#09 世界樹
明かされる、この世界の全体図!
老人は大きな本棚のある書斎に僕を通し、これまた自らの背丈程ある椅子に飛び乗った。
「お主、名を歩と言ったな?」
僕は頷き、尋ねる。
「失礼ですが、あなたのお名前を伺っておりません」
「おっと失礼! わしの名はオーウェン。なかなかイケておるじゃろ」
老人……オーウェンは笑って髭を撫で、それから僕に向き直って言った。
「前の勇者のことについては聞いたか?」
「ざっくりと」
「世界樹のことも?」
「ざっくりと」
オーウェンは笑った。
「そうかそうか……じゃあ、その世界樹はどこにある?」
僕が首を傾げると、オーウェンはとても嬉しそうに笑った。
「それが当たり前じゃな。こんなことはこの辺の奴はあまり知らんじゃろ」
オーウェンがパチンと指を鳴らすと、書斎のカーテンと窓が全開になった。
「王都の地下深くに根を貼り、王宮を上から見守っている。そう! あの大樹こそが! 『世界樹』!」
そんな、まさか。魔王を封印していたと言われるあの世界樹が、こんな近くにあったなんて!
「本当にアレが世界樹なんですか!? ウェン爺!」
「そういう略し方をされるのは初めてですけど」
「そうだとしたら……魔王は! 魔王はどこにいるんです!?」
ウェン爺……じゃなかった。オーウェンは、世界地図らしきものを広げて言った。
「この世界は、大きな2つの大陸で構成されている! 世界樹は、それを跨ぐように生えていて、どちらに対しても同じ量の力を与えている。単純に言えば、1つは《光の大陸》そしてもう1つは」
「《闇の大陸》……」
「お主なかなかやりおるのう」
「こんなん分かんなかったら人間界の恥晒しな気がしますけど」
「そんな言わなくったっていいじゃん」
オーウェンはふてくされながらも続けた。
「で! この《光の大陸》と《闇の大陸》の間にあるのがじゃな!」
「まさか……王都?」
オーウェンは、真剣な眼差しで頷いた。
「今魔王は《闇の大陸》におる。いつ王都に攻め込んでくるのか分からないのじゃ」
個性的なキャラが出てくると書いている方もわくわくします!
ウェン爺なんか特に……
ウェン爺「そういう略し方で定着しちゃったの?ねぇ?」