魔族領に向かって2
あれから少したち、シュメイ山脈に向かって歩いている俺とバンピィだったが……
「なーあー、ナオヤ…血飲ませて!」
「だめだって。戦闘で消費した血の回復のために飲ませただけであって基本的にはのませんからな」
「えーケチ!」
「はいはい、ケチで結構」
先ほどのゴブリンの戦闘で味をしめたバンピィがさっきから血を飲ませろとうるさいのだ。
「あのなあ……確かにお前らヴァンパイヤは血が食事と言われているけど普通の食事も食えるだろうが」
そうなのだ。別にヴァンパイヤは血以外でも食事はできる。
あまり知られていないが普通の食事でも満足はできるらしい、でも普通の食事より血の方が圧倒的に量とかの問題で効率がいいらしいから食事を普段しないだけで。
実際にバンピィは俺とあった時にはたくさんのお菓子を食っていた。
「そうだけどナオヤの血がいいのだ!」
「あれはもともとお前の婆さんのルー用に用意したものだからあんまりあげられないんだよ。たぶん会ったらよこせと言われるからあんまり減らしたくないんだよ」
「欲しいのだー!よこせ!!」
そう言ってバンピィは翼を出して飛びながら俺の周りぐるぐると回り始める。
「はあ……」
さすがはルーの孫ってとこか。
一度決めたらそれが達成できるまでずっと駄々をこねるとこまでそっくりだよ。
俺は歩きながら血を飲ませたことを後悔したのだった。
バンピィとシュメイ山脈を目指してはや3日、ようやく山脈にある洞窟に到着した。なお血はあれから戦闘した時だけ飲ませることにした。
「さてバンピィ、これからカイエまでの最短距離の洞窟に入るんだが一つ注意がある」
「なんなのだ?」
「この洞窟はちょっとした迷宮になっていて罠とかがある。だから勝手に俺の前に出ない事。どんどん進まない事」
「わかったのだ!」
こいつほんとにわかってるのか?
案の定わかったと言いながらすぐに洞窟の中に入ろうとするバンピィ。
俺はバンピィの服の首のあたりを持って持ち上げながら俺の後ろに持っていき、そのまま地面に着地させた後俺は先行する。
ほんと……前途多難だな。
♢♢♢
「なあバンピィ……何か俺に言うことは?」
「えっと……ごめんなさい」
俺は洞窟内でバンピィを説教していた。
……びしょ濡れになって。
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今回は少し切り替えの場所になるのでかなり短いです。
これから第二章開幕という感じでしょうか…高校のこととか風邪をひいたりして更新ペースが落ちていますが温かい目で見守ってくれると幸いです。