俺の森が荒らされている
「ん……」
小鳥のさえずり……木々の葉擦れ……緑の香り……
ここは……森……?
「よし、ここら一帯を焼き払え。樹木は切り倒せ。材木として利用する」
……あいつ森に火を……!?
なぜだか分からないが、無性に止めなくてはと思った。
そして気が付いたら声に出していた。
「お、おい!そんなことしたら木々が可哀想だろうが!」
「……見ない顔だな。だが我々も命懸けなのでな。躊躇ってはいられないのだよ。この開拓が多くの命を繋ぐことになる」
中世風の装備で武装した集団がこちらを向く。
一触即発の気配だ。
……クソッ……でもどうしよう……俺ただの大学生だし……
「そこまでよ」
突如後方から大量の水が押し寄せる。
俺も男達もずぶ濡れだ。
だが、おかげで男達は戦意を喪失したようだ。
「第2層の奴が何故!?クソ!一旦引け!」
「誰だか知らないけど助かったよ。ありがとう」
「ふん。あなたを助けた覚えは無いわ……ってあなた……ハイド?」
「え、俺?」
よくよく見ると彼女にも見覚えがある……ような……
けど、俺はこんなにも生き生きとした彼女を知らない。
けれど俺の知識で該当するのは……
「……ウンディーネ?」
「そうよ。森番に乞われて2層から出張って来てあげたんだから感謝しなさい」
……ウンディーネ……森番……これだけ聞き馴染みのある単語が揃えば間違いない。ここは……
「……大森林!?」
「それ以外何があるのよ。寝ぼけてるの?」
「いやいや、ちょっと待ってくれ」
大森林はゲームの俺の箱庭。俺がこだわり抜いた結果、7つだけがなれる「魔窟」にまでなったダンジョン。
そこに何で俺が……?そもそも何で現実に……?
しかもハイドって呼んだか?確かにプレイヤーネームはそんなのにしてたが……
「……酷く混乱してるようね。とりあえず5層を目指しなさい。そこで色々説明してくれるだろうから」
「……君は?」
「帰るわよ。ただでさえ水辺を離れて苛立ってるってのにあなたの世話まで焼けないわ」
「……そうか。ありがとう」
……他に当てもないことだしまずは彼女のアドバイスに従ってみよう。
そこで俺の疑問が解決するといいのだが……
……ふと周囲を見回す。
焼かれた木。切り倒された幹。
人工的に作られた道。俺の知らない傷跡。
ここが本当に大森林なら。
これは全部──俺が作った森だ。
じゃあ、さっきの奴らは。
「……俺の森で、何やってんだ?」




