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捨てられる予定の皇妃ですが、皇帝が前世の推しだと気づいたのでこの状況を楽しみます! 関連話  作者: 池中織奈


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「だって私は何度だって、例えば違う自分になったとしても、ヴィー様と出会ったら惹かれるはずですもの。」―皇妃、記憶喪失編㉔―

「皇妃様、こちらをお飲みください。って、陛下、ちゃんと成分なども確認しているのでそんなに心配しないでください!!」



 グトファーガは無事にマドロールの記憶喪失を解消するための薬を準備していた。

 その薬だが、そこそこ禍々しい色をしていた。マドロールは、そんな色の薬であろうとも飲む気しかなかった。それはこの国に仕えている魔法使いを信頼しているからに他ならない。

 逆にヴィツィオの方が心配していて、目を細めていた。



「ヴィー様、大丈夫ですよ? 私はこの薬を飲んでもきっと元気なはずですから。仕えてくださっている方々をちゃんと信頼しましょう?」



 マドロールが宥めるようにそう言うと、ヴィツィオは渋々と言った様子で頷いた。グトファーガはほっとした様子を見せた。

 やはり皇帝は皇妃に大変弱い。

 それから十分に医者や魔法使いなどの手配をされた上で、マドロールは薬を飲むことになった。




(こんなに注目されている中で薬を飲むのは少しだけ緊張するわね。でも私がグトファーガ達を信頼しているのは本当のことだもの。女は度胸よ)




 そんな思考に陥って、勢いよく薬を飲むマドロール。



 それと同時にマドロールは頭に強い衝撃を受ける。魔法の影響による記憶喪失になっているマドロールなので、大きな衝撃を頭に受ける。

 それからマドロールは気づけば意識を失っていた。




 意識を失う最中、「マドロール!!」という珍しく焦ったヴィツィオの声が聞こえてくるのだった。






 次にマドロールが目を覚ました時、彼女は全てを思い出していた。そしてそんな彼女の傍には、心配そうにのぞき込むヴィツィオの姿があった。










「マドロール」

「ヴィー様、なんて顔をしているんですか?」


 マドロールは、普段とは違う情けない姿のヴィツィオにおかしそうにくすくすと笑った。



「マドロールに何かあるかと思った。もし何かあったら、グトファーガを切り捨てるところだった」

「あらあら、私のヴィー様は本当に過激ですわね? 私はちゃんと今世の記憶も思い出したので、安心してくださいね?」


 マドロールはそう口にして、ヴィツィオお頬に手を伸ばす。

 優しく微笑むマドロールを見て、ヴィツィオもほっとした様子を見せた。



(それにしても記憶を失った時のこともちゃんと覚えていてほっとするわ。……ただちょっと記憶喪失中の私、普段よりもヴィー様に遠慮がない部分があったからちょっと恥ずかしいけれど。だってヴィー様にあ、あんな態度をするなんて)


 マドロールはそんなことを考えてぽっと顔を赤くした。



「良かった」

「はい。私もほっとしてます。記憶喪失中も、ヴィー様が私のことを大切にしてくださっていて、本当に嬉しかったです。どんな私でもヴィー様は受け入れてくれるんだなって」

「俺はマドロールを愛しているから」

「もうっ、はっきりとそんなことを言われると、やっぱり照れますわ」



 ヴィツィオの言葉を聞いて、照れた様子を見せるマドロールは大変可愛らしい。

無邪気で愛らしい様子を見せているマドロールを見て、ヴィツィオは小さく笑う。



「やっぱり記憶喪失中でも当然問題はなかったですけれど、ヴィー様達との大切な思い出が失われてしまったらすごく悲しかったですから……思い出せてほっとしてますわ」



 マドロールがそう言って微笑むと、ヴィツィオが頷く。


「俺も思い出してもらえた方がいい」

「そうですわよね。それにしてもヴィー様が記憶喪失になっていたらどうなっていたかしら」

「……さぁな」

「ヴィー様、きっと私や子供達に困惑していたでしょうね」

「酷いことをしてしまったかもしれない」

「それはあり得ませんわ。だって記憶喪失になっていたとしても、ヴィー様はヴィー様ですもの。なんだかんだ私や子供達という存在を受け入れたと思いますわ」




 他の者達は、ヴィツィオが記憶喪失になったらマドロール達に酷いことをしてあとから後悔するだろうと思われていた。

 しかしマドロールはそんなことはないだろうと信じ切っているらしい。

 マドロールはいつだって楽観的で、こうしてにこにこしている。




「そうか」

「ええ。そうですわ。だって私は何度だって、例えば違う自分になったとしても、ヴィー様と出会ったら惹かれるはずですもの。ヴィー様だってそうでしょう?」


 マドロールは当たり前のようにそういって微笑む。何も疑っていないといった様子だった。

 ヴィツィオはそんなマドロールを愛おしそうに見ている。

 そして引き寄せ、口づけをする。




「俺もそうだ」

「ふふっ、ヴィー様ってば本当に可愛いですね? 大好きです」


 そしてヴィツィオの言葉を聞くと、マドロールはそう言って微笑むのだった。



 そうして皇妃の記憶喪失騒動は解決した。


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