表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Vivid World〜彩られた世界〜  作者: 竜音(ノンイン)
収集家の剣士・イヅル編
21/30

2.ダマスカリア



《Stand_By──》

《The_Player_Name:■■■■──》

《The_Distinction_Of_Sex:■■■──》

《An_Occupation:■■■■──》

《A_Decision_An_Individual_Information──》

《──Starting》



──────────



────────



──────



────



────???



「指輪が欲しいのじゃ!」

「藪から棒になんだ?」



 町の十字路の真ん中で少女──クロセルは少年──ユウヤに言った。

 クロセルの言葉にユウヤは不思議そうにクロセルを見返す。

 そんなユウヤの視線にクロセルはフンスと鼻を鳴らした。



せつは忘れておらぬぞ。そちが拙を置いて目の前でいなくなったことを!」

「だから悪かったって……」

「謝るだけでは足りぬのじゃ!」



 ビシイッとユウヤを指差しクロセルは言う。

 その時のことを思い出したのか目には涙が浮かび、声が震えている。

 ちなみにユウヤがいなくなったのはログアウトしたためであり不可抗力なのだが、クロセルにとってはすさまじい恐怖だったのだ。

 その後、ログインしたユウヤが見たのは幽鬼のようにフラフラと歩くクロセルだったので、ユウヤの中にはとてつもない罪悪感が生まれたのは言うまでもない。



「それに……そちはこれからもいきなりいなくなってしまうのであろう? そちとの繋がりを持っていたいのじゃ……」

「う……。……分かった」



 先程までの怒るような口調から一転して、悲しげに今にも泣き出しそうな口調でクロセルはユウヤに乞う。

 罪悪感を刺激されユウヤは頷いた。



「本当かの?!」

「はぁ……。で、指輪のデザインとかに希望はあるのか?」

「いや、拙はそちの決めてくれたものであれば異論はない。そちが拙に似合うと思ったデザインにして欲しいのじゃ」

「難しいな……。とりあえずは鍛冶の町『ダマスカリア』に行くぞ」



 そう言ってユウヤは町にある『転移ポータル』の元に向かって歩き出す。

 そんなユウヤの後をクロセルは嬉しそうに尻尾を揺らしながらついていった。



   ‡   †   ‡



────ダマスカリア



──カーンッカーンッ!


 そこかしこから金属を叩く音が響き渡り、何となく蒸し暑くも感じる町。

 それがここ、ダマスカリアだ。

 ダマスカリアは鍛冶の町と呼ばれているだけあって職人が多く、町の近くには巨大な鉱山がある。

 この鉱山は冒険者プレイヤーであれば誰でも入ることができるダンジョンで、中では様々な種類の鉱石が手に入るのだ。

 冒険者たちはこの鉱山で必要な鉱石を集め、ダマスカリアの職人に依頼して武器や防具、装飾品を作ってもらっている。

 不意に転移ポータルが光を発し、ユウヤとクロセルの姿が現れた。



「ここがダマスカリアじゃな? ……あ、暑いのじゃ〜」

「ば……! 脱ごうとするな!」



 町の暑さが辛いのかクロセルがいきなり服を脱ごうとしたので、ユウヤは慌ててクロセルの動きを抑える。

 はたからみれば猥褻行為に見えなくもないだろう。



「暑いならこれを着とけ」

「これはなんじゃ?」



 呆れたようにしながらユウヤはクロセルに水色の塊を手渡した。

 水色の塊を受け取り、クロセルは首をかしげる。



「『涼風すずかころも』だ。炎系統のダメージを軽減する効果がある。手に取りながらイメージすればイメージした服装に変わるんだ」

「ほうほう、中々に便利じゃな。良いのか?」

「ああ、属性耐性ならもうあるし、ずっと使わずに持っていたからな」

「分かったのじゃ」



 ユウヤの言葉にクロセルは頷き、さっそく涼風の衣の形状を変えていく。

 水色の塊はビクンと震えたかと思うと、次の瞬間にはクロセルの身体を包み込んだ。

 やがて、クロセルの身体を包み込んだ水が四方に弾ける。

 水の中から現れたクロセルは水色のワンピースで背中に水でできた羽根が飾られた格好だった。



「おお、さっきまでとは段違いに涼しいのじゃ!」

「んじゃ、鍛冶屋に行くぞ」

「分かったのじゃ!」



 クロセルが満足そうなことを確認し、ユウヤは歩き出した。

 その後をクロセルは水でできた羽根を動かしながらついていく。

 それでも周りの音や建物が気になるのか忙しない。

 そんなクロセルの様子にユウヤは苦笑し、歩調を少しゆっくりにした。



「そんなに珍しいのか?」

「うむ! 拙はウィザード・グレイヴから出たことがなくての、見るもの聞くものほとんどが新鮮なのじゃ」

「箱入りだったってわけだな」



 ユウヤの問いかけにクロセルは大きく頷いた。

 不意にユウヤの前を1人の冒険者が横切る。



「っと、すまない。余所見をしていた」

「いや、こちらこそすまなかった。では」



 ぶつかりそうになったことをユウヤが謝ると、その冒険者もユウヤに向かって謝った。

 冒険者の服装は白系統の色が主となっており、背には1本の日本刀が背負われている。

 そして、冒険者は町の外の巨大な鉱山に向かって歩いていった。



「どこかで……」

「どうしたのじゃ?」

「いや、たぶん空似だろう。気にしなくていいさ」



 歩いていった冒険者の後ろ姿を見ながらユウヤが呟くと、クロセルが不思議そうに尋ねる。

 その問いにユウヤは首を振りながら答え、再び歩き始めた。



「〝刻死の劫爪〟か……。確かレアなものをいっぱい持ってるって噂だったなぁ……」



 そんなことを呟きながら白色の冒険者は鉱山へと足を進める。



「次にあったら挑んでみようかな」



 そう呟く白色の冒険者の口元はニヤッと上がっていた。














・ダマスカリア

鍛冶の町。

依頼をすればオリジナルで武器、防具、装飾品を作ってもらうことができる。

ただし、素材と費用がかかるため中位(LV150)以上の冒険者向け。



・転移ポータル

町と町を繋ぐ転移用の装置。

触れながら行きたい町の名前を言うことによって転移する。

ただし一度行ったことのある町でないと行けない。



涼風すずかころも

身体、腰装備の防具。

水色の塊で手に取りながらイメージすればイメージした服装に変わる。

炎系統のダメージを軽減する効果がある。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