030 - あのことはもうねた? -
030 - あのことはもうねた? -
もっもっ・・・
「美味いな・・・船内でこんなのが食えるとは思わなかったぜ」
「そうね、うちの組織はお金持ちだからこれくらいどうって事ないわ」
飯を食ってたらフローリンが寄って来て俺の隣に座った、他にも空席が沢山あるのに何でだよ・・・。
「そうなのか?」
無視してもよかったが腐ってもこいつは上司だ、俺は食いながら適当に返事をする。
フローリンの言う通りこの船には金がかかってそうだ、設備は近代的だし船内は快適、倉庫にまで重力制御パネルが敷き詰められている。
「そうよ・・・ところでアリスとは上手くやっていけそうかしら?」
「俺はお世辞にも善人じゃねぇし人の事は言えねぇが・・・あいつおかしいぜ、倫理観どうなってんだ?」
「私が聞いたのはそういう事じゃなくて身体の相性よ、あの子とはもう寝た?」
「ぶふぉっ!、げふっ!、えふっ!」
フローリンが無表情でおかしな事を言いやがるから飯が気管に入ったじゃねぇか!。
「なっ・・・」
確かに昨日薬を飲ませた後、切なそうに求めて来たから・・・してやったが!。
「あの子は乳首と首筋が弱いわ」
「しれっととんでもない事言うんじゃねぇよ!」
昨日の光景を思い出す・・・俺にはそっちの趣味はねぇが涙目で喘いでる姿は正直やばかった。
「ふふっ・・・あの子を慰めてあげるのも助手の重要な仕事よ」
「・・・ってか何であいつの弱点知ってんだよ!」
「あら、言ってなかったかしら、あの子が組織に入って8年になるのだけど私がお世話をしていたの、身体の隅々まで優しく開発してあげたわ」
「聞いてねぇし!」
あいつの身体は凄ぇ敏感で、どこに触れても悶えてたからおかしいと思ってた・・・原因はこいつだったのかよ!。
それにこの組織に入って8年だと?、あいつ幾つだ?、どうみても10代半ばだぜ。
「今年で確か17歳だと思うわ、ベンダル・ワームに襲われて宿主にされたのが7歳ね」
考えてる事が言葉に出ちまってたのかフローリンが答える。
「・・・あ、それからアリスと貴方にお仕事よ」
「仕事?」
「そう、出張でとある宿主の防護服を交換するの、この船で近くの星域まで行ってそこから医療艇で現地に向かうわ」
「何で俺とアリスなんだ?、防護服は一度着せられたら脱げねぇだろ」
「アリスはお着替えサービスの責任者なのよ」
「お着替えサービスって何だ?」
「ベアトリス社から委託された「表」のお仕事よ、あまり知られていないけれど宿主の防護服は身体が成長してきつくなれば着替える事が出来るわ、大掛かりな設備を使ってものすごーくお金がかかるけど」
フローリンがソースのかかった何の肉か分からねぇ塊を切り分けながら俺に言った、ちなみに俺のトレイには香草で焼いた謎肉と野菜のスープが乗っている。
「俺は同行してアリスの指示通りしてりゃいいのか?」
「そうなるわね、依頼主はユノス星団の皇室関係者だから失礼のないよう私も同行するわ」
おいちょっと待て、皇室?。
「何でそんなとこから依頼が入るんだよ!」
「さぁ?、ベアトリス社経由でドンブレラ社に話があって最新鋭の設備を持っているうちの船に話が来たのよ・・・皇室関係者と縁ができるのも都合がいいわね、「裏」のお仕事の時に役立ちそうだわ」
プシュー
飯を食い終わった俺はフローリンと別れてアリスの居る第8実験エリアの研究室に入る、朝は船内の雑用をしてたからアリスと顔を合わせるのは昨日以来だ。
「ローリーさん、昼食は終わったの?」
俺は少し気まずいのにアリスの奴は普段通りだ、昨日の夜あれだけ激しく乱れてたのにな・・・。
「美味かったぜ」
俺はアリスの昼飯が入ったトレイを机に置いて答えた、ちなみにこいつは毎日この時間まで寝てやがる。
「食べた後の薬は飲んだ?」
「あぁ、あれ飲んだ後は腹具合がおかしくなる」
サラダをフォークに刺してアリスの口まで持っていくとシャクシャクという軽快な音が部屋に響く。
「美味しい料理を食べてるんだから我慢しないとダメだよー」
薬ってのは排泄物を液体にする錠剤だ、俺たち宿主は防護服を着てるから普段は液体状の流動食料を摂取する、だがこの船の飯は本物の果物や野菜、肉が出る。
普通の食い物を摂り過ぎると固形のクソが防護服の中に出て面倒な事になる、だから市販の薬が広く出回ってるがこの船にある薬は何が入ってるのか効き過ぎるくらい効きやがる!。
「今日の食事も美味しいねー」
サラダと果物だけだがアリスは満足そうだ、俺は布でアリスの口元を拭いてやる。
