22 クリスマス・イブ(2)
「美紀ちゃんが編んでくれたの?」
「ま、まぁね」
マフラーを袋から出すと、それをじっと見つめた。
「…………」
しばらく何も言わない。
(もしかして苦手な色だったかな、違うと思ったけど……)
それともこの出来栄えに引いてしまっただろうか? 段々不安になる。
これなら別に何か用意しておけばよかったかな。そう思い始めた時、カズ君がマフラーを差し出した。
「美紀ちゃんがかけてくれないかな?」
そう言って頭を下げる。
「私が?」
「うん」
私は言われたとおり、カズ君にマフラーを巻いた。二回りすると丁度良い長さだった。
「ありがとう。本当に……本当に嬉しい」
頭をあげると満面の笑み……ではなく、眉間を微かにひそめた笑顔だ。
「……本当?」
いつもなら見ている方も嬉しくなるような笑顔で喜んでくれるのに。
「その……嬉しいのをとおり越して、泣けてきそうだ」
そう言って鼻をこするカズ君の目元が光ったのは気のせいだろうか。
不器用な私が手編みにしたのは、もっとカズ君に喜んで貰いたかったから。それが思った以上の反応があって正直驚いた。でも頑張ったかいがある、というものだ。
「僕もプレゼント渡すね」
カズ君もカバンから包みを取り出した。
「ありがとう。開けていいかな?」
「うん」
覗いてみるとマフラーが入っていた。全体的に白く、両端には雪の結晶などの柄が赤い色で施されていた。
「ふふっ、同じだね」
「残念ながら僕の手作りじゃないけどさ」
「カズ君なら編んでくれそうなのに」
「じゃあ来年は……なんて、さすがに無理だよ」
私も今のを外して新しい方を巻く。長さも十分で、やわらかくて暖かい。
「美紀ちゃんは明るい色も似合うと思って」
中学の時は黒や紺色などを指定されていて、今もその時の物を使っていた。
「これからはこっちを使うからね」
「僕もそうする」
「それ、明るい所では止めておいた方がいいと思う」
「そんな事ないよ。大事にするから」
今度はいつもの笑顔だ。
「コート、ありがとう」
広場を出る前に惜しい気もしたけどコートは返した。
「着ないで大丈夫?」
「うん。マフラーが暖かいから」
「僕も……暖かいよ」
似た色のマフラーはお揃いに見えるかな? ちょっと照れる。
商店街を抜けて駅前に戻ると見覚えのある姿があった。思わず足を止める。
「どうしたの?」
「ほらバス停に……」
レイ君が男女数人の生徒と立ち話をしていたのだ。隣りには竜岡さんがいる。
間も無く到着したバスにみんな乗り込んでいった。
「クリスマスパーティー、なのかな?」
バスを見送りながら私はカズ君に尋ねた。
「そうかもね」
「聞いてないの?」
「お互いの予定を完璧に把握してる訳じゃないよ」
軽く肩をすくめてカズ君は笑う。何でも話すのかと思っていたら、そうでもないようだ。
この後もいつもと変わらず話しをして、ゆっくり街を散策する。
だけどそれが綺麗な飾り付けされている下だと特別な事のようで、とても楽しかった。




