9.魔眼起動
突然投稿時間変更してすみませんでした。
変更理由は「より多くの人に見てもらうため」です、ご了承ください。
「可笑しい……可笑しいだろ、これッ!!」
憂は今、とある壁の前に立っていた。それは"自分の知らない壁"、朝歩いた時には無かった見知らぬ壁であった。
「何だよこれ、こんなの知らなッ!?」
動揺から後ろを振り返るがそこにあるのは壁、しかも四方全てが壁に覆われていた。いつの間か憂は閉じ込められていたのである。
こんな事、普通はありえない……けど、そんなありえない出来事を憂はつい"最近"経験したばかりだった。
そう、これは_____
「これは……まさか」
「そのまさかだ間抜け顔ァ!!!!!!!!!!!!!」
「ッ!!」
声のする方へ勢い良く振り向くと、そこにはパーカーを着た若い男が憂を見下していた。
「俺様は(舞楽 椎)!! 喜べ三下ァ!! てめえは俺様の遊び相手に選ばれたのさァ‼ あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!!!!!!!!!!!!!!」
「あ、遊び相手……?」
「そう!! 遊び相手ェ‼ お前も知っているだろォ? 巷で噂の連続殺人、あら俺様の仕業さァ……!!」
「…………は?」
突然「連続殺人事件の犯人だ」と自白する舞楽。その自信満々な姿に憂はすっかり気圧されていた。
「おい、俺様と"鬼ごっこ"しよーぜェ? 楽しい楽しいゲームさァ!!」
「お前、何言って」
「おいおい、そう警戒すんなよォ。ただのお遊びだ…………俺様が鬼でテメェが死ぬ、"暇つぶし"のなァ!!!!!!!!!!!!!!」
「ッ?!」
とち狂ったように叫ぶ舞楽。人生における二度目の殺害予告に酷く動揺する憂。
この殺人鬼は恐らく"あの力"を持っている。もしも、本当に舞楽が犯人だとしたら……
「は、はぁ!? ふざけるなよ‼ もうそういうのはこりごりなんだ‼」
「何叫んでんだよ。頭狂ったか?」
「お前が言うんじゃねぇ!!」
度重なる理不尽に恐怖よりも怒りの情が先に出てしまう憂。
だがそんな事を舞楽が知るはずも無かった。
「そう睨むなァ、遊びなんだから楽しもうぜェ? ほんじゃあ十数えっから何処にでも逃げちまえ」
「は……? って、おい!!」
「10!! 9!! 8!!」
唐突に始まったカウントダウン。それが示すのはすなわち鬼ごっこ開始の合図……もうこのゲームからは逃げられない事を指していた。
「クソ、クソォオ! 死にたくない!! このまま殺されちまうとか絶対、ぜったい嫌だァアア!!!!」
必死に壁を叩く憂。しかし、その程度ではビクともしない。
絶体絶命……普通ならここで何も出来ず、憂は虐殺エンドになったであろう。
だが、それは"普通なら"の話。
『何をしている、ふざけているのか?』
「ッ、ふざけている訳__」
『お前の右目には何が宿っている?』
「僕の、右目……?」
その瞬間、"ある言葉"が頭を過る。それが何なのか、憂はすぐに理解した。その言葉は今もなお自分を苦しめるあの力のトリガーだという事に。
(そうだ、僕にはあの力が……!!)
『さァ叫べ!! 悪魔たる俺のッ!! 力の開放をォオ!!!!』
力を込めた瞬間、右目が充血し血涙が頬に流れる。自分が別の何かに塗りつぶされるみたいで、どうしようもないくらい恐ろしい……だが、もう引き下がらる事は出来ない。
右目を紅に染め、悪魔の力を解き放つ。
「《魔眼起動》ォォォ!!!!!!!!!!!!!!」
その言葉を発したと同時に"ドゴォォン"と、まるで右目から大砲を撃ち込んだかのような凄まじい重圧が体中に響き渡る。
そして生み出された衝撃波は豪快に壁を崩した。しかし、そんな威力を憂が耐えられるはずも無く……
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!!!!!!!!!!」
右目が焼けて沸騰しているかの如く熱く、ズキンズキンと痛みが唸っている。
『どうだ、凄まじい威力だろう? しかし1割も出せないとは……情けない奴だ』
悪魔の言う通り、魔眼の力を全くコントロール出来ていなかった憂。それどころか生み出した衝撃波で自分自身も吹き飛ばされていた。
「あひゃひゃひゃ!!!!!! 思ってより楽しめソーじゃあねェかァ!!!!!!」
「はぁ、はぁ……ッ‼」
『何を寝ている。早く逃げねば殺されるぞ……?』
「ッ、分かっているっつーの‼」
憂は悪態をつきながらも悲鳴を上げる体に鞭を打ち、邪魔なカバンを投げ捨て走り出した。
「2!! 1!! 0ォォォ‼ さァ‼ 楽しい楽しい鬼ごっこの始まりだぜェ!!!!!!!!!!!!!」
ついにカウントダウンが終わり、命を懸けた地獄の鬼ごっこの幕が上がる。
必死に逃げる憂を見て、血に飢えた猛獣のように興奮する舞楽は壁から飛び降り走り出した。
10話まで連投の予定でしたが切の良い所までやりますね。
あと、初めての感想を貰いました。ありがとうございます。日間に載っててビックリしたよ。
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