転園
俺は、足でこぐ車のおもちゃで家出しようと、家が見えなくなる距離まで行ってみたりする変な子どもだった。
だが、幼稚園に入っても、それなりに楽しかった気がする。
とはいっても、行きたくなくて幼稚園に向かう最中、道の真ん中で動かなくなったりしたこともありはしたが。
後は、母親の自転車の後ろに乗っていて、おなかが痛いのを言い出せなくて、うんこをもらしたことぐらいしか覚えていない。それで、気に入っていたガンダムの座布団をダメにした覚えがある。
そして、年長の夏休み、俺の人生に転機がやってくる。茨城から、埼玉に引っ越すことになった。
それは、親父の都合だった。末っ子で、マザコン気味だった親父は、自分の親の近くに住みたいというのがあったのだろう。
表向きは、俺のためだった。田舎の学校よりも少しでも都会の学校の方が教育的にいいだろうということだった。
仲がよかった幼馴染とも別れ、埼玉に引っ越した。彼とは、それ以降一度もあっていない。
夏休みが終わると、新しい幼稚園に行くことになった。
その幼稚園は、温水プールがあり一年中プールの授業がある幼稚園だった。前の幼稚園よりも少し厳しかったのかもしれない。
すぐに幼稚園になじんだと思うのだが、そうではなかったのかもしれない。
心のどこかでなじめない自分がいたのだと思う。前の幼稚園よりも親に叱られることが多くなった気がする。
例えば、お遊戯会でのことだ。俺だけ「腕がしっかり伸びていない。何やってるんだ!」とかだ。
友達ともそうだった。どこかなじめない。今思えば、好きじゃない友達が多かった気がする。どちらかといえば、いじめられっ子気味だったのかもしれない。転園してきて、半年で卒園するのだから当然といえば、当然かもしれないが。
こうして、心のどこかでずれが生じ始めていた。




