装備(腰):無し
装備(左腕):バックラー
装備(足):皮の靴
スキルポイント:20
【アイテム】
【特殊スキル】
【スキル】
・家造り:1
【魔法】




