105話 ギツアの町
装備を固めた俺達は、町の外に出て魔物を探すことにする。前は魔物感知があったりしたから簡単に探すことができたが、今回はそんなことをせずにやってみることにする。この辺りを調べるのも大事だということである。
暫く歩いていると、ジャベリンと言う名前のゴブリンが進化した魔物が現れる。だが、こちらに気が付いていない。
「シオン、お前がやってみようか…」
「まぁ、気がついてないですからね…」
腰につけているベレッタを抜き、銃を構えようとするシオンだったが、俺はそれを止める。
「おいおい、今はボウガンでしょう…それで威力を試さなきゃ意味ないじゃん」
「ですが、手っ取り早くレベルを上げた方が良くないですか?」
言わんとしていることは分かるが、先ずは使い方を学ぶべきだと俺はシオンに諭す。
「う〜…分かりましたよ。ボウガンで殺れば良いんですね」
納得していなさそうな声を出してボウガンを構える。アズロットは周りを見て邪魔するやつがいないか確認する。
シオンが発射させた矢は、見事にジャベリンの頭に刺さり息の根を止める。そして、俺達はジャベリンをガルボに変えて袋にしまった。
「確かにタイチさんが言うように連続使用するには適してませんね。銃の方がその点楽です。言われたとおり、暫くはボウガンで練習をした方がいいですね」
やってみて気がつくと言うやつだろう。素直に言うことを聞いてくれたのが嬉しくって頭を撫でると、シオンは顔を赤くして手で払い除けるのであった。しかも、俺は射撃をラーニングするというおまけ付。
「次は私だな。タイチ、魔物を探そう。ミリーも頑張っているのに成果がありませんでした! じゃ、ミリーに失礼だからね」
何とも仲間思いのアズロット。俺はちょっと見直した。
暫く歩いていくと森の方で声が聞こえる。誰かが戦闘をしているようだった。
「アズロット! 俺達も向かうぞ」
「うん!」
そう言って俺達は声がする方へと走っていくと、冒険者らしき人物達が、ウッドマンと言う名の魔物と戦っていた。
ウッドマンは五体おり、冒険者はまだ幼い少年二人だった。
「大丈夫か!」
アズロットが声をかけると、少年等はホッとした顔をする。
「シオン、その子は怪我をしている。魔法で回復を!」
「分かりました!」
俺も剣を抜いてウッドマンに襲いかかると、ウッドマンは枝をムチのようにしならせ攻撃をして近寄らせない。だが、アズロットは盾でそれを防ぎ、懐に潜り込んで一匹を仕留める。俺も真似するかの如く枝を盾で防いでムチ代わりにしてきた枝を斬り落とし、少年はウッドマンの胸に剣を突き刺した。
残り三体となり、シオンのボウガンの矢がウッドマンに突き刺さる。そして動きが鈍ったところでアズロットが剣でウッドマンを斬り裂き、その流れで俺もウッドマンを倒すのであった。
「やはり以前のように体がうごかないのはやりにくい。慣れが必要だね…君達、大丈夫かい?」
シオンの魔力が底をつきかけているためこれ以上の治療は難しいということだが、実は先ほどの魔法を見るのは三回目であり、ラーニングさせてもらったのだ。これで俺は魔法を覚えたことになる。
「あ、ありがとうございます…」
怪我を治療してもらった少年がお礼を言う。
「まだ駆け出しの冒険者だね? 二人だと危ないよ?」
優しい言葉を言うアズロット。少年の名前はイチトと、ヌリカと言う名前らしい。
「どこかのギルドに所属して先輩達に教えてもらったら? 職業?二人とも剣士でしょ?」
「す、すいません…」
シオンの言葉は少し冷たく聞こえたのかヌリカは申し訳なさそうに謝る。
「まぁ、無事なら構わないが、ここらは君達のレベルでは厳しいと思うよ。先ずは動物相手に経験を稼いだ方が良いね」
アズロットはイチトの頭を優しく撫でながら言うと、二人はお礼を言って立ち去っていった。
暫く俺達は戦闘を繰り返し、レベルと戦いに必要な経験を手に入れていく。召喚アイテムでマジックポーションが手に入ったのはラッキーと言わざるを得ないのだが、シオンは反則だとずっと文句を言っていた。だったら飲まなければいいのに。
俺達は町へと戻り宿屋へと向かう。すると、ミリーが声をかけてくれる。
「おかえりなさいませ、タイチ様」
「ただいま。どうだった?」
「首領が税金を集めて城に送る…その額は大した額ではありませんね。ですが、町だけではなく村とかからも集めているようです。後は…冒険者の住む町の話を聞きました」
「じゃあ、それはゆっくりと中で話を聞くとしようか」
「はい!」
ミリーは嬉しそうに返事をして宿屋の中へ入っていく。既にチェックインは済ませてくれているようで、俺達は部屋へと案内されたのだった。
リビングの部屋にある椅子に座り、ミリーは地図を取り出した。結構細かな地図で、どうやって手に入れたのかと聞いたら普通に購入してきたと言っていた。どこかの冒険者に筆者士がいるのかもしれない。
「えっと、今いる町がこのギツアの町になります」
ミリーが指差した場所に、印となる物を召喚して配置する。そして、冒険者が集まる町は何種類かあるらしく、ミリーは指を差していく。
「ここと…ここと、ここの三箇所です。一番栄えている町はバキアの町らしいです。そして、ここのジュクシンの町に、タンダゴの町が冒険者が作った町になるそうです。ここからだとタンダゴの町が一番近いと思いますね。歩いていくと、大体四日…バキアは一週間。ジュクシンはタンダゴと変わらないかもしれません」
「なるほどね…」
「しかも、冒険者の町では色んな依頼が有り、手っ取り早く稼ぐことができるらしいです。それと、ここを見てください…」
一番離れた場所に城のような建物の絵が描かれている。
「これがレグリア国になります。ジュクシンの町からだと移動がしやすく、タンダゴの町が一番移動が困難と言われているらしいです」
「その間がバキアの町か…」
「はい。後は家を買うとの話ですが、買うというより、借りるという言葉が適切ですね」
「借りる?」
「はい、どこのギルメンも人が多く、稼ぎ方は自由です。しかも家はピンキリ状態。土地は全て国が支配していることから国にお金が回るようになっています。冒険者の町を除いては…」
「ん? どういうことだ?」
「冒険者の町は独立した町になっているようですので、買うのではなく、借りて、街の運営資金に回すやり方のようですね」
「そういったシステムか…世界の広さは?」
「申し訳ありません。海の向こうにラスタン国があるまではわかるのですが…冒険者同士、余り仲が良くないとの話で…」
そこまで情報収集できないと言ったまでか。豪雪地帯やまなつのような場所があったりするとのことらしい。
最後に、飛空艇が低空飛行していた理由は、ドラゴンに襲われないためだということだった。低ければ余り問題ないのだが、普通の高さだと襲われる危険があるそうなのだと言う。若しくは超高度を飛ぶか…。
大変なことだね。




