027 - ゆーのすていこく -
2026年4月27日
001話〜024話の内容を加筆修正しました。
027 - ゆーのすていこく -
ピッ・・・
ぷしゅー
「マスター、拠点の防御結界内に侵入する船を確認しました・・・シエル様のシェルダン号と思われます」
「ステーションの宙港に足止めされてんじゃなかったのかよ?」
俺は自室でやっていた作業を中断し、メイド服姿のライザに視線を向け尋ねる。
「閉鎖が解除されたという報道はありません、ですが間もなくドックに着陸されます」
「当初の予定通り俺を拾いに戻って来たか・・・船の場所はシエルに貸してある6番ドックだよな?」
「はい」
俺はライザを部屋に残してドックに向かった。
・・・
・・・
俺の名前はベネット・ライアス、エテルナ星系を拠点にハンターをやって暮らしてる、ランクは金だ。
辺境のランサー星系で犯罪組織の待ち伏せに遭い死にかけてたところをシエルに助けられた、その後は惑星ローゼリアにある俺の拠点で傷を癒してる。
内臓や骨まで砕けてた身体の傷は治癒魔法で元通り・・・とまではいかねぇが普通に戦えるくらいには回復した。
俺がドックに入るとちょうどシエルが船から降りて来たところだった、奴の後ろには同じくらいの身長の少女・・・リンが不安そうに立っている。
・・・
「・・・というわけで、今回のお仕事に同行する事になったお友達のリンちゃんだよ」
「お・・・おぅ、俺の名前はベネット・ライアスだ、よろしくな(ニコッ)」
俺は軽く挨拶を交わす、リンとは初対面だがジュノーが毎日2人の痴態を実況中継しやがるから初めて会ったような気がしねぇ!。
「おじさんどうしたの?、僕達に何かおかしなところある?」
あるぜ、2人揃ってエロい格好しやがって・・・俺の性癖を歪めるんじゃねぇ!。
シエルもそうだがリンの奴も宇宙服がキツそうだ、シエルと違い上着を着てねぇから身体の線はもちろん貧相な胸や乳首の形までハッキリ分かるし殆ど全裸に見える。
変な気が起きねぇように俺は目を逸らして言った。
「いや、なんでもねぇ気にするな」
俺は2人に8号ステーションの状況を聞いた・・・どうやらジュノーの奴が強引に出航したようで宙港の閉鎖はまだ解除されてねぇらしい。
「勝手に聖帝陛下の名前を使っちゃった・・・捕まらないかなぁ?」
ジュノーの事だから宙港のシステムを乗っ取ったんじゃねぇかと思ったが意外と穏便に済ませたようだ。
「大丈夫だとは思うが指名依頼の合間に聖帝の城があるレオーネに行った方がいいかもな、怪しまれて入出国記録を調べられてみろ、行ってませんでしたじゃ言い訳出来ねぇ」
「えぇ・・・」
レオーネはここから転送ゲートを5つほど抜けた場所にあるギャラン星系の第3惑星だ、この星には星団の経済と権力が集中する帝都があって聖帝が住んでいる。
「安心しろ、近くの拠点に転移すりゃぁすぐに着くぜ、俺も久しぶりに顔を出しておきてぇしな・・・」
聖帝ってのは俺の友人・・・ノルドとマリアの娘でシエルの姉だ。
何故かシエルは両親から姉の事を知らされてねぇようだが・・・何か理由があって隠してるんなら俺の口から伝えるのはまずいだろう、後でジュノーと相談しねぇとな。
もちろん俺は聖帝・・・アーシアの事もよく知ってる、あいつが生まれた時から側に居たし幼い頃はよく遊んでやった。
何を思ったのか今は両親から帝位を引き継いで皇帝なんてやってるが俺は正直心配だった、あいつはアホだしポンコツだ・・・側に有能なオーイヴォレーが居るからノルドの奴も任せてんだろうが・・・。