「そういえばフローリンに「表」の仕事が入ったって聞いたぜ」
俺がそう言うとアリスは端末に向き合い口に咥えた棒で器用に画面を操作する。
「ちょうど今患者のデータが送られてきたよー、長命種の146歳、115歳の時宿主にされてるね、左足首から先が欠損・・・なるほどー」
「短命種に換算して11歳で防護服を着せられたのなら成長して合わなくなるよな」
「うん、そもそも宿主にされた幼い子供はあまり長生きしないんだよねー、この娘を研究材料にしたいなぁ・・・あ、もちろん冗談だよー」
こいつが言うと冗談に聞こえねぇ!。
「子供は長生きしない・・・か」
「そう、虫が注入する体液や激痛に耐えられなくなって衰弱・・・あるいは発狂って感じかなぁ」
確かにあれは大人でもキツいからな・・・。
「それにしても防護服を着替えるなんて話、俺はここに来るまで聞いた事なかったぜ」
「服の代金や技術料が高額なの、何より首輪の機能を一時的に止めなきゃならないから星団当局への申請が複雑でねー」
「防護服は星団から貰えるんじゃねぇのかよ?」
「最初の1着は星団から貰えるよ、でも2着目からは代金の半分は自費で払う事になるね」
ベンダル・ワームは幼過ぎる子供はあまり襲わねぇと言われてる、幼虫を孵化させても身体が小さいと不都合があるからだろう。
だから成長して防護服が合わなくなるってのは考えた事がなかった。
「そういえばアリスは7歳で襲われたって聞いたが?」
俺はフローリンから聞いた話をアリスに言った。
「・・・フローリンさんから聞いたんだねー、7歳より幼い子が宿主になった事例は無いと思うから僕が最年少記録保持者だね、この組織に入った経緯も聞いたのかな?」
「いやそれは聞いてねぇが」
「聞きたい?(ニコッ)」
「いや別に」
「えー」
それから俺とアリスは昨日ベンダルに顔を覆われた少女の観測をしつつ、色々と話をした。
話っていっても相当に闇深い内容だったがな!。
ちなみにベンダル少女は昨日顔だけだったのに今日は胸の下まで黒い皮膚で覆われていた!、アリスの言う通り成長が異様に早いぜ。
俺は少女の観測記録をまとめながらアリスとした話を考えていた。
・・・
・・・
「僕は親に見捨てられて安楽死した事になってるんだぁ」
「安楽死?、生きてるじゃねぇか」
本人や親族の誓約書やら法的手続きがえらく面倒だって聞いてるが、末期状態や重傷の宿主に限り星団法で安楽死が認められてる。
「実験体として売られてるところを組織に買われてね、でも僕って可愛いし優秀だからフローリンさんに保護されたの」
「・・・どういう意味だよ?」
待て、壮絶に嫌な予感がするぜ!。
「ローリーさんも安楽死した筈の子供達に会ってるじゃない(ニコッ)」
俺は檻に入れられて死んだような目をしていた宿主の少年少女を思い出す・・・。
「組織の実験材料になってるのかよ!」
「おっと、横流ししてるのはうちの組織・・・ドワルスキィーじゃないよ、うちは売られてる実験体を買ってるだけ」
「じゃぁ誰が・・・」
「宿主で構成された団体の中に「苦しんでる宿主に尊厳のある最期を!」って叫んでる組織があるよねー、表向きは人権重視の穏健派を装ってるけど」
「アタァーシャー・・・か」
宿主組織の中では一番の穏健派って聞いてるが・・・。
「あの組織全部が腐ってる訳じゃなくて、一部の人達の中に立場を利用して私腹を肥やす連中が居るってだけだよ・・・うちは実験体が沢山手に入るから助かってるし」
「胸糞悪ぃな、親達は楽にしてやろうと思ってたのに実際は・・・」
「そうだねー、「楽に」死ねなくてかわいそうだよねー」
・・・
・・・
「・・・さ・・・」
「・・・」
「ねぇ!、ローリーさん!」
「おぅ、何だよ?」
「どうしたの、何か考え事?」
アリスが俺を心配そうに覗き込んでやがる・・・今気付いたがこいつまつ毛が長ぇな、唇も柔らかそうだ・・・。
「いや、何でもねぇ」
「設備の説明もしておきたいし、この作業が終わったら次のお仕事で使う医療艇を見に行こうよ」
「あぁ、分かった・・・」
・・・
・・・
「思ってたよりでかい船だな・・・」
「うちの持っている医療艇の1つでシーデンカイ2号よ、1号と3号は貴方がこの前宿主にした人達への対応で惑星ローゼリアへ出張中ね」
格納庫に設置されている渡り通路から船を見下ろす俺にフローリンが言った、どうやら新しく宿主にされた患者に防護服を着せて首輪を嵌める仕事も請け負ってるらしい。
