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捨てられる予定の皇妃ですが、皇帝が前世の推しだと気づいたのでこの状況を楽しみます! 関連話  作者: 池中織奈


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「このころのヴィー様はまだ冷たさが残っていて、それもまたかっこよかったわ」

「二人の皇子がやってくる」の後の出来事

「おかーたま、何しているの?」



 その日、先代皇帝夫妻の末っ子であるメロナールは母親へと問いかけた。



 マドロールは、ベッドの上で何か本のようなものをめくっていた。その表情が何処かにやけているように見えて、不思議そうである。



「ふふっ、ヴィー様のことの書かれた記事をまとめたものを確認しているの」



 母親からそう言われて、メロナールはマドロールの見ているものを見た。そこには新聞記事だろうか、沢山スクラップされていた。

 先代皇帝であるヴィツィオは、それはもう有名な存在なのである。新聞などの記事にもよくされている。



「おかーたま、本当におとーたまのこと、好きだね?」


 少し呆れたように、だけれども楽しそうにメロナールはそう告げた。

 夫のことをこれだけ愛し、その記事までもこうしてとっているなど凄まじい愛情である。




「ええ。だってヴィー様は最高だもの。ねぇ、メロナール。あなたのお父様はね、本当に素敵なのよ? いつだってかっこよくて仕方がないの。私はヴィー様のような素晴らしい方と結婚出来たことが幸運だったと思ってならないわ」



 マドロールはにこにこしながらそう告げる。


(お母様って、お父様のことを語る時には何だか早口になるよね。あれだわ、前世で所謂オタクと言われる人たちが早口で好きなことを語っていた光景に似ているかも……? お母様って、この調子で皇妃を立派にやっていたらしいから、凄いなぁ)



 メロナールはそんなことを考えながら、マドロールの見ていた新聞スクラップの記事を読む。

 随分古いものも、きちんと保管されているらしい。




「おとーたまとおかーたまの結婚式の時のものもあるね」

「ええ。そうよ。これは最初の結婚式の記事ね。このころのヴィー様はまだ冷たさが残っていて、それもまたかっこよかったわ」

「おかーたまって、おとーたまなら何でもいい感じだよね」

「当たり前よ。だってどんなヴィー様でも、ヴィー様なんだもの。この頃の記事だと、私に対してヴィー様が興味を持つことなんてありえないみたいに書かれているの」

「今はおとーたま、おかーたま大好きなのにね」



 メロナールはそう言いながら、不思議な感覚になった。結婚式週間などについての説明も既に受けているが、メロナールとしてみれば今はラブラブな二人にそんな日々があったことが信じられない気持ちである。



 なぜならメロナールの両親は、いつだってイチャイチャしている。

 最初からそうだったように見えるのに、恋愛結婚ではなかったなどとは信じがたい。




「次にこっちは……ヴィー様が私のためにって遠い国で採れる果物を集めた時のことね。ヴィー様は私の独り言も聞き逃さないで、すぐに取り寄せたの。そのエピソードが描かれているものね」

「……おとーたま、行動力ありすぎじゃない? おかーたまのために、こんなことをしていたの?」



 その記事に書かれているのは、皇妃の望みを叶えるために遠い国で採れる珍しい果物を集めたというもの。新聞記事なので誇張されている可能性もあるが、書かれている量と金額はすさまじいものだった。

 それも母親の言葉を聞くに独り言を聞いて決行されたものらしく、メロナールは驚いた。



「そうなの。ヴィー様ってば私のことを愛してくださっているから、何事も大げさに捕らえがちなの。だから言動には気を付けているの。ヴィー様は私が何気なく言った言葉も覚えているような方で、その行動力は嬉しいけれどそのせいでヴィー様の評判が下がるのは嫌だから」



 うっとりとした表情でそう言い切るマドロール。

 メロナールはその深すぎる愛情が眩しく思える。



(お母様とお父様を見ていると、こういうのが愛し合うってことなんだろうなって思える。前世の私が手に入れることが出来なかった愛情……。でも今はお母様とお父様、それにお兄様達だって私のことを愛してくれている……。お母様を見ていると、私も愛情を信じられる)



 メロナールにとって、前世で経験したことはトラウマだ。それこそ更に人間不信になってもおかしくない。メロナールは家族仲が希薄な家に産まれたら、愛情を信じられない人間になっていただろう。

 だけれども、メロナールの今世の家族はとても愛情深い人たちだ。それこそ例をみないぐらいに。




「おかーたまは、かわいいね」



 母親を可愛いなどというのはおかしいかもしれないが、メロナールは素直に思った言葉を口にした。

 夫のことをこよなく愛する母親は、大変愛らしいものだった。だからこそ、父親も溺愛しているのだろうというのがメロナールにはよく分かった。


「まぁ、ありがとう。メロナールも可愛らしいわ!」



 かわいい、と言われて満面の笑みのマドロールはメロナールを思いっきり抱きしめる。

 メロナールは少しだけ息苦しいものの、マドロールが楽しそうなのでその愛情表現を受け入れた。



 メロナールはマドロールに抱きしめられたり、抱っこされたりするのが好きだ。その愛情を感じると、とても落ち着くから。



「じゃあ、次の記事の説明をするわね」



 それからメロナールは母親から新聞スクラップの記事の内容の説明を受けるのだった。


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― 新着の感想 ―
>>前世で所謂オタクと言われる人たちが早口で好きなことを語っていた光景に似ているかも……? 末っ皇女ちゃん、それ、似てるんじゃなくて、間違いなくオタクなんだよ… てかこれ、何かの弾みで互いに…あるいは…
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