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新たな嵐の到来?

コンコン

ガチャ


「差し入れです」


今日もまた家庭教師月野くんの偵察に鳴ちゃんの部屋にお邪魔してる。

今日は偵察だけじゃなくて話もしたかったしね。



「あっ春風さん、この前はどうも」


「こちらこそほんと月野くんにはびっくりさせられたよ」

さっそく遊園地の話題になる。今も月野くんの顔を見ると吸血鬼のときの顔を思い出してちょっとゾっとしてしまった。けっこう怖い特殊メークだったんだよね。口から血流してたしさー・・。


「ん?何の話?」と鳴ちゃんは一人ポカンとしている。


遊園地での出来事をかいつまんで話すと・・


「へ~!すごい偶然だね。そんなとこで出会ったなんて。ってかキャロ、響と二人で遊園地なんて行ったんだ。ずりぃ~。おれだってキャロと行きたいのにさ」と拗ねてる。


「ずるい?だって春風さんと響さんは付き合ってるんだから別にずるくはないのでは?」と月野くんは不思議そうな顔をして言う。


「へ?付き合ってる?・・・キャロ、響と付き合いだしたの?!」と身を乗り出して聞いてくる。


あちゃーーやっばーーー!もうウソがバレちゃう。


ってかよく考えたらすぐバレるの分かりきってるよね・・。


「あの、付き合ってないよ。ごめんねちゃんと否定せず流してしまって」


「えっそうなんですか・・なんだてっきり・・」

と月野くんは心なしか残念な表情を浮かべている。


「はぁ~びっくりした」鳴ちゃんの方はホっとした顔をしてる。


「吸血鬼の月野くんほんとハマリ役で一瞬本物かと思っちゃった」


「ツキノン似合いそう!見てみたいなー今度そのカッコで来てよ」


こらこらそんな無茶言って~!あんなカッコで街歩いてたらみんなびびるって!


「鳴くんがそういうなら・・」


って本人乗り気だし!しかも嬉しそうだし。


月野くんって鳴ちゃんに対してはけっこう素直なんだな。顔にすぐ出るし。

そこはかわいらしいよね。



「春風さんと響さんすごくお似合いですよね。付き合ったらいいのに」ってまた話を蒸し返す。

それでちらっと鳴ちゃんの方を見るんだよね。


あーー!まさか!?


月野くん、あたしが鳴ちゃんに気に入られてるのがどうのこうの言ってたよね。

もしかしてわざと鳴ちゃんの興味があたしから遠ざかるように仕向けてるんじゃ??


「全然お似合いじゃないよ!響性格悪いしさ~!」

と鳴ちゃんはおもしろくなさそうに言う。


「でも最近の響は優しいよ?」

とあたしが言うと鳴ちゃんは意外そうな顔をして


「・・・へ~。戻ってきたのかな・・」とつぶやくように言う。


「?」


「あっいや何でもない。とにかく響とはダメー!」とほっぺをふくらませる。


かわいいなぁ。鳴ちゃんってば子供みたい。

ちらっと月野くんを見ると、ちょっとせつな気な顔をしてる。

なんかちょっと可哀想に見えるなぁ・・。

鳴ちゃんはまさか自分が月野くんに恋愛感情持たれてるなんて思いもしないから、気を遣って言葉を選んだりしないし。


なんとなく居心地が悪くなったので

「じゃ勉強頑張ってね」と言い残し部屋を出た。


その後から前みたいに月野くんも出てきた。

何か言いたいことがあるんだろうか・・。

前と同じ廊下の突き当たりに移動する。



「何で付き合ってるってウソついたんですか?」

あーそのことが納得いかなかったんだ。


「ウソはついてないよ、否定しなかっただけで」

しかも否定しなかったのは響だし。


「それ屁理屈ですよ。大人げない」と怪訝な目であたしを見る。


う・・・月野くんは、あたしと鳴ちゃんとでは話すときの態度が全然違うんだよね。

あたしのときは容赦ないというか。遠慮がないというか。

まぁしょうがないけど。月野くんにとったらあたしって邪魔者みたいな存在だし。


「ごめんなさい」


「それじゃ答えになってません」


これはしつこそうだ・・納得いかないことがあると、とことん突き止めないと気がすまないタイプなのかな。


「えっと・・その・・」なんて言えばいいんだろ・・

響が月野くんのこと警戒して・・なんて言えないよぉ。


「どうしました?」とまた詰め寄ってくる。

影オーラが怖いって~!また吸血鬼に見えてきた。

ピンチだどうしよう!!



