34話 クミ②
いかん、このままではクミを抱く流れになってしまいなし崩しに付き合うといった流れに成りかねない。
べつにセックスするだけなら問題無いのだか、流れ的にそこで付き合わないと言ったらクズ扱いされること間違い無しである。
パッと龍さんを見ると目が合った。親指を上げサムズアップしている。アンタ絶対話聞こえてねえだろ。
取り敢えず今日は何もしない。行けても行かないという選択肢が出来た自分に少しの誇らしさを覚えるが今はそれも邪魔に感じる。楽しく過ごし、楽しかったねで帰らせるのだ。
こういう時龍さんならどうするのだろうか。後日龍さんから答えを聞くことになるのだが、考え方がついていけなかった。
取り敢えず今日は飲もう。潰れてしまえばそういう事にはならないだろう。
何時もより三杯は多く呑んだ俺はコースが終わり会計する頃には足元をふらつかせていた。
クミも多少酔ってはいたが、俺程ではなく常に大丈夫?と声を掛けてくれていた。
「大丈夫大丈夫、さ、駅に行こうか。あー楽しかった」
「私も楽しかったー、久しぶりに羽根を伸ばしたって感じ。俺君、また行こうね!」
「うん、また行こう」
お互いにそう言い合って俺達は駅で別れた。
帰り道歩いているとラインが鳴った。龍さんからだ。
「やるようになったじゃん。もうモテない男じゃないね」
確かにそうなのかも知れない。だが可愛い女はまだ行ける気になれない自分もいて、複雑な気持ちで俺は帰路についた。




