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『 前衛魔の歩む道 』  作者: きあら3
- 第壱章 Welcome! -
3/17

第弐話 - 僕の存在意義って… -

戦闘シーンは次回の予定です。

コメントをいただけると作者のやる気が上昇しますのでよろしくお願いします。


※8/14 修正とルビ振り

―――人は鳥を見ると誰でも旅にでたくなるそうだ。


旅に必要なのは食料と武器と地図とほんの少しの探究心。


旅人になった理由は一人一人違うだろう。


従って旅人の目標となる夢も異なってくる。


一攫千金を目指す者。


自分の居場所を探す者。


武芸の頂点を目指す者。


または、『旅』をすること自体が夢である者。


この世界は未知数。それ故に、美しい。


―――とある冒険者の詩






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『Area トリストラム王国』




しばらくすると視界に色が付いていき気が付くと、そこは町だった。


建物はヨーロッパ風な感じでいかにも王道RPGといった感じだ。


周りには今始めたばかりの人達だろうか?素晴らしいリアリティに戸惑っているのだろう。




「これは……すごいなぁ……。」




僕の持ってたVRFPSでもここまで綺麗じゃなかったぞ?


本当に夢の世界みたいだ。そのまま頬をつねってみた。


ちょっと痛かった。このゲーム痛覚まで再現してるのか。


流石は最新型のVRゲームだな。




「まぁそれは置いといて、早く紗希と合流しないとなぁ。」




でもどうやって合流すればいいのだろうか?


容姿は本人に似ているらしいけどこの中から探し出すのは簡単じゃないぞ……!


困ったなぁ…そう考えていると




『メールが届きました。』




と頭の中で電子的な音声が流れた。紗希からかな?


すぐにメニューを開きメールを確認する。




---------------------------------------


 From サキ


Sakiに直接Tellを送って。そこから話をしよ。


---------------------------------------




直接Tellとは念話のような物で、相手を想像しながら頭の中で会話を浮かべるとできるらしい。


さっそくとのことで試してみた。




(こうかな?サキ!聞こえる?)


(あ!お兄ちゃん聞こえるよ!何処にいるの?)




おお。成功か。これは便利だなぁ。




(まだログインしてから一歩も動いてない。)


(ぁー。なら武器屋の前で集合しようよ。)




武器屋か……。メニュー画面を開いてマップを開く。


ふむ……割と近いな。




(わかった。今すぐ向かうね。)


(あぁ待って。それだけじゃお兄ちゃんかどうかわからないから逆立ちして待ってて!)


(ぇ?ちょ、ま……)


(私はちょっと遅れるから待っててねー)




そのままブツッと電話の切れるような音を聞いてから妹から念話を切られた事が理解できた。


……………妹よ。何故武器屋の前で逆立ちをしろという指令ができるのだ?僕を辱めたいのか?


さっさと武器屋の前に向かい逆立ちをし、待機する。


もうちょっと考えてくれたらよかったのに……。あぁ。通りすがりの人の好奇な視線が非常に刺さる……。


あ、笑われた。ちょ、そこの男。何故顔を赤らめる。




「おにい……ちゃん……?」




その言葉を聞いて逆立ちしたまま顔を上げる。


そこには銀髪碧眼のエルフ耳美少女がいた。


むぅ。これは紗希だな。髪の色が違うけど顔はそっくりそのままだ。




「お兄ちゃん……いや……お姉ちゃんかな?」


「……サキ?」




一応確認を取る。




「うん。そうだよ。……お兄ちゃん。やっぱり女の子っぽいね?」


「ぐはッ!」




うがぁ……なんてこといってくれるんだこの娘っ子は…。




「ゲーム中はおねぇちゃんって呼んでもいい?」


「止めてくれ。僕の男としての誇りがズダズダになる……。」


「そんな誇り、捨てちゃった方がいいとおもうけど……。」


「かはッ!」




お願いだから……!心を的確にえぐらないで……!


