絶っっっっ対に分かってねぇ!
「マジで!? 最初に言えよ、そんなヤバい事! ていうか80前後のヤツ結構いるけど」
「そうそう、だから逆ハー狙えるって言ったじゃん」
「狙わねーよ! 怖えーよ! ふざけんなっ」
よかった。この3ヶ月で徐々に女らしさも見え隠れするようになったゆずに、実はちょっと不安を感じていたが、どうやらまだ心まで乙女にはなっていないらしい。
「それならやっぱり対策が必要だな」
「ど、どうすればいい?」
ゆずの華奢な喉からゴクリ、と音がする。かつてゆずがこれ程真剣に俺の話を聞いてくれた事があっただろうか……いや、ない。(即答)
さすがに相当重要な問題だと分かってもらえたのは僥倖だ。
「とりあえず、ゆずの場合は女性陣の好感度を上げていけば大丈夫だ。あとは俺がなんとかする」
「激ムズじゃねーか! どんだけ差があると思ってるんだ」
そんなに絶望に満ちた顔しなくても。
「大丈夫だって。とりあえず暫くは、採取に行く時に女性陣連れて行けばいい。それに、好感度をあげるだけなら俺には秘策がある」
「秘策!?」
くっ…ゆずのくせに可愛い。目がキラキラ輝いてる! さっき一旦絶望したせいで涙目なのが悪いんじゃないか? 破壊力が凄まじいんだが。
「……無駄な上目遣い、ヤメて下さい……」
「意味が分からん! サッサと秘策を教えてくれ! もったいぶってる場合か!」
「ぐあっ!」
ちょ、何もジャンプしてまでチョップかまさなくても! おかげで目は覚めたけどさ。
「さっき言ったし。ミリーとニナさんに届け物しろって言っただろ? あれが秘策だ」
ポカンとしているゆずに、好感度があがる条件や依頼品の品質ボーナスの話などを一通り済ませてはみたものの、ゲームをしたことすらないゆずには、ちょっとばかり難し過ぎたらしい。
「はあ」
「へえ」
「なるほど?」
と、分かってない感がほとばしる相槌をかましたあげく、最後には「とりあえず、陸が言う通りに届け物すりゃいいって事だよな?」と言うなり依頼品を持って飛び出して行ってしまった。
絶っっっっ対に分かってねぇ!
だがしかし、あの分かってない感から見るに、あいつに理解させるより、俺がかわりにあいつの分まで好感度を管理する方が多分100倍早い。
自分の分と二人分か……ぶっちゃけ面倒臭いが仕方ないか。
好感度も50を越えるとイベントも増えてくる。特にゆずの分は知らない所で意識すらせずにイベントを済ませちまう可能性が高い。こまめにチェックして補正してやるしかないだろう。
しかし、今日は一瞬だけヤバかったな。あろう事かゆずに一瞬だけ……ホント一瞬だけ、ときめいてしまった。
俺の天使キャッシュちゃんに全力で謝りたい。
その日俺は、多分キャッシュちゃんが泊まっているであろう宿屋に向かって、折り目正しく土下座した。




