11.共闘開始
「クロセル!」
眼前のモンスターの中へゆっくりと沈んでいくクロセルの姿にユウヤは叫ぶ。
モンスターの姿は、猿の前足に山羊の後ろ足、背には巨大な蝙蝠の翼と触手があり、尾の形は猫。
そして、モンスターの頭は逆さまにした苦悶の表情の人間の顔だった。
あまりにも醜悪な見た目のソレに、ユウヤは言葉を失うも、すぐさまモンスターを睨み付け駆け寄っていく。
「くぁkgるめ68#にし@dp夜腐ああぁァァあaaaaa!」
聞き取ることのできない鳴き声を発しながらモンスターは前足を地面に叩きつける。
次の瞬間、前足の叩きつけられた場所から衝撃波が巻き起こり、同時に地面が隆起して石の槍が無数に突き立った。
それをユウヤは思いきり地面を蹴って跳躍し、鉱山の天井に着地することにより回避する。
しかし、ユウヤがモンスターへと飛びかかろうとする前にモンスターの触手が群れを成してユウヤへと雪崩れ込んだ。
「がぁっ……?!」
「みゃak柘はq根ぇぇエエエ……」
迫り来る触手に四肢を絡めとられ、ユウヤは身体を拘束される。
そんなユウヤにモンスターは首をかしげながら鳴き声を発した。
そして、ユウヤの四肢をゆっくりと別々の方向へと引っ張っていく。
──ゴギンッ……!
「あっっがぁぁぁああああ?!」
左腕を拘束していた触手が離れ、ユウヤの左腕がダランと揺れる。
引っ張られ続けた結果、ユウヤの左肩が外れたらしい。
実際の肉体ではないとはいえ相当の痛みが走るはずだ。
いくらダメージを受ける前提の戦い方を主とするユウヤでも辛かったらしい。
「く……そ……がぁ……」
「ひゅwg81めしjp?」
モンスターを憎々しげに睨み付けながらユウヤは言葉を発する。
そんなユウヤの姿にモンスターは理解ができないと言った風に見返した。
そして、再び触手に力が入り始める。
装備の効果によってユウヤの体力が完全に無くなることはないだろう。
しかし、それでは決着がつくことはない。
と、次の瞬間……
一瞬の閃きと共に触手が斬り裂かれ、ユウヤの身体は地面へと落下していった。
「おいおい……。俺に勝ったのは偶然か?」
「〝紅の染血王子〟……」
日本刀を肩に当てながら先程まで決闘をしていた冒険者は言う。
そんな冒険者を見ながらユウヤは左肩を押さえつつ立ち上がる。
「あすxgにま64我らあ!」
「『絶天虚月』!」
咆哮をあげながらモンスターは2人へと飛びかかる。
それに対して冒険者は円を描くように日本刀を振るい、モンスターの前足を斬り裂いた。
前足を斬り裂かれたことによってモンスターは怯み、素早く後方へと飛び退く。
「アイテム。塵鎧剣×5。〝迅龍爪滅牙〟!」
「何をする気だ……?」
──ザザザザンッ……
いつの間にか肩の治っていたユウヤはモンスターの姿を視界に納めながらウィンドウを操作して5本の大剣を取り出した。
さらに、黒色の湯気のようなものが立ち上がっていき、巨大な龍の腕に変化する。
そして、ユウヤは地面に突き立っている大剣を引き抜き、身体を反らした。
そんなユウヤの姿を冒険者は不思議そうに見る。
「ぶち……抜け!」
そう叫び、ユウヤは大剣を陸上競技の投げ槍のように投擲する。
龍の腕によって強化された腕力により、大剣は凄まじい勢いでモンスターへと飛んでいく。
さらにユウヤは、飛んでいった大剣の行き先を確認しない内に次の大剣を放っていた。
そして、4本目の大剣を放ち終えた後、ユウヤは最後に地面に突き立っていた大剣を引き抜き、自身の肩に乗せた。
「あやjiらをpe@做はとriIIイィイいい?!」
「容赦のない……」
大剣によって四肢を貫かれて地面に磔にされたモンスターを見ながら冒険者は呟く。
しかし、そう呟いている冒険者も先程からモンスターの背中から攻撃してくる触手を斬り裂いていっているので五十歩百歩だが。
さらにユウヤは、大剣を肩に乗せたまま走りだし、モンスターの前足を駆け上がった。
そして、モンスターの背中へと着地すると、素早く大剣を振るって周囲の触手を斬り裂き、龍の腕となった右腕を渾身の力で打ち込んだ。
龍の腕はモンスターの背中へと吸い込まれるように潜り込み、深く穿つ。
「さっさと仲間を…………返しやがれぇぇぇええええ!」
