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Vivid World〜彩られた世界〜  作者: 竜音(ノンイン)
双子の魔導師・ルリ&リル編
9/30

2.ウィザード・グレイヴ



──アステア



「……で、お前らは俺に何をさせたいんだ」



 話し合うルリとリルにユウヤは尋ねる。

 ユウヤに尋ねられ2人は会話をやめ、ユウヤを見た。



「僕たちと一緒にあるダンジョンに入ってほしい……」

「ダンジョン?」

「うん♪ 〝魔導師〟だけで行くには少し辛いの」



 ユウヤの問いにリルはジッと眼を見て答える。

 リルの言葉にユウヤは首をかしげ、ルリは頷いた。

 そもそも〝魔導師〟だけの組み合わせ自体が珍しいのだが、先のリルの強さを考えればおかしくないのかもしれない。



「ダンジョンの名前は『ウィザード・グレイヴ』……。別名〝魔導師〟殺しの迷宮だ」

「……なるほど、そう言うことか」



 ウィザード・グレイヴ、このダンジョンはアステアから少し離れた位置に存在しており、〝魔導師〟殺しとして名が知れ渡っている。

 そして、このダンジョンの厄介なところは、〝魔導師〟がいないとダンジョン自体が出現しないこと。

 つまり、このダンジョンは〝魔導師〟にとって鬼門でありながら〝魔導師〟がいなければ入ることができないと言う仕様なのだ。



「だが、なぜ俺なんだ? はっきり言って俺はお前たちを知らない」

「あなたが知らなくても私たちは知ってるよ。ねぇ、『魔法の妖精姫(ウィズィターニア)』って知ってるよね?」

「あの人が言っていた……」



 ユウヤが疑問を口にするとルリはコテンッと首を傾けて答え、尋ねる。

 〝魔法の妖精姫(ウィズィターニア)〟、〝Vivid World〟で〝魔導師〟を選んだ者が目標とする冒険者の1人であり、〝魔法〟を自在に操ることからこの通り名が付いた冒険者だ。



       ◇ ◆ ◇



【〝刻死の劫爪〟ですか?】

【うん、その通り名ぐらいなら聞いたことがあるよね?】

【はい、女の人の守護者みたいな冒険者ですよね】

【そう。彼が僕たちと一緒にウィザード・グレイヴをクリアした冒険者だよ。彼なら君たちを任せられる】



       ◇ ◆ ◇



 リルの話を聞き、ユウヤは額に手を当てる。

 その表情には僅かに疲れが浮かんでいた。



「アイツは……。まぁ、いい。アイツが推すなら実力に問題はない、か。LVは?」

「「138。職業LVは124」」



 ユウヤの問いに2人は同時に答えた。

 2人のLVを聞いてユウヤは眼を瞑り、暫し思案顔を浮かべ、頷く。

 ユウヤの基準では、ウィザード・グレイヴをクリアするのに、LVが最低135、職業LVが最低120は必要なのだ。



「あ、それとこれは報酬の前払いだって♪」

「……どうせまた職業の装備を持ち歩いてないんだろう、と言う言葉も言われている」



 言いながらルリは手甲具足を取り出し、ユウヤに手渡す。

 伝えられた言葉にユウヤは僅かに渋い顔をした。

 しかし、それも一瞬の事ですぐさま視線は手甲具足に向かう。

 そして、ユウヤは短く息を吐き、手甲具足を装備していった。

 装備された手甲具足は、一言で言うならば異様(●●)だった。

 まず、両手の甲と両膝に存在している瞳(●●●●●●●)

 その瞳はギョロギョロと周囲をせわしなく見回しているのだ。

 そして、通常であれば鎧の様に腕や足を包んでいる箇所が文字の書かれた(●●●●●●●)包帯によって覆われている。



「『デモニック・アーマメント』……。しかも〝付与能力アビリティ〟付きか」

「なんと言うか……かなり禍々しい武器だな」

「ああ、〝付与能力〟もそれに見合ったものだ」

「それじゃあ、ウィザード・グレイヴに向かおう♪」



 デモニック・アーマメントを見てリルは呟く。

 その呟きにユウヤは性能を確認しながら頷いた。

 そしてルリの掛け声とともに3人は歩き始める。

 向かう先はウィザード・グレイヴ、別名〝魔導師〟殺しの迷宮。




   ‡   †   ‡



────ウィザード・グレイヴ・入り口



「さて、到着したわけだが聞きたいことはあるか?」

「……内部にいるモンスターの特徴と討伐方法を」

「ふむ……」



 リルの言葉にユウヤは顎に手をあて、暫し考え込む。



「……そうだな。モンスターの特徴だけは教えよう」

「なんで討伐方法はダメなの?」

「理由は2つ。まず、ここに出てくるモンスターの姿形が似通い過ぎていること。次に、どのモンスターも厄介な能力を持っていること。だから特徴は教えても、討伐方法は実際に会うまでは教えない」



 ユウヤの言葉にルリは首をかしげる。

 しかし、ユウヤの説明を聞き、渋々ながらも頷いた。



「それで、……特徴は」

「特徴が、魔法を反射、もしくは吸収する。魔力を減少、もしくは吸収する。物理に対して弱い敵もいるが、耐性を持っているものもいる。大まかに分けてこれくらいだ」

「なんで〝魔導師〟殺しの迷宮なんて呼ばれているのか改めて分かった気がするよ」



 急かすリルをユウヤは手を上げることによって抑え、説明する。

 モンスターの特徴を聞き、ルリはゆっくりとウィザード・グレイヴへと視線を向けた。



「さて、ここでうだうだしていても仕方がないな。さっさと行くぞ」

「……ああ」

「うん♪」



 そして、ユウヤ達はウィザード・グレイヴへと足を踏み入れた。










・ウィザード・グレイヴ

アステアから少し離れた位置に存在するダンジョン。

別名〝魔導師〟殺し。

MPを吸収するモンスターや〝魔法〟を反射するモンスターが多く出現するためにその呼び名が付いた。

〝魔導師〟がいないとダンジョン自体が出現しない。



魔法の妖精姫(ウィズィターニア)

〝Vivid World〟で〝魔導師〟を選んだ者が目標とする冒険者の1人。

ユウヤと組んでウィザード・グレイヴをクリアした。

〝魔法〟を自在に操ることからこの通り名が付いた。



・デモニック・アーマメント

両手の甲と両膝に瞳が存在しており、ギョロギョロと周囲を忙しなく見回している。

通常であれば鎧の様に腕や足を包んでいる箇所が文字の書かれた包帯によって覆われている。

付与能力名Ⅰ・〝ハーディフ・クロッセル〟

付与能力名Ⅱ・〝ヘルズ・エスコート〟







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