22 拝金主義者 「壊群」のダンジョンへ挑む1 第一層
ダンジョンアタック開始です。
やってきました「壊郡」のダンジョン。立派な身分証のおかげで顔パス同然で、大きな入り口を下っていけば第一階層は石造りの迷路だった。
「ほえ、雰囲気がありますねー。」
苔むした壁を叩きながらキアリーは興味津々であちらこちらに視線を向けている。まるで素人だな、いや素人か。と思いつつ俺は欠片ダルをだしてスキルを発動する。
『スキル「金利」の発動を確認しました、御用件をお申し付けください。』
「引き出しだ。「アクティブソナー」と「オートマッピング」を頼む。」
『スキル発動には2万ダル、合計2万ダル必要です。延長は。』
「知っている、それで頼む。」
『了解しました。なお延長は残高がある限りは自動的に行われるのでお気を付けください。』
ピコーンという音とともに俺の視界は白い線に置き換わり、右下にダンジョンのマップが現れる。
「よし、前回と変わりはないか。」
以前踏破したときのルートをスキルで確認できてほっとする。このダンジョンの1階層と2階層は基本的に変わらず攻略ルートは確率している。だが今回はそこに敵を探知するスキルも合わせて極力戦闘をさけるスタイルだ。
「それはどういうスキルなんですかあ?」
「ああ、オートマッピングというのは歩いた場所を視界内に地図にしてくるやつで、アクティブソナーは周囲の敵の気配をおしえてくれるんだ。このコンボはこういうダンジョンだとかなり有効でな。」
「ああ、なるほど気配察知みたいなやつですね。なるほど人間さんはスキル?で発動するんですね。」
「ああ、うん? 気配察知?」
「はい、レプラコーンとか一部の魔族は生まれつきもっている感知能力の一つです。便利なんですよねーこれ。」
「ええっと、つまり。キアリーさんはこのダンジョンの構造とか敵の配置が分かると。」
「はい、レプラコーンなので、お宝の気配とかもばっちりですよ。」
「・・・先に聞いておけばよかった。」
2万ダル払う必要なかったじゃん・・・。
さて第一階層の特徴としては広い、そしてなんだかんだ迷路の中を一周できるような構造になっていることがあげられる。石造りの通路の中にはビルドアントと呼ばれる子犬ほどの大きさのアリの魔物とダンジョンラビットというウサギ型の魔物がところどころに配置され、一定距離に近づくと仲間を呼んで団体で襲ってくる。
「ここは、右ですかね。」
「正解。」
だがそれは、分岐路で間違った道を選んだ場合に限られる。安全な道を選び続ければ安全にダンジョンを観光することも可能だ。まあ、ルートこそ何十年と変わっていないが、魔物の配置は日によって違うのでそこはスキルや経験によるルートをとる必要があるが、そこはキアリーさんの感覚と俺のスキルで楽勝というわけだ。
「一階層には対したお宝の気配もありませんね。」
「一階層はウサギ肉とビルドブロックが目的の場所だからね、遭遇していないだけで他のやつもいるんじゃないかな?」
「なるほど、そういうダンジョンなんですね。」
「そう、一階層、もぐっても2階層で充分に稼げちゃうだよね、ここ。だから本番は三階層から、そこまではサクサクいくとしよう。」
「はい。なんとなくですが、ゼムドさんのやり方も分かってきました。先導はお任せください。」
「便りにさせてもらうよ。」
正直、反則と思わなくもないけど。あるものを使うのが傭兵だ。ダンジョンマスターもそこまでうるさくはいわないだろう。
そんな自己完結を終了し、一度も戦闘することなくサクサクと踏破し俺たちは第三階層までたどり着くのであった。
ダンジョン攻略も、うきうきなゼムドアンドキアリー




