閑話 蔓延る思想
クラド帝国の離れにある宰相が保有する屋敷。
その屋敷のある部屋である報告会が始まっていた。
「宰相殿、勇者殿たちの隷属化は進んでいるのかな?」
「ああ、あの術の勇者とあの白花とかいう女二人以外はほぼ全員隷属化できた」
「その二人は何とかできんのか?特に術の勇者は隷属できればかなり戦力になるぞ?」
暗闇の中で一人の男が質問する。
その言葉に別の男……宰相が不満そうに答える。
「できるのであればそうしている。だがあの二人はなぜかかからないのだ」
「なぜだ?」
「あの二人は術勇者は自身に……白花は剣の勇者が隷属化できないように防御魔法をかけているらしいのだ。だから精神を汚染できない」
「ふむ……で、その二人以外の実力はどうなのだ?」
「剣の勇者や術の勇者よりは劣りますが、騎士をもうしのげるぐらいになったが……まだ魔族の奴らとの戦争には使えないと考えて良いだろう」
「まだ戦えんか……」
「でも天川と言う奴はかなりの実力らしい。現在騎士団長と個人で練習しているらしいしの」
宰相の言葉にまた部屋の中にいた男が話し始める。
「ならもうその男は戦争に選抜部隊に参加させてみても良いのではないか?その方が実戦を経験できるし、人殺しの経験もできる」
「だが下手に参加させると洗脳が解けるのでは?」
「なら迷宮にでも行かせて実戦を経験させるのは良いではないか?」
「それも無茶をすれば洗脳が解けてしまうだろう?今はやはり訓練で実力をつけてからの方がいいのでは?」
暗闇の中話し合いは進んでいく。
その暗闇の部屋の中には自分の欲望を満たすためだけにドロドロした黒い感情が掃き溜めのようにたまっている。
そんな部屋の中、ひときは目立つ石像があった。
何かの神を祀っているのだろうか?
黒い感情が渦巻く部屋の中で一際目立つその石像はどんな感情よりも禍々しい雰囲気を纏っている。
その石像を見て宰相は笑う。
「魔神様……見ていてください。あなたの悲願私たちが必ず叶えてみせましょう」
『全ては魔神様のために!!』