「ただめんどくさかったからだよ」


突然別の声が!そっちの方向を見ると・・


「響!?」


いつの間に現われたんだろう。月野くんの後ろから少し離れたところに俺様響のポーズで立っている。


あわわ・・かなり不機嫌なご様子だ・・。

威圧オーラをバチバチと放電してる。


「いちいち否定すんのめんどくさかったからそうしたってだけ、特に意味なんかねーよ」

と今度は響が月野くんに詰め寄る。


美形二人が向かい合ってるとそれだけで迫力を感じるなぁ。


ってのん気に眺めてる場合じゃなかった。


「ふ~ん。なんか怪しいですけど、今回はそういうことにしておきますよ。響さんに免じて」

とあたしの方をちらっと見る。


もう何であたしにだけ敵意むき出しなのよ~!


「後、オレのメイド、いじめないでくれる?こいついじめていいのはオレだけだから」と親指であたしを差しながら言う。


「溺愛してるみたいですね」とクスっと笑う。


「はぁ~?!してねぇよっ」


ヤバい本気で怒ってるって~!これ以上響の神経逆撫でするようなこと言わないで~~。


あたしは一人ハラハラしながら二人を見てた。


「じゃ、鳴くん待ってるんで戻ります。」

と怒りの種を振りまくだけ振りまいてさっさと戻って行った。


勘弁してよ~!

ほら、さっきより不機嫌になっちゃってるし・・。


「なんなんだよ、あいつは。いちいちイラつくなぁ」


「まぁまぁ、あれで本人は悪気ないんだと思うよ」


「おまえ、あいつの肩持ってんじゃねーよ」


いやいや肩持ってるんじゃなくて、なんとか響の怒りをなだめようとしてるだけなんだけどな・・。

そんなあたしの気遣いが全く通じてないみたいで。


「あっでも、あたしが月野くんを監視してる理由はちょっとは分かったんじゃない?」


「確かにあいつはなんか厄介な感じする」


「でしょ~」

やっと分かってくれたかぁ。


「あまえ気をつけろよ。何かあったらすぐオレを呼べ」


「うん!ありがと」


よし、響も理解してくれたみたいだし、まだまだ監視を続けるぞ~~!!





そして土曜日。


「キャロ、おまたせ~」

と前から軽快に走ってくる鳴ちゃん。


今日は鳴ちゃんとお茶しようって前から約束してた日。

行き先はもちろん・・


「今日も響怒るかな?あ~楽しみ」と鳴ちゃんがうきうきしてる。


そう響のバイト先♪

二人ともあのお店がだいぶ気に入ってしまったのであれからもちょくちょく行ってるんだよね。響にはいい顔されないけど、最近ではついにあきらめたらしくて今じゃ態度も普通になってきてる。


「今日実はツキノンも呼んだんだ♪」と楽しそうに言う鳴ちゃん。


え??マジでーー!?



「なんか前に響のバイト先のこと話したら行ってみたいって言っててさぁ。別にいいよね?」


「う、うん」


と言いつつあたしは正直動揺してた。だってこの3人でいるときってけっこう気を遣うんだもん!

月野くんもよく参加する気持ちになれたものだ。

まぁきっと鳴ちゃんさえ居てれば他はどうだっていいと思ってるんだろうな。



とりあえず駅前で月野くんと合流し、響のカフェ『ホワイトラビット』に着いた。

あたしはカフェと月野くんを交互に見て思う。どう見たってこのメルヘンチックな場所には月野くんは不釣り合いなんだよね。

だって今日も黒装束だし・・ドクロのペンダントしてるし、影オーラ全開だしぃ・・

でも当の本人は全く気にならないみたい。

けっこうマイペースな人なのかも。


「やっと順番が来ましたね」と月野くん。

目をいつもと違ってキラキラさせてるからきっと楽しみなんだろう。


「いらっしゃいま・・また来やがったか」


今日は響がお出迎えだー。一瞬嫌そうな顔をするけど前ほどではない。


「最近、響怒んないからつまんねー」


「もう怒る気力もねーわ」


あはは。響、脱力してる。


「響さんカッコいいー♡」

って月野くんまた目が危ない人になってるって~!


