表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/74

21.殴れ

「くっ……!!」


 右腕を刈り取られ、今にも吐き出しそうな痛みに襲われる杉江。だが、そんな状態でも最後まで抗おうと下唇を噛み、顔を上げる。

 しかし、目の前に広がる光景は"死した希望"……膝をつき、顔を下げた"絶望"であった。


「殺ス」


 怪物は大鎌を構える___憂は動かなかった。


 血だらけの怪物、立てる方が可笑しい。

 だがそんなこと、怪物にはどうでも良かった。

 己を支えているのは圧倒的なまでの殺意。

 復讐? 快楽? そんなものは分からない。


 彼はただ、殺したいだけだ。






 憂は、殺され____()()()



「ッ!?」


 怪物は後ろに下がる。否、()()()()()()()()()()()()()…………それも、自分の意志で。


 冷たい何かが頬を伝う。これは……これは何だ? 未知の経験に困惑する怪物。

 「何故あの時殺さなかったのか」、「何故自分は冷たい液体を流しているのか」。

 まさか、己の本能が獲物に恐怖している? ありえない…………殺意以外の感情を抱くなんて決してありえてはいけないのだ。


 その時、憂はゆっくりと体を起こした。足元は千鳥足でまるで操り人形かのようにおぼつかない。


 憂は怪物を睨み付け…………笑った。


「は、ははは、ははははははは!!!!!!!!」


 壊れたラジカセみたいに笑い続ける憂。ぐちゃぐちゃになった髪から見える目に光は無い。殺意とも、絶望とも違う、異様な"ナニカ"がそこには居た。



 は  はは   はははh hhhhhhhhhh



「はぁ……死にたくないなぁ…………」


 笑いを止め深い溜め息をつく。

 先程までの気弱な少年とは違う、腹底から冷たくなるような重い声。


「なぁ、俺はどうすればいい」


 そして少年は"その名"に尋ねた。


「アガレス」


 その言葉に誰かが笑った気がした。


『殴れ』


 憂は(くう)を殴る____



 たったそれだけで全てが吹き飛んだ。



 透明な何かを纏っていたのか、()()()()()()()拳を振り抜くと2mは超えているであろう巨大な衝撃波が放たれた。

 衝撃波は土、壁、木々と周囲にある障害物を巻き込み、目の前にいる怪物ごと吹き飛ばしたのである。


「ガッハァァッッ!!!!!!!!」


 怪物は避けず、避ける事が出来ず旧校舎の壁にぶち当たり完全に気を失っていた。


(いったい、何が起きたの……)


 目の前で起きた出来事に目を疑う杉江。しかし当の本人()は力を使い果たしたのか、何処かやり切った表情を浮かべながら気絶をしていた。

 全てを吹き飛ばした衝撃波に取りつかれたかのような変わり様……いったい彼に何があったのだろうか。


「貴方は、いったい……いえ、それよりもこの状態どうしましょう」


 旧校舎は本校舎とある程度の距離があるとはいえ、倒壊と先程の衝撃波が引き起こした騒音は流石に無視は出来ないだろう。本校舎に居る教員が旧校舎の状況を確認しに来るのは時間の問題である。


「はぁ……しょうがないわね」


 杉江は無い右腕を見つめ、深く溜息をつく。



 後日、旧校舎に駆け付けた教員によると「土や壁は抉れており木々は倒れていた。だが、巻き込まれた生徒は居なかった」とのことであったが、原因は未だ不明である。




~~~~~




「…………うっ」

「目を覚ましたのね」


 重い瞼を開け声の方向に振り向くと、そこにはパイプ椅子に座った杉江が本を読んでいた。どうやら自分はソファーで眠っていたらしい。それも日が暮れるまで。


「ここは……」

「生徒会室よ。安心して、会長権限で貸し切っているから」

「そうか……って、アイツはどうした!!」


 一安心も束の間、すぐに慌てだす憂。その様子に杉江の目つきが鋭くなる。


「……貴方、覚えてないの?」

「は、何を」

「怪物は貴方が倒したのよ」

「はぁ? 何言ってんだお前」

「…………」


 嘘をついているようには見えない。どうやら本当に覚えていないのだろう。


「そういえばお前!! 腕……って」

「腕がどうかしたの?」

「……なんで、腕があるんだ……!?」


 杉江をまじまじ観察し何度も確認をする憂。制服は汚れ一つも無い制服、整った髪型、そして黒い長手袋を付けた()()。そう、吹き飛んだはずの右腕が杉江の身体に繋がっているのだ。


「急に見つめて何? やっぱり変態なのかしら」

「やっぱりってなんだよ」


 確かに右腕が吹き飛ぶ瞬間を見たはず……だが何故かそれ以上は思い出せない。

 憂は仕方なく、もう一つの疑問を杉江にぶつけた。 


「はぁ……それで、何で助けたんだ」


 その言葉を聞くと、杉江は机に腰掛け不敵に笑った。

 その行為を見ると、憂は酷い既視感を覚えた。



「ねぇ、私と____同盟を結ばない?」




昨日更新出来ずサーセンした()

次くらいでこの章は終わりかな?


モチベアップの感想評価ブクマお願いします。

Twitter→@iu_331

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