19.クソッたれの悪魔
生活リズムによって変化する更新スピード
因みに廊下はT字、怪物は上棒の端、憂達はかどっちょにいると思ってください(補足)
「殺スゥゥゥ!!!!!!!!」
談笑するのも束の間、床を突き破って目の前に立ち塞がる怪物。
旧校舎は二階建て、屋上は無く廊下は一本道……つまり、逃げ道はもうない。
「殺ス殺ス殺ス!!!!」
「クソッ、ここまで来て……!!」
悪態をつく憂であったが、怪物の歩みが止まる事はない。
この場に渦巻く絶望、そして殺意。もう成す術は無いかに思えたその時、"ミシミシミシ……!!"と、ある音"が場に響いた。
木々が折れる音____軋みだ。
ただでさえ旧校舎は古びた木造建築物なのだ。あれだけ一階を壊し回れば、二階まで軋んでも可笑しくはない……しかし、その僅かな変化は憂達に希望をもたらせた。
「ねぇ……私たちって運命共同体よね?」
「あぁ!? 今そんな事言ってる場合じゃ」
「一瞬だけ」
そう言った直後、魔眼を起動させる杉江。
「!! くッ、ぐぁああああ!!!!!!!!」
杉江が何を考えているのか分からない。だがその行動を見て、憂は「今、自分が何をすべきか」を肌で感じ取った。
それは時間を稼ぐ為の囮に、生贄となるべく怪物に駆け出す事である。
「殺ス!!!!!!!!」
わざわざ懐へ飛び込んで来る獲物目掛け、怪物は鎌を振り上げる。
しかしその瞬間、憂は後ろ向きに走り出した。勝負するは無い、目的は時間なのだから。
結果、怪物の攻撃を回避する事に成功する。「一瞬だけ稼げれば良い」という弱者故の作戦勝ちであった。
「……見つけた!!」
その隙を無駄にする事無く、何かを探していた杉江。負荷が掛かり過ぎて右目からは血が流れ出しているが、そのかいはあったようだ。
「目の前、2m床ッ!! 撃って!!」
"何を撃つのか"、憂はすぐに理解した。だが、同時に不安もある。あれ以来一切の反応が無いアイツが果たして応じるのか、と。
悩むには時間が余りにも足りない……だが、そんな事はもう何度も経験している。そして、そんなときの答えも分かりきっている。
さぁ呼べ____クソッたれの悪魔を。
「アガレェェェェェス!!!!!!!!!!!!!!!!」
『……ふは』
右目が紅に変わる。
『ふはは』
頭の中に響くアイツの高笑い。
『ふはははははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!』
最悪とは重なるもの、世界一頼りたくない最悪の相棒の復活だ。
『やるぞ……憂ィ!!!!』
「あぁもう!! 好きにしろぉおお!!!!」
憂の叫びと共に放たれた衝撃波は凄まじい音を立てながら床を破壊する。
当然怪物は衝撃波を防ぐ……が、破壊された床を中心にして床や壁に亀裂が生まれ、音を立てながら憂達の足元にまで伸びていく。
そう__先程の衝撃波が旧校舎に止めを刺したのだ。
「うぉおお!!」
「ッ……」
「殺ォォォオオオ!!!!」
床が消え、浮遊感がとても気持ち悪い。そしてこの場に居た三人は重力に抗う事なく落ちていった。
「ぐはァ!!」
「……なんとか、なったのかしら」
ろくな受け身も取れぬまま床に叩きつけられ、悶える憂。
不幸中の幸いか、先に落ちた廊下の残骸がクッションとなり大事には至らなかった。もしこの建物が木製ではなくコンクリート製だったなら最悪死んでいただろう。
「あぁ……とりあえず速く逃げないと……怪物がまた襲ってくる」
「多分、その心配はしばらく無いわ」
「……は? どうして」
「それは歩きながら説明するから今は早くここから移動しましょう」
「……分かった」
二階からの落下、体はフラフラ。それでも憂は自分の体に喝を入れ、二人は外へと歩き出した。
こんだけ暴れても取れない紙袋
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