「ヴォレーの奴、心労で胃が悪くなってそうだな」
・・・
・・・
「行き先は前回の依頼と同じでランサー星系ミューⅢ惑星植民基地、積荷は研究用サンプル、95日以内に受け渡し・・・」
シエルが依頼主の送って来た通信内容を読み上げて俺に説明してる、辺境への荷物輸送・・・確かに通常の大型運搬船に任せてたら到着まで最短で250日はかかるだろう。
「前に俺が修理したミューVの衛星にある拠点までは転移で一瞬だ、そこからミューⅢ惑星にはゲートを通って数日ってとこだろうな、80日以上も余裕が出来たから先に惑星レオーネへ行こうぜ」
「あ、転移したら何十日も旅をしなくて済むんだった・・・でもこの便利さに慣れたら普通の輸送任務ができなくなりそう」
「これからは普通の輸送する必要なんてねぇだろ、ジュノーには俺が使ってる全拠点へのアクセス権を渡してあるから俺が居ない時でも転移魔法陣は使い放題だぜ」
「そうなの?」
「そうだぜ」
俺はシエルの隣に居るリンの様子を伺う、この星団じゃ概念すらない魔法陣の話をしてるのに反応がねぇ・・・あれは人の話を聞いてるようで聞いてねぇ感じだ、アーシアと同じポンコツ臭がするぜ。
・・・
・・・
シエルと話し合った結果4号ステーションへの出発は翌日の朝に決まった、2人は船に戻り俺は自室で旅の準備を始める、現地へはジュノー・・・シェルダン号に俺も同乗、2隻で行くより効率が良いからだ。
「リンと同じ船で寝食を共にするのは気まずいが・・・仕方ねぇな」
寝袋をカバンに詰めながら独り言を呟く・・・ジュノーの居住スペースに3人ってのは意外と窮屈だ、俺は管制室か通路の奥で眠る事になるだろう。
リンは俺からすればまだガキだが一応成人してる女だ、あいつも胸こそ小せぇが手足が長く良い身体をしてやがる・・・それに毎晩ジュノーに見せられた2人のエロい営みが頭から離れねぇ。
だが俺の好みは巨乳の熟女だ!、あんなガキに欲情する事はねぇだろう・・・ねぇよな?。
ピッ・・・
そんな事を考えながら荷物をカバンに詰めてると隣に置いてある俺のモニター付き携帯端末が勝手に起動した・・・。
「おいベネット、お楽しみの時間だぜ!」
部屋にあるスピーカーからジュノーの声が聞こえて来やがった。
「ジュノー・・・何でお前は毎回俺に見せようとするんだよ!」
俺は端末から漏れ聞こえる2人の喘ぎ声を聞き流してモニターの電源を切ろうとした・・・。
「畜生!、何で切れねぇんだ!」
ジュノーの仕業か・・・こいつなら俺の端末を簡単に乗っ取れる。
「ほら見てみろよ、今日は2人ともいつも以上に激しく乱れてやがるぜ」
だからガキには興味ねぇって何度言えば分かるんだよ!・・・こいつ本気で俺の性癖歪めようとしてるだろ?。
(あっ・・・あぁぁん!、嫌ぁぁぁ!、リンちゃん!、りんちゃんっ!)
「仕方ねぇ・・・後は寝るだけだから付き合ってやるよ・・・」
俺はソファに座り端末に映し出されてる映像を眺めた・・・俺の隣ではちょうど部屋に酒を持って来てくれたメイド服姿のライザが立ったまま「あらー」なんて言いながら端末を見つめてやがる。
ちなみに昨日一緒に見てたのは同じくメイド服姿のエルザだった、エルザの奴は無言で眺めてたがライザは「わぁ」「きゃぁ」などと俺の横でやかましい!。
「ジュノーの奴が置いてった映像ライブラリーがあるぜ・・・見たいか?」
俺はライザに尋ねる。
こくこくっ!