そう思いながら自分自身の姿を店の鏡で確認する。


黒髪で灼眼、顔は中性的。身長は男としては低め。体はそれなりに引き締まっており男とも女とも思える。


そしてなぜなのか…髪型が…その…。あれだ。ちょっと長い。どのくらいかというと後ろ髪で首が全部隠れている程度である。


具体的にはいうと某東方的なシューティングのニート姫の髪型のショートヘアー版…というような感じだ。


これってアニメでいうと…。




「……完璧どこぞのヒロイ「私もそう思ったよ。」orz」




なんてこったい。オート設定め……。




「と…とりあえず。フレンド登録をしてからお互いのスキルを確認しようか。」


「そ…そうね。フレンドはっと…。」




サキから来たフレンド登録を登録する。


その後サキはステータスの画面を開き俺に見せた。




---------------------------------------


『Saki』♀ Lv.1 称号『新参者』


【アクティブスキル】


『両手Lv1』『楯術Lv1』『格闘Lv1』『鍛治Lv1』『彫金Lv1』

『細工Lv1』『無し  』『無し  』『無し  』『無し  』


【パッシブスキル】


『腕力Lv1』『器用Lv1』『耐久Lv1』『敏捷Lv1』


---------------------------------------




「あはは……思いっきり前衛職だね。」


「うん。前衛に特化しようと思ってね。格闘は武器が無い時のサポートの為かな。」


「見た感じは剣タイプの武器で突撃。他のスキルで補助をする、っていった感じ?」


「そうだよ?お兄ちゃんのもみせて!」


「そうだね。えっと…。」




メニュー画面を開きステータス画面を確認する。


ステータス画面をウィンドウ化し、それをサキに見せた。




---------------------------------------


『Winds』♂ Lv.1 称号『新参者』


【アクティブスキル】


『両手Lv1』『射撃Lv1』『炎魔Lv1』『氷魔Lv1』『雷魔Lv1』

『聖魔Lv1』『錬金Lv1』『合成Lv1』『無し  』『無し  』


【パッシブスキル】


『知力Lv1』『敏捷Lv1』


---------------------------------------




「どう?なんでもできるように万能に振り分けたんだけど…どうしたのサキ?」



僕のステータスをみると段々とサキの顔が険しくなっていっているように感じた。




「…お兄ちゃん……。なにこの分配。魔法職の癖に『両手』と『射撃』って…。」


「えぇ…?どういうことって言われても……。」


「…お兄ちゃん。ステータスの成長率を教えて。」


「えぇ…?」




義妹の無言の圧力にたじたじとする僕。


何故か感じる威圧感に僕は正直に答えるしかなかった。


成長率の部分は他人には見え無い様になっているので教えるには僕自身がステータス画面を開いて口頭で伝えないといけない。




「えぇっと…。LIFE D+ MANA B STR B+ DEX C+ VIT D AGT B INT B+ MND C だね。」




ステータスを聞いてサキの顔がドンドン険しくなっているのを感じる…。


ヤバい。ゲームを初めて一時間もたっていないのに殺されそうだ。




「お兄ちゃんは馬鹿なの?死ぬの?…はぁ~…、まず1つ言うけどね、ステータスの配分はせめて物理系か魔法系に1つぐらい特化しないと中途半端になるんだよ?」


「…はい。」


「どんなゲームでも中途半端ってのは一番まずいの。」




そこは盲点だった。そういえば幻想物語でもかなり中途半端だったっけ?


魔界戦記のエルダーナイト系もステータスを上げないとかなり中途半端だったし・・・。




「深く…反省してます。」


「それだけだったらまだいいんだけどね…。このスキルだと、ステータス不足で火力が不足すると思うよ。」


「えッ!?嘘ッ!?」




これで火力不足!?StrもIntもB+程あるのに!?




「まず、『両手』スキル。魔導師に近接系スキルは必要ないよ。ただ単にスキル欄を圧縮してるだけだし…。」


「えぇ…!?でも両手杖持って殴ってもダメなの?」


「魔導師が装備する魔道具装備して殴っても攻撃力はたかが知れてるんだけど…。というか魔法を主力にする職業とは相性最悪だよ。」




なるほど。よく考えたらそうだった。魔法使いに物理攻撃はいらないからねぇ…。


……使えないじゃん!




「次に『炎魔』スキル。長所は安定した高火力だったかな。…その高火力も魔導師としては低いIntで残念な事になりそうだけどね。」


「あぐぅ…!」


「しかも炎魔法の短所はマナの消費が多い事。…これは総魔力量(MAXMP)が少ないお兄ちゃんには致命的だね。」


「ががぁッ…!」




サキの連続攻撃が僕の豆腐メンタルにダメージを与える。


Int不足で火力残念。しかも魔力が不足気味とか残念魔導師にも程がある。




「次は『氷魔』スキル。長所は凍傷を与えて敵の行動を遅くする事。サポートにはうってつけだね。…弱点は全魔法の中でも一、二位を争う低火力だよ。」




つまり、ステータスが中途半端な僕にとって、威力の無さは致命的。と。


あぅあぅあぅ…。これはやばいよ…。




「次の『雷魔』スキル。これまた使いづらい物を選んだねー…。」


「どういうこと?」


「雷属性は、最大ダメージは最強だけど最小ダメージは最弱って言うギャンブル要素の高い属性なの。これが長所でもあり短所でもあることだよ。あともう一つは詠唱速度が速いことかな。」



なるほど。低いIntは運と攻撃速度で対応できるって事か。


…最小ダメージが出まくったら元も子も出ないけどね。とても常用できそうな物ではなさそうだ。


個性のあるものしか選んでないとかどういうこと…?




「次は『聖魔』スキルね。予想通り、回復魔法、補助魔法を唱えることがメインよ。まぁ、攻撃力はたかが知れてるけどね。」




…回復魔法が出来てよかった…。これで出来なかったら僕は枕を目から染み出る涙で浸さないといけないところだった。




「補助スキルは『知力』『敏捷』スキル……ね。『知力』はまだいいとして…。『敏捷』って何これ?後衛職の何に役に立つの?」


「魔法職だけど一応回避楯も出来ますよ……というような感じで。」


「AgtがBランクじゃ無理だから!せめてAランクはあってよ!戦士より前線に出る魔導師とか居るの!?」




うぅぅ…。サキがいじめる…。段々泣きたくなってきた……。




「もう頭痛い…。生産スキルは『錬金』と『合成』…?防具はどうするの…。」


「…あ。」


「はぁ…。『錬金』と『合成』ってゲーム内でもワースト人気の生産スキルじゃないの…。『錬金』スキルに頼らなくても薬は大体店で売ってるし…。」




うわ!それ最悪じゃん!完全にいらない子だよこれ!?




「しかも『合成』スキルなんだけど。これは武器と武器を合成して強い武器を作ったりできるんだけど……。」


「だけど…?」


「はっきり言ってやっぱり失敗することもあるし、思ったより性能が良かったりしないから結局は店買いかドロップの方が楽だよ。」


「のぅッ……。」




徹底的に地雷スキル踏んでる…。


こんなハズレ(ゴミスキル)ばっかりでどうしろと……?




「…お兄ちゃん。何か言うことは?」




ゴゴゴ……!というような怒りを背にする妹が見えた。修羅が見えるよ…!


とりあえずこうするしかあるまい。






「事前に調べずに感覚で選んで申し訳ありませんでした。」






どうやら僕は中途半端で地雷を踏みまくった存在意義の怪しいキャラクターを作ってしまったみたいです。



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