プロローグ
初投稿です。
拙い文章ですが楽しんでいただけると嬉しいです。
よろしくお願いします!
「好きだ」
胸を打つ彼の鼓動は私を抱きしめている腕を振るわせるほど力強い。そして冬の季節、隙間風の多いこの家にふさわしくない熱い体温。彼から漂うシダーウッドの香り。五感から受け取る全てが彼、この国で一番強いとされている魔法騎士グラディウス・レオリオンから抱きしめられていると理解はするが、何故だ。何故こんなことになっている。
それに今『好き』と言ったのか?好き、好きって、あの好き?私のことを愛しているってこと?
「そう、愛しているということだ」
いつの間にか声に出てたらしい。
「え、いや、どうして、なんで、好きって、え?」
「ずっとこの腕で抱きしめたいと思っていた」
また一段と腕に力が籠り、私を痛いくらいに捉えて離さない。
「ハニートラップ?その整った顔を使って私のことを懐柔しようとしているの?」
「僕の顔が好みで良かった。ハニートラップではないが、なんなら体も好みかどうか見てみるか?」
私の手を掴むと、服の上から自分の胸板に這わせた。
「わ!すごい硬い……じゃなくて!!」
「魔法騎士団の中でも一番筋肉があると言われている」
「もういいです!あなたに付き合っている暇はありません」
「流石にいきなり付き合って欲しいとは思わない。最初はデートからでどうだろうか」
「いい加減にしてください!」
拘束魔法に瞬間魔法を合わせて、男を視界から消す。ハーハーと息切れを起こした私は深呼吸で息を整える。
なにが『若き天才』だ。ただの変態ではないか!
「天才魔法騎士って月蝕の魔女のことが好きなんだね」
今夜《夜の祝福》を受ける八歳の少年が笑顔で言う。
ハハハ、と乾いた笑いしか出ない。もう二度とグラディウス・レオリオンに会いたくないと思った。
しかし、月蝕の魔女の討伐を命令された騎士は毎回《夜の祝福》の場に現れる。
そして『好きだ』『会いたかった』『今日も美しい』『今夜こそ僕の話を聞いて欲しい』『最近寒いが風邪を引いてないか』『いつも思うが細すぎる。ちゃんと食べているのか』そう言いながら、花束に櫛、手ぶくろ、マグカップ、香水などのプレゼントを渡してくる。手紙を書いてきたこともあった。もちろんすぐに瞬間移動で飛ばすので受け取ったことはないが。
最初はこの男の真意が分からず、ただただ混乱していたが、毎回懲りずに告白し、プレゼントを用意し、国随一の実力を持つ魔法騎士がなんの抵抗もなく飛ばされる。プレゼントも透視で見たが、なんの魔法も仕掛けられていない。そして一目でわかる質の良さ、どれも美しく装飾され艶々のリボンまで結んである。渡す時はいつも手が微かに震え、表情は硬いものの頬はほんのり染まっている。
何よりその瞳だ。真っ直ぐに熱く私を射抜くその双眸が饒舌に想いを語っている。ふと目が合うと歓喜に溢れ、より一層黄金が輝くのだ。
え、本当に私のことが好き?