そして、叫びながらユウヤが右腕を引き抜くと、その腕にはクロセルの腕が握られており、続いてクロセルの身体がモンスターの背中から現れた。
それと同時にモンスターを地面へと磔にしていた大剣が抜けてしまったらしく、モンスターの身体が大きく揺れる。
ユウヤは素早くクロセルを抱き抱えるとモンスターの背中から飛び降りた。
「その子は……助けられたのか?」
「ああ、間に合って良かった」
地面に着地し、すぐにモンスターから距離をとったユウヤに冒険者は問いかける。
それに対してユウヤは、ホッと息を吐きながら答えた。
クロセルの身体に目立った外傷はなく、バッドステータスに陥っている様子もない。
その事にユウヤは安心したようだ。
「いとkdtタか68玉8等なまOOォォぉぉオオオ!」
不意にモンスターが聞き取ることのできない鳴き声を発した。
見ればモンスターの身体に変化が起こっている。
ゴギンッと言う音とともに人間の頭が外れて空中に浮かび、前足の数は倍の4本に、そして背中の触手の先端は鋭い槍のような形状になっていた。
「うわ…………」
「第2形態……ってやつか。アイテム。『堅固なる円環の花盾』」
モンスターの姿の変化に冒険者は唖然とし、ユウヤは呆れた表情を浮かべる。
その後、ユウヤは肩に乗せていた大剣を壁に突き刺し、強く固定した。
そしてその下にクロセルを寝かせ、ウィンドウを操作していった。
ユウヤがウィンドウを操作して呼び出したのは簡単に言えば、盾。
しかし、普通の盾とは違い、クロセルを中心として円を描くようにいくつもの盾が回転している。
どうやら呼び出したときにクロセルを中心としてセットしていたらしい。
「さて……と。右腕装備、『神喰鬼之腕』。左腕装備、『神至竜之腕』」
「なら俺も。装備変更、『緋々朱射』から『花姫』」
クロセルの周囲を盾が回転しているのを確認し、ユウヤは立ち上がった。
そしてユウヤの腕がそれぞれ別の色に包まれる。
それは、一言で言うならば黒と白。
右腕を覆うソレは全体的に黒く、所々で赤いラインが明滅しており、まるで生きているかのようだ。
対して左腕を覆うソレは全体的に白く、竜の鱗の様なものが所々に付いており、うっすらと光を放っている。
そんなユウヤの姿に冒険者も日本刀を別の日本刀へと持ち変えた。
〝花姫〟と呼ばれたその日本刀は花弁のような鍔をしており、純白の刀身をしている。
まさに姫と呼ばれるに値する美しさだろう。
「知ってるみたいだが一応言っておく。俺はユウヤ、通り名は〝刻死の劫爪〟だ」
「なら俺も。俺はイヅル、通り名は〝紅の染血王子〟」
そう言ってユウヤと冒険者──イヅルは武器を軽く打ち合わせ、モンスターを見据えた。
・絶天虚月
〝剣士〟の〝武技〟。
円を描くように素早く刀剣を振るい相手を斬り裂く技。
・堅固なる円環の花盾装備者を中心として無数の盾が円を描くように回転している。
攻撃する際に邪魔なため、ユウヤはあまり使わない。
付与能力名・オートガード
・オートガード
〝堅固なる円環の花盾〟の〝付与能力〟。
装備者に対する攻撃を自動で防ぐ。
・神喰鬼之腕
職業〝格闘士〟の武器。
全体的に黒く、所々で赤いラインが明滅しており、まるで生きているかのように見える。
右腕にのみ装備できる。
付与能力名・鬼の一撃
・鬼の一撃
〝神喰鬼之腕〟の〝付与能力〟。
装備者は〝神喰鬼燐〟を使用可能になる。
・神至竜之腕
職業〝格闘士〟の武器。
全体的に白く、竜の鱗の様なものが所々に付いており、うっすらと光を放っている。
左腕にのみ装備できる。
付与能力名・竜の一撃
・竜の一撃
〝神至竜之腕〟の〝付与能力〟。
装備者は〝竜天迦月〟を使用可能になる。
・緋々朱射
常に刀身が赤熱する日本刀。
付与能力名・炎熱溶解
・炎熱溶解
〝緋々朱射〟の〝付与能力〟。
切ったものに一定時間炎属性小ダメージを与える。
・花姫
花弁のような鍔を持つ純白の日本刀。
付与能力名Ⅰ・花詠
付与能力名Ⅱ・狂い咲き
・花詠
〝花姫〟の〝付与能力〟。
刀に魔法を付与することができる。
・狂い咲き
〝花姫〟の〝付与能力〟。
付与した魔法が一定確率で暴走し自らにダメージ。




