天使と悪魔 1
めあち今とっても大ピンチ。
「あわわわっ!!」
森の奥にひっそりとあるつり橋を渡ってる途中。どこからどう見てもボロボロで崩れかかってるつり橋。好奇心に負けて足を踏み出したの。
渡り切るまであとちょっとのところで急にみしみしと音を立てて崩れ始めたの。
「っ!!!」
めあちが渡り始めた側からすごい早さで崩れ落ちて行ってる。早く渡り切らなきゃ落ちちゃう!
「…………っ」
めあちの全力疾走も虚しくつり橋の崩壊に追い付かれてしまった。どうやらめあちもここまでみたい。
「…………?」
そうだった。めあち飛べるから落ちるとかないんだった。すっごく怖かった。もう好奇心で無茶なことはしないでおこう。
さて、めあちがなんでこんな山奥に居るのかと言うと、久しぶりに天界からお友だちが会いに来てくれるから。人前に堂々と降り立つのはパニックを引き起こすからダメらしい。めあちそんなの気にしたことないや。
「メアちゃん! 久しぶり!」
「っ!」
真っ黒い翼でふわふわと浮いてる! 悪魔のお友だちだ!
「元気してた? 地上でも上手くやってる?」
「うんっ! 元気いっぱいだよ!」
めあちも人じゃなくて悪魔とか天使とか神様に近い感じのお友だちなら声も出せる。久しぶりに誰かとお話するの!
「そっちも元気だった? 最近は地獄に居るんだよね?」
「そうだよ! 良いところだよ!」
地獄は地上に生まれ落ちた生命が逝きつく場所。正確に言えば度を超えた罪人が堕とされる場所。
罪人にはすごく厳しい場所だけど、そうじゃない人たちからすればむしろ過ごしやすいくらい。
「最近は人類の発展もすごくてね! なんか地獄も発展しちゃって、ハワイみたいになってる」
「すごいね! 住みやすそう!」
「故郷には負けるけどね!」
この悪魔のお友だちは人間時代のめあちのお友だちだったの。すっごく良い人だった。めあちとは違う考え方だから悪魔になっちゃった。
「メアちゃんも悪魔になれば良かったのに」
「レオちゃんが天使になれば良いんだよ!」
めあちは人を笑顔にしたい。涙なんて吹き飛ばすくらいの笑顔で人を幸せにしたい。レオちゃんも人を笑顔にしたいって言うのと幸せにしてあげたいって気持ちは一緒。ただ、幸せの考え方が違っただけなの。
「人間だった頃のメアちゃんなら悪魔になった方が良かったのにね。ほとんど覚えて無いけど」
「めあちも覚えてない」
人は常に不幸でなければならない。幸せを幸せと感じられるために。それがレオちゃんの考え方。当たり前のように存在してるモノや概念を人間は見ようとしない。無くちゃ困るはずなのに。当たり前に存在してる救いに感謝をしない。だからレオちゃんは悪魔になった。限りなく天使に近い悪魔。普通の天使より遥かに優しい悪魔。
「悪魔のお仕事大変そうだよね。めあち絶対出来ないもん」
「大変だよ。本当はやりたくないけど、人をより幸せにするために必要なことだからね!」
めあちには分かる。笑ってるけど無理してる笑い方。作り笑いだ。
「今日は仮想の世界にご案内するよ! すっごく楽しいの!」
「めあちがお仕事してるところ? あれってゴーグルとかなきゃダメなんじゃないの?」
「ゴーグル?」
「あ、そっか。私たちにはそんなの関係ないよね」
人差し指で大きな楕円を空中に描く。描いた大きな楕円は仮想現実の世界に繋がってる。
「行こ! 今日はいっぱい遊ぶよ!」
「うん!」




