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Vivid World〜彩られた世界〜  作者: 竜音(ノンイン)
収集家の剣士・イヅル編
22/30

3.出発



「ここが装飾品の鍛冶屋だ。少し話し込むかもしれないから出歩いていていいぞ」

「分かったのじゃ」



 目の前の建物を指さしユウヤはクロセルに言う。

 それに対してクロセルは頷いた。



「勝手にいなくなるのは無しじゃからな!」

「分かっているさ」



 クロセルの言葉にユウヤは苦笑を浮かべながら建物の中に入っていった。

 その姿を少しだけ寂しそうに見て、クロセルは再び歩き始めた。



「それにしても……。本当に鍛冶屋ばかりじゃのう……」



 周りを見回し、聞こえてくる音にクロセルは呟く。

 周囲には冒険者プレイヤー町民(NPC)の姿があり、すれ違う人が皆振り返るのだがクロセルは全く気にしていない。



「ふむ……。色々と見て回ってみるとしようかの」



 歩きながら涼風すずかころもの羽根を動かし頷いた。

 そんなクロセルの姿を舐め回すように見る視線が3つ。

 視線の主たちはそれぞれ別々にクロセルの後を追っていった。



──────────



────────



──────



────



「ふむ、これでこの町は粗方見終わったかの?」



 町外れの景色を眺めながらクロセルは呟く。

 いつの間にやらユウヤのいる鍛冶屋から離れてしまっていた。



「こんにちは、お嬢さん。こんなところで1人かな?」

「うん?」



 不意にかかった声にクロセルは首をかしげながら顔を向ける。

 するとそこには槍を背負った青年が立っていた。

 いつの間に現れたのか、クロセルはそんなことを思う。



「なんのようじゃ?」

「いえいえ。1人だけで歩いていましたので」



 クロセルの問いに青年は微笑を浮かべながら答える。

 そんな青年をクロセルはいぶかし気に見た。



「……まぁ、よい」

「ふふふ、もし良ければパーティーを組みません?」

「拙と? ふむ、遠慮するのじゃ。説は既に組んでおるのでな」



 青年の言葉にクロセルはそっけなく答え、歩き出す。

 そんなクロセルに青年の表情が変化していった。



「……大人しく組んでればよかったものを。やれ!」



 次の瞬間、クロセルを囲うように2人の冒険者が現れた。

 しかしクロセルに慌てた様子は見られない。



「やはり、か。お主らさっきから拙の後をつけていたであろう? 気持ちの悪い視線じゃったわ」

「気づいていたのか。だがもう遅い。俺たちが満足するまで玩具になってもらう!」

「泣いたって許さねえぜ!」

「ゲヘゲヘ、幼女幼女!」



 3人目の冒険者の言葉にクロセルはややフリーズした。

 しかしそれも当然だろう。

 3人目の冒険者の格好は肌色の全身タイツといった完全におかしい装備なのだから。



「…………へ、変態じゃーーーーーーっっ!!」



 少しの間をおき、ようやく頭が追い付いたのか3人目を指差しながらクロセルは叫ぶ。

 クロセルに叫ばれた3人目は何故か嬉しそうに身体を動かした。

 どうみても完全な変質者である。



「そ、そんなに褒めるなよ。興奮して出ちゃうじゃないか」

「誰も褒めとりゃせぬわ!」



 冒険者の言葉にクロセルは叫び返す。

 そんなクロセルの隙をついて他の2人が動いた。



「くらえ!」

「かわせないだろ!」



 1人は槍を構えて突撃、もう1人は鞭を振るって退路を絶つ。

 2人のコンビネーションにクロセルは完全に挟まれてしまった。

 が、クロセルに焦りの色はなく。

 むしろ余裕さえ伺えた。



「この程度で勝てると思うなぞ、片腹痛いわ!」



──シュインッ……


 次の瞬間、クロセルは振るわれている鞭の間をすり抜けていた。

 避けられるとは思っていなかったのか3人は唖然としている。



「やはり、ユウヤとの交わり(戦闘)こそが心踊るのう。お主らでは役不足じゃ、さっさと逝くがよい」



 どこか艶やかに頬を染め、クロセルは思いを馳せる。

 直後、クロセルの姿は掻き消え、3人の冒険者は吹き飛んでいた。



「そろそろユウヤも終わったじゃろ。待っとれよユウヤ〜♪」



 吹き飛んでいった冒険者などいなかったかの様にクロセルはスキップをしながら進んでいく。

 どうやらクロセルにとってユウヤ以外は揃って興味の対象外のようだ。



──────────



────────



──────



────



「戻ってきたか。じゃあ行くぞ」

「うむ? どこに向かうのじゃ?」



 合流したユウヤの言葉にクロセルは首をかしげる。

 確かに行き先も何も言われずにいるのは少々気にかかる。

 そんなクロセルの問いにユウヤはウッカリといった表情を浮かべた。



「ああ、悪い。今から指輪の素材を集めに鉱山に向かうんだ」

「なるほど。面白そうじゃの」



 そう言ってユウヤは鉱山を指差した。

 どこに向かうのかを知りクロセルはニヤリと楽しそうに笑みを浮かべる。

 その表情はどこかネズミを前にした猫をイメージさせた。



「ちなみに鉱山だから鉱物系のモンスターが多いぞ。物理攻撃は効きにくいから気を付けろよ」

「うむ、分かったのじゃ」



 ユウヤの言葉にクロセルは大きく頷いた。

 事実、鉱山に出現するモンスターは揃って物理攻撃に強い。

 例えば、鉱山に出現するモンスターの中で一番弱い『アイアンナイト』LV142や『アイアンガンマン』LV142ですら物理攻撃で倒すのは至難なのだ。

 しかしいくつかのモンスターは魔法攻撃に弱く、弱点属性も持っている。

 他にも弱点になる部位を身体のどこかに持っているモンスターもいるので、冷静さを欠かなければ苦労はしないはずだ。



「いざ、行かん。鉱山へ!」

「張り切りすぎるなよ」



 右手を振り上げながらクロセルは歩き出す。

 そんなクロセルの姿にユウヤは苦笑を浮かべつつ、クロセルの後を追った。












・アイアンナイト

モンスターの1匹。

鉄でできた人形で剣と盾を持っており、移動スピードはやや遅い。

魔法攻撃が弱点。

攻撃パターンは剣による攻撃と、盾を使った殴り。

鉱山に出現するモンスターの中では一番弱い。

物理攻撃に対して耐性を持っている。



・アイアンガンマン

モンスターの1匹。

鉄でできた人形で拳銃を2丁持っており、移動スピードはやや遅い。

魔法攻撃が弱点。

攻撃パターンは拳銃による射撃。

鉱山に出現するモンスターの中では一番弱い。

物理攻撃に対して耐性を持っている。







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