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20犯人との接触

「ブー、ブー」


 実乃梨が考え事をしていると、唐突にスマホが着信を告げる。誰からの電話か確認すると、非通知と表示されている。このタイミングで非通知からの電話は気味が悪い。しかし、この非通知の相手に心当たりがあった実乃梨は、深呼吸をして気を落ち着かせ、電話に出ることにした。


「もしも」


「一回目は無視してくれたけど、あれから調子はどう?わざわざ護衛なんてつけてくれちゃって、私に対する嫌がらせ?」


 実乃梨の言葉を遮り、開口一番、早口でののしられた実乃梨だが、相手が予想通りの相手で、なぜかほっとした。


「ドン・ハーモニーさんですよね」


「わかっているから電話に出たんじゃなかったの?もしそうでなかったら、ずいぶんと警戒心のない、おバカさんだけど」


「今回の集合日時と場所を教えてください」


 相手と長電話する気はなかった。外には永徳が護衛を続けている。変な行動をしていたら、不審に思われて、犯人との接触がばれてしまう。しかし、相手は簡単に集合日時と場所を教えてくれなかった。


「場所は前回と同じ、とはいかないわ。同じ場所を使うのは危険でしょう?それで、あなたは本当に、不老不死から解放されたいと願っているかしら?」


相手は実乃梨が護衛をつけていて、警察とつながっていることを知っている。警察にばれることを警戒している相手に対して、冷静に問いかける。


「どうしたら、信じてもらえますか?」


「そうねえ。ああ、そうだ。いいこと思いついた。私が直接、あなたのもとに行って、行き先を教えればいい。いや、それは危険ね。だったら……。いいこと思いついた!」


「あなたが私に会う?」


「そうそう。封筒は見てもらえたわよね。私、変装とか得意だから、そうしましょう?とはいえ、私が直接、場所と時間を教えることはない。だって、さすがに危険すぎると思うもの。じゃあ、私は思いついたことを実行しなくちゃだから、電話を切るわ。楽しみに待っていてね」


 電話はそこで終了した。相手は自分のアイデアが素晴らしいと自画自賛して上機嫌だったが、一方的に電話を切られた実乃梨の気分は最悪だ。


 しかし、最悪な気分はすぐに上昇した。いったい、どんな人物が私に会いに来るのだろうか。不謹慎だが、長年の同じ生活に退屈を感じていた実乃梨は、心が高揚してしまった。




 気分が落ち着いて、実乃梨は先ほどの電話を思い返す。彼女はどうやって私と接触するのだろうか。護衛の身辺調査は、当然行われているはずだ。そのため、実乃梨の人間関係は警察にも護衛会社にも把握されている。実乃梨はお世辞にも交友関係が広いとは言えない。不老不死になってからは、さらに交友関係も少なくなってしまった。


 そんな実乃梨に突然、初対面の人間が接触したら、怪しまれるのは確実だ。変装が得意だとは言っていたが気になってしまう。


 その日、実乃梨は電話の相手について考えるのに夢中で、明け方近くまで眠ることができなかった。



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