誕生
養鶏場では、ちゃんと辞めたとは言いがたいが、バックレて辞めることはしなかった。
そもそも、俺はバックレて仕事を辞めることが多かった。
俺がクズだからだろうか。それとも、俺の生い立ちや人生に関係があるのだろうか。
俺は、生まれた瞬間から不幸に見舞われた。逆子で生まれたのだが、へその緒が首に絡まっていて死に掛けた。
そんなことも遺伝するのだろうか。子どもたち三人とも逆子になった。なんとか、生まれるまでには元に戻ってくれたので大事にはいたらなかったが。
逆子だった俺は、斜頸という病気でもあった。斜頸とは、首がどちらかの方向に曲がっていて、顔が回し難くなる病気だ。この病気になる確率は2%ないぐらいらしい。逆子の場合、その確立が上がるらしいのだが。
どうやら、俺の症状は重かったらしく、すぐに手術することになった。手術は無事に成功したが、その傷跡は今も首筋に残っている。
その傷跡は、成長するにつれて、だんだんと大きくなっていった。成長に合わせて傷も成長しているのだ。始めはほとんど分からないほどの大きさだったらしいが、今では目立つ大きさになっている。最近も、健康診断で訪れた病院で、先生にどうしたのか聞かれたぐらいだ。
それから、三歳ごろまで、ずっと首のマッサージに行くことになる。母は、俺を毎回マッサージに連れて行った。それも、自転車で一時間もかけて。
三歳の記憶なんて、ほとんど覚えていないが、そのマッサージに行くのが、嫌で嫌で仕方なかったのを覚えている。
俺があまりにもマッサージを嫌がるので、親父は折れて指をしゃぶるのを許したらしい。
それがよくなかった。それからというもの、指しゃぶりを止められるまでそうとうな時間を要することになる。おそらく、恥ずかしながら、小学校の高学年まで寝るときは指しゃぶりをしていたはずだ。
それが、遺伝するのだろうか。小学三年生の長女も指しゃぶりが直らない。完全に俺のせいだ。三歳の次女、一歳半の長男はそんなことはないのだが、長女だけは指しゃぶりをするようになってしまった。本当に長女には申し訳ないことをした。
こうして、俺は生まれた直後から、宝くじに当たるような確立で不幸だった。




