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あくまでも部長です ― 悪魔契約コーポレーション営業部 ―  作者: 白神ブナ


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第14話 頼もしい先輩

 ノー残業で早く帰宅。

部長が帰ってくる前に、なにか料理しようかと思った。

冷蔵庫から、気になった食材を出しながら、手を止めて考えた。


「……そういえば、あのロックバンド、なんて言ったっけ……」


思い出そうとしても思い出せない。

なのに、なぜか……すごく気になる。

……タルト先輩だ。

先輩は、あのバンドの人とDMしていた。

タルト先輩が、いてくれたらわかるのに……。


そのとき、


ピンポーン!


「はーい」


玄関を開けたら、タルト先輩が立っていた。


「チルちゃーん、はい、おみやげ」


先輩はコンビニの袋を差し出した。

中に、プリンがたくさん入っている。


「わーい! プリン! どうしてわたしの大好物ってわかったんですか?」


「いつも隣でプリン食べてるじゃん」


「ちょうどよかったです。先輩に聞きたいことがあって」


「あー、チルちゃんが僕を呼んでるなーって、わかったよ」


「すごっ! ほんとですか?」


「僕、悪魔だからね」


「わーい、わたしもです。一緒だねー。へへへ」


「そこ、驚かないよ」


タルト先輩を部長の部屋に入れて、早速、ロックバンドの名前を聞いた。


「ああ、Yoshiel & The Fallen。略してヨシフォー。僕、ファンクラブに入っているの」


「へー、じゃ、チケットとか優先的にとれます?」


タルト先輩は、まるで自分の部屋みたいに遠慮なくソファに横になった。


「あー、疲れた……。ファンでもチケットはなかなか取れないよ。抽選だよ。人気バンドだからねー」


「ヨシフォーのアリーナツアー、行きたいです」


「無理、無理。もうすぐでしょ? もう完売だよ。キャンセルでリセールが出ない限り……」


タルト先輩は、寝転びながらスマホをいじった。


「キャンセル出た。あるよ。やばっ! 先着順だから申し込む?」


「わたしがチケット代を払います。先輩と2枚、申し込んでください!」


「オッケー」


スマホでパパパッと入力して、チケットを2枚申し込んだ。


「これで、確認メールが来れば完了」


「メール、いつ届きます?」


わたしは待ちきれない。


「……来ないね。もしかして、申し込みが殺到しているのかもね」


すると、

ガチャガチャ

オクト部長が帰って来た。


「お帰りなさーい」


玄関で靴を脱ぎながら、顔をあげた部長。


「……た、ただいま。タルトの靴があるが……」


「お邪魔してます、部長」


「タルト先輩から、プリンをいただいたんですよ。冷蔵庫に入っています」


「タルト、お前……プリンでチルを釣ったな。あざとい奴め」


「人聞きの悪い。いえ、悪魔聞きの悪いこと言わないでくださいよー」


怒った顔でカバンを置くと、部長はルーティン通りにシャワーに直行した。


きっちり8分後にバスルームからでると、

わしゃわしゃと髪をタオルドライしながら、部長はキッチンに入った。


「何だ、これは。ちくわが出しっぱなしだぞ」


「あ、いっけなーい。料理するつもりで忘れてた。すみません、何か作ります」


「もういい。俺が自分でやる。お前ら、飯はまだなのか?」


「「まだでーす」」


ため息をつき、冷蔵庫を開けて、固まる部長。


「おい、冷蔵庫がプリンの待機所になっているぞ。何個あるんだ」


「10個でーす。あ、僕も食べるから安心して」


オクト部長は、手早く調理しはじめた。


「すみません、オクト部長。わたし手伝います」


「いい。一人分も二人分も同じだ」


「あれ? 部長。僕の分は?」


「お前は、食費くらい払え。払うなら作ってやる」


「そんなー。払いますよ、払います。いじわる……あ! チルちゃん! 確認メール届いたよ」


「え? マジで? 早く開いてー」


「よっしゃ!……買えた。買えたよー!!」


「キャーーー!!!!」


わたしは喜びのあまり、タルト先輩と抱き合った。

そこへ、オクト部長の怒号が飛んだ。


「やかましい! お前ら、何を騒いでいる。お前ら離れろ!」


「オクト部長、わたしたち、ヨシフォーのライブチケットが買えたんです!」


部長の眉間にしわが寄った。


「何」


部長は、もっと不機嫌になった。

そして、野菜炒めを皿に盛りつけ、テーブルの上にドンと置いた。


「ほら、食え。三人前ある」


「ありがとうございます。ビール、お注ぎしましょうか」


「いらん。自分でやる」


わたしは、不機嫌な部長に怯えながら、恐る恐る聞いた。


「ライブの日、早く帰っていいですか?」


「ダメだ」


「え?」


「その日は業務がある」


タルト先輩は、野菜炒めをもぐもぐしながら言った。


「もう始まった。新卒いびり」


オクト部長は、タルト先輩ギロリとにらんだ。


「ところで、タルト。……お前、どうしていつもここに来る。お前とは同居契約がないはずだが」


「だって、ここ、安全ですから」


「どこがだ」


「だって監査チームが来ても、ここなら、部長の呪文で追い返されますし」


「ここ、契約履行場所で、監査中だってわかってる?」


「え?」


挿絵(By みてみん)


わたしも、


「え?」


「ここは重点監視対象だ」


タルト先輩は、思わずご飯を飲み込んだ。


「……やっば。でも、部長のクラシックタイプの力に、期待してまーす」


「期待されても、お前は守れないぞ」


「部長が夜遅くなるとき、僕がチルちゃんを守っても?」


「……小賢しいな。わかったから、早く食え!」


タルト先輩は、わたしにガッツポーズをしてみせた。

頼もしい先輩だ。


……でも、プリンは、わたしも食べるからね。


(……3人で食べたほうが、おいしいし)


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