あれから俺はアリスに促されて船内にある格納庫へやってきた、中に入る為のカードキーが必要らしくフローリンの執務室まで取りに行ったら彼女までついて来やがった。
「貴方の「表」の身分はドンブレラ社第16研究チームに所属するエンジニア助手って事になっているわ」
「そうなのか?」
「そうよ、身分証に書いてあるでしょ」
フローリンに言われて胸にぶら下げている身分証明書を眺めた・・・知らない間に俺は超巨大企業の社員になっていたようだ!。
「お客の中には身分の高い貴族やお金持ちが多いからお仕事中は失礼にならないよう気をつけてねー」
フローリンと一緒になってからやけにそわそわして落ち着きが無ぇアリスが俺に話しかける。
「・・・なるべく喋らねぇようにするよ」
貴族向けの礼儀作法なんか知らない俺は大人しくしてた方がいいだろう。
通路に備え付けのエレベータに乗り俺達は医療艇の中に入る。
前を歩いているフローリンがアリスに言った。
「アリスちゃーん、ローリーさんに優しく慰めて貰ってる?」
「・・・うん」
こくり
「なぁっ!」
思わず叫んじまったじゃねぇか!、アリスも顔を赤くして素直に認めるんじゃねぇ!。
「いちいち大袈裟に驚かないで、この船に乗っているのは全員宿主なのよ、みんな隠れてしているわ」
「確かにそうだがよ・・・」
中には幼虫に体液を注がれ通路で悶えてる奴も居たな・・・。
「宿主じゃない人がこの船に乗ったら僕たちの体臭でおかしくなるよ、特に男の人は数日で性欲を抑えられなくなって見境なく乗員を襲うんじゃないかなぁ」
この船に乗ってる奴が全員宿主なのはそんな理由があるのかよ・・・。
プシュー
「さて、着いたわ、ここが処置室で向こうが制御室ね」
医療艇の通路を歩いてたフローリンが扉の前で立ち止まり俺達を中に招き入れた。
処置室には中央にでかいベッドがあってその周りを物々しい機械類が囲んでる。
棚には宿主に嵌めるんだろうな、首輪や枷が並んでいて奥には人が入れるようなガラスの水槽がある・・・。
「あの水槽に薬液を満たしてその中で防護服を着替えさせるのよ」
俺が見ているのに気付いたのかフローリンが装置の説明を始めた。
よく見ると水槽の中にはアームがある、なるほどあれを操作して脱がせるのか・・・。
「当日の作業は僕がやるからローリーさんは心配しないで」
いつの間にかフローリンによって真っ黒な義手と義足を取り付けられていたアリスが俺に話しかける。
「その義手は何だよ?」
「僕をあそこの操作卓に連れて行って」
「おぅ」
俺は言われた通りアリスを水槽の前に連れて行く。
がこっ!
どしゅっ!
アリスが操作卓に開いてる4つの穴に義手と義足を突っ込んだ。
「そこのケーブルのプラグを僕の端子に挿れて」
「端子ってどこだよ?、尻か?」
「僕の頭の後ろにあるよー」
そう言われて俺はアリスの後ろに回り込み、綺麗な白い髪をかき分けた。
さわっ
「ひぃっ!、あぁん!」
びくん!、びくん!
「ちょっと触ったくらいで色っぽい声出すんじゃねぇ!」
髪の中を探すと後頭部・・・首輪の少し上に穴が空いていた、シャワー室で丸洗いした時には気付かなかったがこいつ電脳化手術まで受けてるのかよ。
「ここに挿すのか?」
「うん、敏感だから優しく挿れてねっ」
エロい表現するんじゃねぇよ・・・。
「淹れるぞ・・・」
「んっ」
俺の言い方もエロかった!。
しゅこっ・・・
「んふっ!、あんっ!」
びくっ!びくっ!
アリスが仰け反り感じてやがる、プラグを挿れる時に首筋を触っちまったがわざとじゃねぇ!。
「こんな痴態を客に見せるのかよ?」
俺の言葉を聞いてフローリンが目を逸らす。
「あふっ・・・んっ・・・ローリーさん触り方がいやらしいから感じちゃったぁ、僕もこれをお客に見られるのは恥ずかしいから先に挿れておいて・・・」
アリスが涙目で俺を見ながら言った、何でこいつはこんなにエロいんだよ!。
「いやらしくて悪かったな!」
・・・
かちゃかちゃ・・・
アリスが水槽のアームを操作すると片側10本、合計20本の指が繊細な動きをする。
「このアームで医療手術も出来るよ」
かちゃかちゃ・・・
「アリスの義手はアームの制御に特化してるから日常生活に対応できないのよ、私としては手足が使えない子を犯す方が楽しいからいいのだけど・・・」
今の言葉で確信した、俺の上司・・・フローリンはド変態だ!。
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