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覚醒
部屋に通された瞬間から、違和感はあった。
女――リリアは、美しい。
だがその目は、死んでいる。
「……初めて?」
投げやりな声。
「ああ、まあな」
どうでもいい会話。
どうでもいい時間。
――のはずだった。
触れた瞬間。
頭の奥で、何かが“開いた”。
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《第一条件達成》
《スキル:コピー 発動》
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「……なんだ、これ」
視界に流れ込む情報。
だがそれ以上に――
“わかる”。
どうすれば、この女が反応するか。
どこに触れればいいか。
どうすれば、壊れるか。
「……っ、なに……急に……」
リリアの呼吸が乱れる。
さっきまでの無関心が、明らかに崩れていく。
レインは確信する。
(これが……《誘惑》か)
ただ触れているだけなのに、違う。
相手の内側に直接作用しているような感覚。
「や、ちょっと……待っ……」
拒絶の言葉とは裏腹に、身体は離れない。
むしろ――縋りついてくる。
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《コピー:成功》
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さらに深く理解する。
これは奪う力じゃない。
“堕とす力”だ。
快楽を与え、
抵抗を削り、
やがて――依存させる。
(なるほどな……)
口元が歪む。
今まで奪われるだけだった人生。
だが、この力があれば――
「……全部、こっちに来る」
リリアの目が揺れる。
ほんの少しだけ、生気が戻る。
だがそれは――
希望じゃない。
依存の始まりだ。