激しく頷いている、見たいらしい。
「お前もこういうのに興味あるんだな・・・」
俺は端末を操作してライブラリーの閲覧権をライザにもくれてやった。
・・・
翌朝俺達は4号ステーションで荷物を受け取った後、惑星レオーネ近くの拠点へ向かった。
ここはレオーネの軌道を回る4番目の衛星・・・皇族の直轄領地だから誰も近寄らねぇ、この拠点は俺がノルドに無償で借りている土地に建っていて隠蔽魔法陣のおかげで外からはただの荒れた砂地に見える。
「この拠点からレオーネまではおよそ1日、そこから大気圏内行きの転送ゲートを使って正規の手続きで入国するぞ」
「レオーネに降りるのは初めてだよ、それに僕にお姉さんが居るなんて聞いてなかったし・・・帝都でお仕事してるんだよね」
昨日ジュノーと話して何でアーシアの存在をシエルに隠してるのかと尋ねた。
別に隠してる訳じゃねぇみたいだったから今朝船の中でシエルの姉貴が帝都に居る事を教えてやった・・・ちなみに姉が聖帝ってのは言ってねぇ、知った時の反応を見るのが今から楽しみだ。
もちろんアーシアの奴にも伝えてねぇ、向こうも妹が居るだなんて知らないし感動の対面になるだろう。
「ジュノー、大気圏内の転送ゲートを出たら指定した座標にある俺の拠点に行ってくれ、そこから直接城の地下ドックに転移する」
「おぅ、分かったぜ・・・俺様もパワードスーツで降りていいか?、あいつを驚かせてやろうぜ」
「そりゃ面白ぇな、やろうぜ・・・だがドックからあいつの居るとこまで結構離れてるが大丈夫なのかよ?」
「あぁ、あれくらいなら余裕だ」
今のジュノーの本体は船の中心にある核と呼ばれる魔石だ、船から離れるとパワードスーツの遠隔制御が難しくなるんじゃねぇかと思って聞いてみたが・・・どうやら大丈夫らしい。
・・・
・・・
しゅぅぅぅ・・・
がこんっ・・・
もわぁぁ
「わぁ、埃っぽい・・・」
「仕方ねぇだろ、ここには500年以上来てねぇからな・・・状態保存の魔法陣にも綻びが出る」
惑星レオーネの陸地にある拠点へ降り立った後、俺はすぐにドックの床に書いてある魔法陣を使ってユーノス帝国にある城の地下拠点に転移した。
俺が先に立って船を降り、その後にズボンと上着を着込んで首輪を隠したシエル、それからシエルに借りた上着を羽織ったリン、パワードスーツを遠隔操作するジュノーが続く。
城の地下拠点は厚い埃が積もり荒れていた、ここに俺専用の拠点がある事を知ってるのは兄貴と皇族、それからヴォレーだけだし入り口には侵入防止の結界が張ってある。
「・・・クリーン」
俺が手を上に翳すと巨大な魔法陣がドックの中を覆い、一瞬で埃が消え去った・・・正確には地上に放り出しただけだが部屋の中は綺麗になってる。
「ジュノー、そこにあるエレベーターに電源は供給できるか?」
「ドック内のシステムは俺様がたった今掌握したから余裕で出来るぜ」
「・・・悪用するなよ」
「分かってるよ」
そんな会話をしながら俺達はサビだらけのエレベータに乗り込み上昇する。
ぽーん・・・
行き先が最下層と最上階しか表示されてないエレベータが最上階で止まる・・・ここは既に皇族のプライベートエリアだ。
ぷしゅー・・・
扉が開くと俺達の目の前には青い絨毯が敷かれた豪華な通路が広がっていた、奴の部屋は場所が変わってなければ・・・奥から2番目の扉だ。
しゅっ・・・
「ひゃぁぁ!」
通路を歩いていると気配もなく誰かが俺の背後に立ち首筋に冷たい刃が触れた、俺を殺そうとしている刺客を見てシエルの奴が悲鳴をあげる。
「よぅ、相変わらず物騒なお出迎えだなヴォレー」
「ベネットか・・・」
男が俺の首に当てている刃を収める、この執事服姿の初老の男はオーイヴォレー、俺の古い友人だ。
「アーシアの奴に用事があって寄らせて貰った、今は夜中だから部屋に居るよな」
「あぁ・・・だがこの時間は眠っている、明日にしろ」
「急用だ、叩き起こしていいか?」
「ダメに決まってるだろ!」
俺は後ろに居るシエルをヴォレーの前に出して言った。
「こいつはシエル、ノルドとマリアの娘でアーシアの妹だ」
普段は冷静で感情を表に出さねぇヴォレーが目を見開いて凄ぇ驚いてるぜ・・・。
読んでいただきありがとうございます!。
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