12.2015年8月①
藤原秋風 22才 2011年高校三年生に転生し、大学卒業し就職へ。
田中・ベアトリス・アンナ 20才 農家の家庭に育ち、叔父との争続が終わった後、秋風に会い貿易に携わる
マアムーン・ビン・ムスタファー・アル・マクトゥーム 秋風の会社のドバイ所長
ハワイ事務所の準備が一段落し、新入社員として少し落ち着いてきたところで、休暇をもらい、UAEの事務所へアンナと行くことにしていた。
成田空港でトランジットしてUAEへ向かうアンナと秋風は合流してドバイへ向かう予定である。
今回は仕事なのでビジネスで行くことにしたのだが、アンナの喜びがメールでも感じ取れていたのである。
「本当ですか!嬉しいです。ビジネスは初めてなので楽しみです!」という感じで英語で送られていた。
保安検査場を過ぎ出国審査場を過ぎたところにある、エミレーツ航空のラウンジで待ち合わせている。
ラウンジに入ると、すでにアンナが寛いでいた。
「ラウンジは6時からのようでしたが、待ちました?」
「5時前に着いたので少し待ちましたが、大丈夫です。」
「早めに来て案内すればよかったですね、ごめんなさい。」
「いえいえ、空港が広いから時間はあっという間でしたよ。」
時間まで二人でドバイーハワイの貿易について話あっていた。
「そろそろ飛行機へご移動をお願いします。」
スタッフが声をかけてくれたのは、サービスかと思ったら、ただ単にクローズの準備だったようだ。
出発ゲートに移動する間、ドバイの果物の話などしていた。
乗り込んで、アンナの隣の席に座る秋風。
空調が効きすぎて寒すぎ感さえ感じる。
さすが中東の航空会社という感じである。
ドバイ空港の着いたのは12時間後の早朝5時である。
チャットとメールでのやり取りしかしたことがなかった所長は、大田弁護士が探してくれた仲介業者の紹介で、ドバイ首長の遠い親戚と言う話であった。お金はいらないから働かせて欲しいと言う事を聞き、人柄も良い為採用したのであった。
『Mr.FUJIWARA』と言う看板を持った人に近寄って行き、声をかけると、背後にいたターバン姿の男性が声を掛けてきた。
「مرحباً بك في دبي، السيد فوجيوارا.Mr.fujiwara.welcome!」英語で話す二人。
「2年ぶりですね、お元気そうで良かった」
「はい、藤原さんは大きくなりましたね。女性が帯同されると聞き、これをどうぞ。プレゼントです。」アンナに挨拶と共に箱を渡す。
「外に出る時は必ずこれで顔を覆ってください」
「あ、ヒジャブですね。そうか、気が付かずすみません。」
「仕事で来られる方は特に気付かないので大丈夫です。」
「確かに、観光だと本に書いてあるもんね」
「綺麗。」と箱から黒いヒジャブを取り出す。
背後から女性が来て、ささっと布を覆ったのである。「慣れればすぐ出来ますよ」英語で教えてくれた。
「車までいきながら自己紹介もさせてください。マアムーン・ビン・ムスタファー・アル・マクトゥームと言います。マアムーンと呼んでください。後ろの女性はアシスタントのジャミーラ・ビント・ムハンマド・アル・マクトゥールです。ジャミーラと呼んでください。」アラブ式挨拶をしてくれるジャミーラ。
スーツケースを運んでくれている、名前を掲げてくれていた運転手らしき男性が車のトランクにスーツケースを入れてくれた。ドアを開けてくれるマアムーン。開け慣れていなさそうだ。
ベントレーのリムジンであろうか。送迎に気をつかってくれたようだ。
先程荷物を運んでくれていた男性が運転席へ乗り込んでから車は動き出した。
マアムーンが取ってくれたホテルへ向かう