「写メ撮ってもいいですか?」


「キモイからやめろ」


「じゃあこっそり撮ります」


「追い出すぞコラ」


あ~あ~お客さま相手になんて柄の悪い・・・。


他のお客さんに聞かれたらイメージ崩れちゃうじゃん!


「紅咲くん、何やってるの?次のお客さん来てるよー」と小柄なウェイトレスの女の子がやって来た。

あれ?前あんな子いたっけ?


「かわいい女の子だね」と鳴ちゃん。

そうなの、小柄で、落ち着いた赤みががった色の髪をゆるく巻いててそれを今はポニーテールにしてる。ほどくと背中ぐらいはありそう。

なんかふわふわした雰囲気で癒し系だ。


「あっワリぃ、すぐ行く」とあたしたちに席を案内して去って行く。



どくん・・


あれ?なんだろ・・なんか胸の奥がうずうずするような変な感覚・・。

あたし・・何を不安がってるの?



「響さん制服めちゃ似合ってますね。鳴くんもあのカッコ似合いそう・・」

と月野くん。今絶対妄想してる、鳴ちゃんのウェイター姿。


「そーかなぁ?おれはマックの店員とかの方が似合ってない?」


「あっ似合う似合う!スマイルゼロ円!・・いや鳴ちゃんの笑顔はもっと高いか」


「絶対高いですよ!値段なんてつけれません!」と月野くんも強く言い切る。


おっ初めて会話で意気投合したかも。


「二人とも恥ずかしいからやめてよ。」

あはは。鳴ちゃんが照れてる。二人から褒め攻撃に合うのはさすがに参ったのかな。



「ツキノンっていまいち謎多きキャラだよね」と鳴ちゃんが話題を変えた。


「うんうん、人間かどうかもわかんないし」


「失礼な人ですねぇ。あなただって人間というより・・犬ですね。響さんの犬」とフフと笑う。


ムカ~~~~!

その言い方はなんか腹立つなぁ。


「ずいぶんかわいがられてるみたいで羨ましい限りですよ」と憎たらしい顔で言う。


嫌味なやつ~~~!


「じゃあ月野くんは鳴ちゃんに飼ってもらえばいいんじゃない?」

とついつい口から出ちゃった。


嫌味で言ったのに本人には全然効いてないみたいで・・


「それはいい提案です。鳴くん僕をペットにしてくれません?」と鳴ちゃんの方を見つめる。


これってけっこう大胆なこと言ってるよねぇ・・。


「さすがにこんな大きなペットはやだよ。キャロならいいけど♪」とまたまた容赦ない言葉。


「あららフラれちゃったね~」


「・・・・」



うっ・・月野くんの視線が痛い。目から怒りの光線を出してきてるよ。



「お待たせしました~」とさっきの癒し系の女の子がパフェを運んで来てくれた。

笑顔がまたかわいらしくて癒される。


「みなさん紅咲くんのお友達さんなんですよね?」と話し掛けてきた。


「えっと友達・・・ではないんだけど・・」


だからって響専属のメイドです、なんて絶対言えないし、なんて言えば・・。


「響さんの彼女ですよ」


これをしれっと言ったのはなんと月野くん!


「つ、月野くん何言って・・」というあたしの言葉を遮って、


「紅咲くん彼女いたんですかー・・」とボー然としている女の子。


あれ?ショック受けてる?!

この子もしかして響のこと・・。


「ごめんなさい!彼女じゃないです。ただの知り合いですから」


「あっそうなんですか。・・じゃああの皆さんゆっくりしていってくださいね」

とまた元気に戻った彼女は去って行った。


「何で否定するかなー。せっかく牽制してあげたのに」と月野くんが文句を言う。


「牽制?・・月野くんが何考えてるかわからないけどウソはダメだよ。響にも怒られるし・・」


「わかりましたよ。もう余計なことはしません。でも知りませんよ、厄介な嵐が来ても」とちらっと向こうでレジをしているさっきの女の子を見ながら言った。


「?」


「大丈夫☆遭難したらおれが助けてあげるから♪」と鳴ちゃんがにっこり笑って言う。


その言葉を聞いて月野くんははぁ~と深い溜息をついたのだった。



どんまい☆ツキノン!




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